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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

国貧論

著者:水野和夫
発売元:太田出版

目次

第一章 国貧論

国民の「貧」の原因と性質の研究

マイナス金利の真実

株式会社は時代遅れ

日本の貧困――年収200万円以下が24%3割は金融資産が全くない

第二章 資本主義の黄昏

資本主義の黄昏1 アベノミクスの終焉

資本主義の黄昏2 中国バブル崩壊の日

資本主義の黄昏3 「ゼロ成長社会」への道筋

資本主義の黄昏4 「近代の秋」への発想の転換

資本主義の黄昏5 皇帝なき「閉じた」帝国の時代

原油価格1バレル=30ドル割れの教え

東大物価指数とはなにか

人口問題とイノベーション

第三章 21世紀の資本

日本の「21世紀の資本」論――資本主義と民主主義のたたかい

「近代社会」のあらゆる前提が崩壊するなかで

 

感想

 

色んな意味ですごいなぁ。。。と思える一冊。

 

この人、元三菱UFJ証券チーフエコノミストにして、内閣府大臣官房審議官経済財政分析担当。内閣官房内閣審議官。まぁ、民間の証券会社のトップアナリストと、国の基本方針を決める分析官のトップを担っていたわけです。が、この本に書かれている内容は、「もう、日本だめ。資本主義だめ。日本死ね。資本主義死ね。」のオンパレード。よくこんな考え方で、民間証券会社のチーフアナリスト、担当できてたよな。「もう、日本だめ。資本主義だめ。日本死ね。資本主義死ね。」というアナリストレポートが出る三菱UFJ証券の口座は閉じたほうがいいってことだなw

 

とは言え、この著者の考えには賛同できるところが非常に多いのは、事実ですわ。時代の大きな変わり目であるということは、おもいっきり賛成すますわ。そして、今までどおりの、焼畑農業的経済モデルがうまくいかないということも、賛同できますわ。

 

で、資本主義が死ぬということに関しても、まぁ、この著者の定義であれば、資本主義は死んでいますわな、と納得できますわ。

 

ちなみに、著者にとって資本主義とは

 

資本主義とは資本の自己増殖と利潤の巨大化を目指すものとする立場である。投資して、回収する。その運動を単純に永遠に繰り返すものだと考える立場であった。

 

とな。

 

そうなると、マイナス金利と言う状況下では、自己増殖ができないので、そりゃ、無理よね、と。

 

とりあえず、新自由主義経済が嫌いで、世の中を斜めから眺める、哲学者的な観点で経済を語ることが大好きだということが、そして、過去の歴史に当てはめて考えることも得意だということはわかりました。

 

が、そういう人は、どこかの大学の研究室で、助教として、「経済死ね!日本死ね!安倍死ね!」と次節を唱えているのが良いと想いますわ。ほら、京大の原子力研究所で反原発運動を行っているあの人のように。

 

少なくとも、政治の中枢で経済について関わったのであれば、マイナス成長、大停滞のなかで、国民はどうすれば幸せで、経済的に自由な生活が送ることができるのか?を考えなきゃ駄目だ等と思うのよね。

 

まぁ、悪いのはこの著者ではなく、そういう主義主張を持っている経済学者をブレーンに選んでしまった、民主党政権なのですけれどね。

 

でもですね、繰り返しますが、今が大きな時代の転換期であるという考えには、賛同しますわ。アメリカが覇権国家であることがなくなることは、賛成しますがね。

 

しかし、「グローバル化はヤメればいい。それどころか、地方分権を徹底化させて、日本国内であっても、地方間の移動が簡単にできないようにすれば良い」的な理論はどーかと思うよw

 

経済学者の経済の本というよりも、活動家の本に思えてしまいましたわw

 

ピケティを、やたら引き合いに出すけれど、ピケティの『21世紀の資本』には「じゃあ、どうすればよい」我書かれていたんだけれどね。

 

国貧論(atプラス叢書14)

国貧論(atプラス叢書14)