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コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法

著者:名和高司
発行元:ディスカバートゥエンティワン

 

 

まとめ

大前研一サンて凄いんだなw 素直にそう思えてしまいます。そりゃ、推薦のコメントももらえますよ。そんな天才大前研一さんの近くで、著者が身につけた、問題解決と価値創造の技法(あえて、コンサルワークとは書かない)が、わかりやす紹介されているのですよ。すごいな。ここまで教えるかって。クライアントワークについては、守秘義務があるので、教えることはできない。でもね、モノの考え方にかんして守秘義務はないから、いろいろ教えてくれる。ほんとうにマッキンゼーで働こうとしたら、もっと奥の深い話になるのだろうけれどね。いやはや、ありがたい。ここに書かれている内容を実践できるのか?できないのか?は、本人のやる気次第ってことですね。

この本を読んだ理由

そりゃ、仕事で問題解決と価値創造っぽいことをしていますからね。ごめんなさい。著者の足下にも及んでいませんでした。「自分は何物でも無いな」と、痛感させられました。

仕事に活かせるポイント

すべてですよ。すべて。特に第1部「コンサルの基本技」に書かれていることすべてです。

目次

第1部 コンサルの基本技
第1章 問題解決力
第2章 課題設定力「論点思考」
第3章 仮説構築力「仮説思考」
第4章 インパクト力「インパク思考」
第5章 フレーミング力①MECEとロジックツリー
第6章 フレーミング力②定番フレームワーク
第7章 分析の切れ味
第8章 ストーリーとしての戦略
第2部 超一流コンサルのスゴ技
第9章 大前研一の「ワープする脳」
第10章 IQ・EQ・JQと「真善美」
第11章 システム思考
第12章 非線形思考
第3部 コンサルを目指すコンサルを超える
第13章 コンサルを目指すあなたへ
第14章 コンサルを超えたいあなたへ
第15章 社会課題を解決したいあなたへ

感想

私が勤めているのは、銀座にあるしがないデジタルマーケティング屋さんです。著者が勤めていたようなコンサルファームではありません。が、たまに、コンサルファームの方と同じようなお仕事をしたりします。

それは、高級派遣文具と言われるような、SESの人出しではありません。デジタルマーケティングに関する課題設定や、課題解決を行うということなのです。

課題設定や、課題解決。文字で書くとものすごくシンプルなのですが、実際に行ってみると、奥が深い世界なんですよね。

なかなか理解されない。

毎年、若手がチームに入ってくるタイミングで、悩むことがあるのですな。みんな答えを教えて欲しいと質問してくるのですよ。「いや、我々の仕事は答えが1つだけある世界じゃないから」と回答すると、みんなきょとん、とする。そしてたたみ込むように「我々の仕事はお客様に対して問題を設定するところから始めるんだよ」と言うと、「このおっさん、何を馬鹿なことを言っているのだろう?」という顔で、私のことを見てくる。

いや、そうなんだって。

著者も、本書の冒頭で語っています。

問題解決というのはお勉強の場じゃ身につけられない。そもそも、問題には様々な条件が複雑に絡みついている、と。

 

実際の問題に、「マーケティング」とか「ファイナンス」とかラベルが貼られているわけではない。

 

という著者の表現には、ものすごくアグリーなのです。

問題解決も、その手前にある問題設定、つまり課題設定も、複雑であり、奥行きが深い、芸術の世界なんだよな。通り一遍のお勉強をしただけじゃ、身につかないのだよ。

このような世界で働いている人、もしくは、このような世界で働きたいと思っている人にはおすすめの本です。

 

大前研一さんがスゴイ神様のように思え、マイケル・ポーター先生についてこれだけ強気に出れる著者を「スゴイ」とおもい、DeNAの南場サンテチャーミングだな、と思える本なのですがw

いや、ちがう。課題設定と課題解決の方法、その基本的な手法を惜しみなく教えてくれる本なのですよ。

 

すごいな。

 

とはいえ、著者の文章は面白く、ぐいぐいと著者の世界に引き込まれていきます。「え、それが課題だっていったじゃないですか!」と、クライアントや、上司にくってかかった人にはまったく不向きな本ですが、「問題と言われていることは、実は本当の問題ではない」ということを知っている人にとっては、何度も何度も読み返したくなるほんです。

だって、マッキンゼーの問題解決ステップをズバリ教えてくれるんですよ。

 

 

ステップ1問題を定義する
ステップ2問題を構造化する
ステップ3優先度を付ける
ステップ4分析方法を設定する
ステップ5分析を実施する
ステップ6発見内容を統合する
ステップ7問題解決方法を提言する

 

 

まぁ、ものすごくシンプルなことで、基本的なことですけれどね。

でもね、みんな、何の仮説も持たずに分析を始めて、死んじゃうんですよね。仮説を持たずに分析をはじめるってことは、優先順位も持たないってことですから。

そりゃ、そうだ。

そして、著者は問題の本質=チョークポイントについての仮説を導くために「なぜ」を5回繰り返せといっております。

うん、これも基本的なことですね。

 

ウチのチームメンバーに、口酸っぱくいっているんだけれど、なぜか、やらないんだよな。「なぜ」を5回繰り返すこと。

で、著者は「やるべきこと」を見つけるのではなく「なぜできていないのか?」を見つけろ、といっております。やらなきゃ行けないのにできていないところに、本当の問題があるってことなんですな。

 

ふむふむ。

いわれてみればその通りですね。

なので「問題です」と言われているところに、本当の問題は存在していないということになるのですわ。

 

ただ、これはあくまでも仮説なんだよね。仮説だから間違っていることもあれば、あっていることもある。ただ間違っている場合の方が多い。でも、いいのですよ。仮説だから。仮説が間違っていたら、その仮説が間違っていた原因を探ればいいのだから。

ただ、日本企業は「仮説を間違うことを許さない」素敵な文化があるんだよね。

著者曰く、Googleは失敗したことでなければ、認めてくれない文化なのだという。失敗したということはちゃんと仮説を立てて、検証したってことだからね。

 

奥が深いな。

 

個人的には、後半の具体的なフレームワークの使い方よりも、課題の設定方法に関する話が心に刺さりましたよ。

 

 

 

タイトル:コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法
著者:名和高司
発行元:ディスカバートゥエンティワン