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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

僕の音楽キャリア全部話します 1971-2016

著者:松任谷正隆
発行元:新潮社

 

目次

第1章 2016年の音作り
第2章 音楽的暗黒時代
第3章 アレンジャー本格化時代
第4章 エンタテインメント路線開拓期
第5章 デジタル混迷期
第6章 今も、これからも音楽を作り続ける

 

感想

いろいろ言われていますが、お人的にはものすごく憧れる夫婦です。松任谷正隆さんと、松任谷由実さん夫婦。似た者夫婦というか、全くちがうというか、はたまた仮面夫婦か。夫婦間の真実は知らないけれど、旦那さんが奥さんの才能を信頼しきり、奥さんが旦那さんの用意する環境に安心し切る関係性は素敵だと思う。

 

本書の中で、二人の関係性を「メリット51%、デメリット49%」と、松任谷正隆さんは言っている。40年も一緒に生活をしているのだから、イメンも悪い面も知り尽くしている。思いっきり空気のような関係性になっている。悪い面、一緒にいるデメリットもたくさん知っているけれど、それよりもわずかに良い面、メリットが有ることも知っている。

 

その2%の差がものすごく大きいのだと。

こう言い切れる夫婦関係は素敵だ。互いに嫌な面をものすごく知っているのだろう。でも、夫婦なんですよ。松任谷正隆さんは、ユーミンのことを「妻」や「女房」とは呼ぶけれど「由美」とは呼び捨てにしない。「ゆみさん」なんだよな。カッコいいぞ、おい。きっと、仕事とプライベートを分けているからなんだろうけれど、とはいえ、自分の妻の名前に「さん」付けできるのは男としてカッコいいと思う。

 

松任谷正隆さんは、そんなユーミンの才能に惚れたのだと思う。本書の中にも、こんな記述が出てくるしね。

 

やはり才能、かな。彼女の書く作品は圧倒的によかった。
作品にはね、つくり手の内面が表れます。
それは音楽じゃなくても当てはまると思いますよ。たとえば自分の恋人がご飯を作ってくれたとき、その料理には恋人の人間性が表れているんじゃないかな。その人のつくるご飯が好きならば、かなりの場合、その人とは感性が会う気がします。ご飯にはきっと、つくり手の内なるものがあるはずだから。

 

才能にあふれていた、若き天才アレンジャーは、目の前に現れた、これまた天才的な作詞家・作曲家の女性に一目惚れをしてしまったのだろうな。そして、作家として生きていこうとしていた女性は、目の前に現れたアレンジャーが作り出す世界に、一気に引き込まれていったんだろうな。

 

天才と天才の夫婦。二人の作品は80年代から90年代中版にかけて、日本中に大ブームを巻き起こしていく。J-POPの黄金期でしたからユーミン以外にもたくさんたくさん名曲を作り出すアーティストはいたけれど、ユーミンはずっとずっとトップでい続けたんだよね。そして21世紀の今も、J-POPに女王として君臨し続ける。

 

この状況を「羨ましいなぁ」と部外者は思ってしまうのだけれど、どうやらそれは違ったらしい。

 

人間というのは、売れ始めると、その喜びよりも、落ちる怖さに意識が行くものです。

 

とは、頂点を極めた人間しか言うことのできないセリフだね。

 

仕事を愛し、妻を愛し、車も愛する松任谷正隆さん。ものすごく親近感を覚えてしまうのですが、キーボードも、オルガンもできなければ、曲のアレンジも、プロデュースもできないし、慶応幼稚舎卒でもない。

 

なんでだろう?と、ずっと思っていたら、その答えが書いてありました。

 

1つ目は、ライブレコーディングになると、気が狂いそうなほど緊張した。
2つ目に、ツアーが大嫌いでした。飛行機がダメでね。
3つ目は、自分の意見が反映されない組織に耐えられなかった。

 

あ、一緒だw 

 

でコーディングはしないけれど、ライブ(セミナー)は苦手だし、出張は大嫌い、飛行機は大嫌いだし、自分の意見が反映されない組織が耐えられないしな。

 

うん。

 

今まで以上に松任谷正隆さんのファンになれる1冊ですな。

 

僕の音楽キャリア全部話します: 1971/Takuro Yoshida―2016/Yumi Matsutoya

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