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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

デジタルマーケティングの定石

著者:垣内勇威
発行元:日本実業出版社

 

まとめ

ストップ!車輪の再発明。インターネットが一般に開放されて20年以上がたっているいま、てか、もうすぐ30年だ。30年も時代が流れてるのに「デジタルマーケティング」と呼ばれる世界で行われている残念なマーケティングに進化はない。デジタルマーケティングが進化しているように見えるのは、各種ツールが進化しているから何だよね。そんなツールの進化にだまされない。先人たち苦労の結果を無駄にしない。そんなデジタルマーケティングを行いたい人のために書かれた名作。「ですよね~」と、相づちの連発が止まらない1冊。

この本を読んだ理由

WACULの垣内さんの本ですもの。そりゃ、読みますよ。

仕事に活かせるポイント

すべてw その中でも「DXアクセラレータ」ですね。このワークフレームを、私も使いますよ(宣言)。マーケティングに活用するデジタルの型18種類も、仕事に使いますよ!(宣言)w

目次

Introduction デジタルマーケティングには「定石」がある
「定石」とはどのようなものか?
定石を無視した「車輪の再発明」が繰り返される理由
車輪の再発明」を止めるデジタル人材はどこにいるのか?
「経営者」と「事業責任者」こそ定石を理解すべき
Part1 デジタルの特性を理解する
Chapter1 デジタルの限界を理解する
デジタルは万能ではない
限界① 3秒以上の営業トークは無視される
限界② ユーザの顔がまったく見えない
限界③ 爆発力がなく、少しずつしか伸びない
限界④ 大量データを集めただけでは何もわからない
Chpter2 デジタル活用の目的はコストカットである
デジタルは「コストカット」で真価を発揮する
強み① 無料で無限に情報発信できる
強み② ストックになり半永久的に集客できる
強み③ 大量のリアルタイムデータが無料で集まる
Chapter3 なぜ、デジタルは無駄な仕事が増えやすいのか?
デジタル関連部署の局所最適化が「無駄な仕事」を生み出す
「細かい仕事」が増える3つの理由
いますぐやめるべき「重箱の隅をつつく」仕事
ユーザ不在の「自己満足」の仕事は捨てる
Part2 デジタルの定石を理解する
Chapter4 あなたは顧客に毎年会っているか?
「顧客重視」では生き残れない「顧客主導」の時代
「顧客が買うまでの流れ」を知らないマーケッターは失格?
たった5名の行動観察でほぼすべてがわかる
データ分析は「添えるだけ」
「顧客が買うまでの流れ」は3つに分ける
Chapter5 「日常生活フェーズ」の定石
デジタルだけでニーズの火はおこせない
TVCMを代替するデジタルの使い方
営業の定期訪問を代替するデジタルの使い方
Chapter6 「初回購入フェーズ」の定石
火の点いたニーズは曲げられない
Webサイトは入り口ページの集合体になる
ゴール設計による伸び幅が一番大きい
3段階で変化する検索キーワードから集客する
SEOだけの検索集客は視野が狭い?
Chapter7 「継続購入フェーズ」の定石
売り切り型のビジネスは終演する
どのビジネスでも「定期課金」は狙うべき
全業種でユーザの生活時間を奪い合う
「コンテンツ」と「ルーティン」で生活時間に入り込む
Part3 定石を使って実践する
Chapter8 定石を様々なビジネスモデルに適用する
Chapter9 【Web to 営業担当型】BtoBで営業につなぐビジネスの型
Chapter10 【Web to 営業担当】BtoCで営業につなぐビジネスの型
Chapter11 【Web完結型】ECの型
Chapter12 【Web完結型】その他の型

感想

デジタルマーケティングは進化しているのか? 進化しているように見えているけれど、実際に進化しているのはデジタルマーケティングテクノロジーばかりじゃないのかしら?

デジタルマーケティングコンサルティングを20年近く続けている垣内さんが書いた、本書を読むとそのように思えてしょうが無い。

実際に、垣内さんと同じ業界の片隅で仕事をしている私も「お・・・おう・・・」と思うことに遭遇し続けているので、読みながらの相づちがとまらない。それくらい共感ができるけれど、悲しいかな。私にはそこまでのエビデンスがない。

しかし、垣内さんにはエビデンスがある。エビデンスがあるので、この本はずしりとくる。

 

ストップ!車輪の再発明

この難易度の高いタスクを成功に導いているのは、著者の経験値です。「デジマの定石」と言い切るその力強さは、データの意味を解釈するために行ってきた定性的なユーザ理解、それも数多くの理解があるからなのでしょう。

一つ一つのフレーズが、想いのです。デジタルマンせー!な世界で仕事をしている私に「デジタルは万能ではない。冷静になって、強みと限界を知ることなのだ。」というフレーズは強烈すぎるひと言です。

 

まぁ、言われてみればそうですけれどね。

 

冷静に考えればそう思えるのですが、なぜか、仕事に夢中になっちゃうと「デジタルは万能だ」って思ってしまうのです。

そして、おもてなしツールを使えば、おもてなしも自動でできちゃうという錯覚を持ってしまうのです。

 

そんなことないのですよね。

 

デジタル上では人間のような「おもてなし」ができない。

だから、リードの質を求めるには限界があります。まずは量を集めましょう、と。おお・・・どうしてもBtoB出島の支援をしている私は、BtoBの文脈で内容を理解してしまいますね。まずは、リードを大量に獲得する。そして、そのあと、人間のおもてなしが発揮できる環境で、リードの質を見極めましょうということなのですね。

 

もちろん、本書の中にはBtoCデジマに関すること、BtoB、BtoC、その両方に関わる話がしっかり書かれていますよ。

 

例えば、カスタマージャーニー。カスタマージャーニーの本質は、ユーザが訪問したときの期待を正しく捉えること。ユーザはジャーニーしないのだって、庭山サンも言っていたなぁ。

 

例えば、検索による情報収集の流れ。時系列順に「選び方の勉強」「候補の洗い出し」「候補の絞り込み」という検索の流れがあるのだと。ほぼ、みんなこの流れになる。いきなり製品名ってないよな、と思っていましたが、一番最初が「選び方の勉強」とは思ってもいませんでした。

 

10年以上、この世界でご飯を食べているのに、私の発想は貧弱だな、と自己嫌悪。

 

そして、検索経由でWebサイトを訪れたユーザ、訪れてから離脱するまでの平均滞在時間は、ほとんどが1分未満。平均して閲覧されるページ数は2ページ以下。この刹那的な時間で「メリットのあるコンテンツ」に接触させる必要があるのですな。接触時のユーザの期待を理解し、即時的確に回答できるコンテンツが必要。

 

ページを下まで読ませたい。商品をしっかり理解させたい。その心意気は重要だけれど、すべてのユーザにそんなことを求めていちゃダメなんだよな。

 

この本は、私の先生ですね。いろんなことを教えてくれますよ。

 

データでわかるのは行動履歴だけ。理由を知ることはできないので、年に1回でいいのでユーザヒアリングが必要だと。そして、ヒアリングの内容は、訪問動機・行動順序・心理変化・購買動機。

 

耳が痛い話ばかりです。でもね、それは私が間違っていたってコト。間違いを指摘してくれる素敵な本です。

 

そして、私の知らない情報も教えてくれる素敵な本です。

ヤコブ・ニールセン博士も「5名の行動観察で80%もの課題を抽出できる」と証言している。

 

この話、いろいろ使えそうですよ。

 

 

タイトル:デジタルマーケティングの定石
著者:垣内勇威
発行元:日本実業出版社