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昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実

著者:牧久
発売元:講談社

 

目次

序章 日本の鉄道でいちばん長い日
第一章 田中角栄と細井宗一
第二章 磯崎総裁の「マル生運動」と国労の反撃
第三章 政府・自民党VS.国鉄労使
第四章 走り始めた国鉄解体
第五章 運輸族三塚博の秘密事務局員
第六章 中曽根康弘「風見鶏内閣」誕生
第七章 国体護持派と改革派の暗闘
第八章 改革派、絶体絶命
第九章 最後の主戦場
第十章 「猛き者ついに滅びぬ」
終章 国鉄落城――新時代への出発

 

感想

サブタイトルは「国鉄・分割民営化30年目の真実」。
ただ単に、規制緩和や、行革のいち部として語られる国鉄民営化だけれど、実はそれだけではない、と。

 

明治時代に生まれ、その後、大日本帝国の発展を支えるために、日本中に張り巡らされた、国営鉄道の鉄道網。戦後もその体制が維持されるだけではなく、各地から復員してきた人々の雇用の受け皿となり、最大の労働運動部隊ともなるわけでね。

 

まぁ、労働組合の設立にはGHQも噛んでいたのだけれど、すぐに日本は冷戦の最前線となり、そのハシゴは外されるわけだけれど。

 

ハシゴは外されたけれど、左派運動の火種は残った、と。
日本最大の労働組合となり、時の政府に揺さぶりをかけ、社会党のような左派政党を支持した、と。

 

国鉄分割民営化後、JR東日本の本社は新宿にあり、JR東海は名古屋だけれど、国鉄の本社は、今の丸の内にあった。OAZOのあたりね。そして、駅を挟んで反対側には国労会館という、国鉄労働組合の本拠地があるビルがあった。

 

すげー金あったんだな。労働組合

 

旗本八万旗といわれた組合員からの上納金が、その財政力を支えてたのでしょうな。でそれは、社会党や、中核派も、支えていた、と。

 

で、親方日の丸企業なのに、国にたてつく。そりゃあ、その昔は、国家権力の介入が酷かったので、ストライキを行い、国と戦う意味はあったのでしょう。

 

しかし、経済成長と共に、その意味が、どんどんなくなっていく。

 

オイルショック以前の高度経済成長期でさえ、赤字を生み出していた国鉄は、経済成長が鈍れば鈍るほど、赤字が雪だるま式に増えていった。

 

だから、その赤字を解消するための国鉄民営化。

 

とかたられるのだけれど、労働組合の立派な方々は、赤字の解消などつゆにも思わず、ひたすら既得権益の確保、自分たちの権力確保に走っていた。

 

政治家までも巻き込んでね。

 

そういう、勢力を20年近くかけて排除していったというのが、本書の中味。

 

いや、フツーに労働者の権利を守る活動をしていれば、問題はなかったのに、国鉄労働組合が守ろうとしたのは、カラ出張や、闇休暇や、嘘ついてもらう各種手当や、そんなのばかり。そして、国鉄の利用者のことなど何も考えずに行われる、ストライキに、遵法運動。

 

そして、極めつけは、テロ行為。

 

裏で糸引いているのは、中核派じゃねーのか?と思われるようなことばかり。

 

あゝ、だから、ワタシは日本的な左翼が嫌いなんだ。そう、再認識できる本。おとなしく、ちゃんと田中角栄的な国土の発展には鉄道が必要で、そのためには赤字を吸収できる国鉄が必要なのだ!と、言うところに軸足をおいて、ちゃんと国鉄自らが合理化を行うことができれば、違った今になっていたのだろうな、と思う。

 

けど、まぁ、ビバ!暴力革命的な方々、日本的な左翼な方々には無理なことだよね、と。

 

昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実

昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実