著者:中澤克二
発売元:日本経済新聞出版社
目次
第1章 苛烈な「院政」つぶし
第2章 フェラーリ政局
第3章 密謀
第4章 法治の幻
第5章 親父が反面教師
第6章 砂の万里の長城
第7章 ひとまず西へ
第8章 習が求めた首脳会談
第9章 後継者は俺が決める
感想
現代中国の最高権力者、習近平の実像に迫った一冊。
巻頭でいきなり
時の皇帝は自分の実績を後世に伝えるため自らに都合の良い歴史を記そうと試みる。
権力闘争に敗れた者は、悪事を捏造され、歴史から抹殺される。
と言う記述があるのですが、習近平、まさに皇帝ですよ。共産党王朝のエンペラー、もしかしたらラストエンペラーになるんじゃないかしら?と思わせるほどに。
どこの国においても、外交というのは内政の延長線上に有るのだけれど、中国という国においては、外交というのも自らの王朝を、つまり共産党政権の正当性を保つためのものでって、それ以外のものではないということがよく分かる。
日本やEU諸国の政治家、そして、あのドナルド・トランプだって、まずは自国のことを考えて、それを優先するわけですが、習近平の場合は、自国じゃなくて、自分なんだよなぁ。
まぁ、習近平以外の政治家、ヘタしたら鄧小平以外は、自分を再優先していたのかもしれないけれど。
それほどまでに、権力闘争で大変なことになってしまっている中国政界の内幕が分かる本ですわ。
まぁ、選挙がないから、純粋な権力闘争以外に上にのし上がる方法がないので、しょうがないといえばしょうがないよなぁ、と。