著者:鮫島浩
発行元:講談社
朝日新聞政治部まとめ
朝日新聞の元エース記者で、あの吉田調書記事を世に出した張本人。その人が描く朝日新聞政治部のドロドロしたお話。なんだろうな。大手メディアって、新聞だけでなく、みんな社内政治に忙しいんだろうなって思うわけですよ。吉田調書が世に出てきた話よりも、民主党政権に深く入り込み、様々なスクープを作り続けてきたその姿よりも、読者そっちのけで、自分たちの権力に酔いしれ、社内政治に明け暮れる世界が見えてきて、悲しくなってきましたわ。そりゃ、Webメディアに負けるわな。
朝日新聞政治部を読んだ理由
アマゾンでお勧めされたので
朝日新聞政治部で仕事に活かせるポイント
大きな組織には近寄るな
朝日新聞政治部の目次
第1章 新聞記者とは?
第2章 政治部で見た権力の裏側
第3章 調査報道への挑戦
第4章 政権交代と東日本大震災
第5章 躍進する特別報道部
第6章 「吉田調書」で間違えたこと
第7章 終わりのはじまり
朝日新聞政治部の感想
この本は大きな組織の怖さと、トカゲの尻尾切りのリアルさと、正義を振りかざす人間の怖さと、権力に酔いしれる人間のはかなさがわかるすごい本なのですよ。自分がどの立ち位置でこの本を読むのか?で、感想はガラッと変わりますね。
新聞というのは権力を監視する、いや、ジャーナリズムというのは権力を監視するものだということに、だれも異論は無いでしょう。そして、新聞も、テレビも、ウェブメディアも「権力側」になっており、それは一般の人々から批判される立場になっている。このことは、メディアと呼ばれる側にいる人以外、みんな認めるはず。
新聞社、テレビ局、メディア側にいる人間も「自分たちが権力を持っている」というといころまでは認識してるんだよな。だから、自分たちがしてきたように、権力者である自分たちをちぃやほやして欲しいんだよな。
それは、わからないでもない。
それを認めることができればいいのだけれど、それを認めることができないんだよね。
そして、自分たちが権力側になっていることを認めながら、記者本人の思想をぶつけるために取材をしたり、記事を書いているんだってコトもよくわかった。
そりゃ、みんな、新聞や、テレビから離れるよね。
だから、週刊新潮に「新聞記者じゃなく、活動家だ」って書かれる新聞記者が出てくるんだよね。なお、その新聞記者のことを、著者は高く買っているらしいけれど。
最初は読売新聞を舞台にした「トウキョウ・バイス」のように楽しく読めていたのだけれど、どんどんどんどん押しつけられる正義が辛くなってきたのよね。
なんだろうね。
自分が「正義だ!」って信じることで、様々なことを見ていては、そりゃ、そうなるよなって。
正義って理由で、正義って錦の御旗で戦争がたくさん起きたってコトを考えると、さもありなんだよな。
ただ、とりあえず、どちらの本を読んでも新聞記者にならなくて良かったわっておもうのよね。