著者:高広伯彦
発行元:ソフトバンククリエイティブ
まとめ
こちらから出ていくのではなく、相手に来てもらう。こちらから押しつけるのではなく、相手に楽しんでもらう。ターゲットとなるユーザーについて調べ、ユーザーについて考えることが基本なんだな。まずはそこから。
この本を読んだ理由
高広さんの考えるマーケティングに少しでも触れたかったから
仕事に活かせるポイント
もう、ぜんぶですねw とくにインバウンドマーケティングを行う際に必要なペルソナの作り方。ここまで考えることによって、しっかりとした情報を企画し、届けることができるんだろうな、と。
目次
Chapter1 「見つけられる」マーケティング
Chapter2 マーケティングコンセプトの過去・現在・未来
Chapter3 インバウンドマーケティングのほうほうろん
Chapter4 実践・インバウンドマーケティング
感想
インバウンドマーケティング。
海外から来る観光客のためのマーケティング、ではない。
ターゲットを決めてこちら(会社側)から攻めていくマーケティングではなく、ターゲットが行う情報収集行動の中で「知って欲しい」情報を提供し、距離を近づけていくマーケティング。
なかなか高度なマーケティングだな。
でもね、インバウンドマーケティングが必要とされる時代がやってきてるのですよ。
だって、情報の流通量が増えているから。
「この情報を、あなたにとどいて欲しい!こっちに振り向いて欲しい!」というコミュニケーションをありとあらゆる会社が行っているからね。メッセージが届かなくなってしまっているのだ。
でもね、そんな中であっても、人は自分に必要な情報は見つけ出す。自分にとって重要だと認識した情報だけに注意を示す認知特性があると言われていて、それを心理学の世界では「選択的注意(Selective Attraction)と呼ぶのだという。
世の中で行われているマーケティングの「いま(現状)の課題」を指摘するだけでなく、課題が発生した原因にまで触れて、それを解消するための手段としてインバウンドマーケティングが提案されている。ほんとうに目先の売上を確保するというのであれば、いままで通りのマーケティング、つまりインバウンドマーケティングと真逆のマーケティングを行ってもよいのだよね。でも、それは、本当に目の前の売上を作るだけの話。マーケティングとは、顧客や市場を疲弊させることではなく、効率的な売上を作るための仕組みを作ることなのですから、そうじゃない、と。時代が変わったのだ、と。変わった時代に合わせてマーケティングの手法を変えなければダメだ、と。
では、どうすれば良いのか?ということがしっかりと説明されています。
まずは、インバウンドマーケティングの考え方。基本的な思考。
私は、これこそがインバウンドマーケティングの基本的な思考だと思っております。
受け手にとって「必要ではない」けれど、企業にとっては「伝えたい情報」を押しつけることを辞める。受け手にとって「読む価値のある」「役に立つ」コンテンツを伝えることが重要。そして、その情報を、ユーザが情報を探しているタイミングで届ける。
あまりにも当たり前だけれど、その当たり前のことができなくなってしまってるってことなんだよね。「俺の話を聞け~」と、クレイジーケンバンドのようなコミュニケーションをしている企業ばかりだからね。
「俺の話を聞け~」じゃ、話を聞きたくない人が、みんな逃げていってしまう。
インバウンドマーケティングのコンテンツは未来のお客様を獲得することができる、という。
ここが重要。
いまのお客様だけを獲得するのではないと言うこと。
「俺の話を聞け~」じゃ、話を聞きたくない人が、みんな逃げていってしまう。
いまのお客様だけを獲得するのであれば「すぐに買ってください。すぐに申し込んでください」というコンテンツだけでOK。タイミングとコンテンツの内容が、ぴったり一致するからね。でもね、未来のお客様に対し手は「すぐに買ってください。すぐに申し込んでください」というコンテンツは不適合。
毎日毎日情報を検索しているユーザーが、毎日毎日「何かを買いたい」問タイミングではないことを知ることが重要。見込み顧客の様々なステージに合わせてコンテンツを作ることが重要。
では、どうやってコンテンツを作るのか?どんな顧客ステージに合わせて、コミュニケーションを行うのか?という話になる。
インバウンドマーケティングを行う際のペルソナはB2Cでは異なっているので要注意。ターゲットユーザーが所属する会社の話がペルソナの要件として入ってくることに気をつけなければ。そして、B2Bのターゲットペルソナであったって、日常生活はふつーに送っているのです。その日常生活に関する要件もいれる必要があるのですよ。
そして、ペルソナが設定(作成)できたら、具体的なコンテンツを作り始める。
そのコンテンツを作るときに重要なのは「見込み顧客の活動(ライフサイクル)にあわせてコンテンツを作る」ということですな。ここがずれちゃダメ。そして、会社起点であってもダメ。
そのライフサイクルは
・Attract(惹きつける)
・Conbert(見込み客化する)
・Close(顧客化する)
・Delight(より喜ばせる)
にわかれる。
それぞれどのステージのコンテンツであるのか?を、ペルソナを使ってしっかり考えることが重要と言うことですね。ペルソナをしっかり作れば、完璧なコンテンツが作れるわけではないけれど、しっかりとしたコンテンツで確実なコミュニケーションをしている企業は、もれなくしっかりとしたペルソナを作っているのですよ。きっと、そんな鴨川会長のようなことを思い浮かべてしまいます。
インバウンドマーケティングって言われると身構えてしまうけれど、「大好きな人に書くラブレター」って考えると、心にすぅっと入ってくるのじゃないかと。
ラブレターに「私のことを知ってください」ってメッセージだけを書くことはないですからね。私が伝えたいことも書くし、あなたが知りたいことも書く。そして、ラブレターを渡すタイミングは、相手にとって最適なタイミングを考えるでしょ。
四六時中、相手のことを考えず、自分の言いたいことだけを伝えるラブレターを送り続けたら、ストーカー防止条例に引っかかってしまいますよ。でも、マーケティングの世界では、そんなことが行われている気がしないでもない・・・
タイトル:インバウンドマーケティング
著者:高広伯彦
発行元:ソフトバンククリエイティブ