著者:大久保直和
発行元:日本経済新聞社
まとめ
敵を知り己を知れば百戦殆うからず。それがまさに当てはまるのがテレ東ですね。3強1弱1番外地といわれたその番外地のテレ東でしたが、21世紀の今「他のテレビ局では作ることのできない面白い番組」を量産するテレビ局だものな。ないないづくしの現状を正しく認識し、その中でのベストを尽くすからなんだろーな、ということを再確認。
この本を読んだ目的
企画を考える。ということを仕事にしている身としては、好番組を連発させるテレ東の秘密が知りたいわけですよね。
目次
第1章 「番組を立ち上げる」ということ
第2章 逆境のテレ東・報道局
第3章 アイディアは、どこにでも転がる
第4章 あえて不得意に挑戦すると、いいことがある
第5章 なぜ番組はスランプになったのか
第6章 新番組CP、さぁどうする!?
第7章 池上彰さんの伝える力、村上龍さんの想像力
第8章「リンゴの裏側」をどう伝えるのか
エピローグ 逆境にこそ燃える、テレ東社員
感想
著者はテレビ東京報道局番組報道センター、チーフ・プロデューサー。「ガイアの夜明け」「未来世紀ジパング」「カンブリア宮殿」を生み出し、担当してきた人。
湾岸戦争の裏番組で「ムーミン」を放映したテレ東の、本来であれば湾岸戦争のニュースを流さなければならない立場でありながら、ムーミンを流さなければならなかった事実を知る男(ちなみに、イラク軍がクウェートに侵攻した時、著者はまだ学生でした)。
本来であれば、イラク軍の侵攻を生中継したかった、すべきだったのだけれど、そんな金も組織もなかったテレビ東京。だから、ムーミンをそのまま流したという。
なので、テレ東では「湾岸戦争よりもムーミン」という話はタブー視されているのだという。
金も組織もない、東京にあるテレビ局。
でも、作る番組は面白い。
「youは何しに日本へ 有名人」「ぽつんと一軒家」「路線バスの旅」「孤独のグルメ」「サ道」そして、選挙特番も面白い。
自分たちのポジションをよくしるというか、強み弱みをちゃんと把握し、世の中から「何を求められているのか?」をちゃんと把握しているのが素敵だよな。
大人の事情で作られた番組とか、キャスティングがないのがわかるもの。