目次
序 章 「ケ」と「ハレ」考
第一章 芸能夜話
第二章 本物 ニセ者 エセ者
第三章 怪物たちと怪事件
終 章 再び「ケ」と「ハレ」考
感想
サブタイトルは「裏も表も芸能界」。なんんで、このサブタイトルなんだ???と思ってしまうひとが多いでしょうなぁ。なべおさみ、この名前にピンとくるのは四十代半ば以降の方々で、「たけし軍団のなべやかんのおやじだよ」といっても通じない人のほうが多いでしょう。
役者にして、コメディアンにして、司会者にして、放送作家。
マルチな肩書で語ることが可能な才能は、若い時代の経験によるところが大きいわけで。
ウィキペデイアの項目によると、師匠はハナ肇ということになっているけれど、ハナ肇以外に、水原弘や、勝新太郎、森繁久彌の付き人も務めてきた経歴の持ち主。
共通するのは、どれもが昭和のトップスターだったということ。
トップスターのすぐ近くで、トップスター同士が触れ合う姿を見てきたわけですから、そりゃ、役者でも、コメディアンでも、司会者でも、放送作家でも、なんでもできるでしょう、と。
そして、大スターのふれあいを超間近で見てきたからこそわかる、あんなことやこんなことを綴ったのが本書なわけですわ。
北野武よりも上の世代で、永六輔・黒柳徹子よりは下の世代。
同世代は、きんちゃんこと、萩本欽一。
そりゃ、芸能界の生き字引ですよ。
きんちゃんのように、一門を作るようなこともなく、求められれば、求められる役をこなす。そりゃ、600万分の1の確立でハイジャック事件に巻き込まれて、ハイジャック犯とやり取りをして、見事乗客を脱出に導いたのに、日本航空から怒られるだけのことはありますよね、と。
昭和30年代後半から平成にかけての芸能界のあんなことや、こんなことが書かれている1冊。
一番心に響いたのは、落合博満と五木ひろしとのやり取りですなぁ。落合博満は、野球選手であることを一日たりとも休まなかったとな、だから二十代後半でプロ野球界に入りながら、並の体格でありながら、歴史に残るような三冠王になったのだとな。
自分に自身があれば、周りから何を言われても、大丈夫という、すのスタイルも素敵。
そして、なべおさみはこの本に書けないような経験も多数してきているんだろうな、と思ったりもするわけですよね。
一切ヤクザの話しが出てこないのが、逆に怖さを感じさせますわ。