著者:駒村康平
発行元:KADOKAWA
中間層消滅のまとめ
世界一成功した社会主義国家と言われるくらい、日本の中間層は分厚かった。そして、貧しい人々も「明日になれば」という夢があった。そんな中間層がなくなってしまった。小泉が悪いのか?竹中平蔵が悪いのか?自民党が悪いのか?いやいや、人口が右肩上がりに増え続け、いまある産業が横にただ広がっていくという前提に基づいた社会設計がだめだったんでしょう。とはいえ、このまま放置はできない。そもそもあやふやな中間層の定義をしっかり行い、消滅してしまったことによる弊害と、大きぅなってしまった格差を解消するために何をすべきなのか?までを教えてくれるのが本書。
中間層消滅を読んだ理由
私、小さい政府支持派なのですが、そりゃ、格差が小さい方が良いとも思っているのですよ。
中間層消滅で仕事に活かせるポイント
格差を小さくする、貧困層に仕事を与えることが重要なんだよね。
中間層消滅の目次
序章 富の集中と再分配の歴史的背景
第1章 グローバル化の光と影 所得格差
第2章 格差が社会にもたらすもの
第3章 社会保障・税一体改革とはなんだったのか
第4章 社会保障の最後の「砦」は地域の力
終章 ポスト「社会保障・税一体改革」と持続可能な社会経済システムへの選択肢
中間層消滅の感想
富の集中と分配が繰り返されてきた歴史から、日本の置かれている現状までを教えてくれるのが本書。
経済学の教科書のような本書のなかで、背筋が寒くなったフレーズが、これなのだ。
今日、必要なのは、①状況に合わせて臨機応変に自律的に判断でき、②誠実・正確に業務を遂行し、③チームのメンバーと協調的に仕事ができる人材が必要であるとしている。仮に努力しても、こうした資質に欠ける人は仕事がなくなっていく。
こんなスキル、人類史上、求められることはなかったんだよな。あったとしても、ごくごく一部の人だけだった。が、IT化が地球上、ほぼ全ての場所に広がった今、このような資質は全人類に求められるようになってしまったわけですよ。
無論、無くても死ぬわけじゃない。死ぬわけじゃないが、書かれているように仕事にありつけない。もしくは、低賃金の仕事にしかありつけないのだ。この流れは、抗えないのだよ。とはいえ、そういう人を切り捨てることはできない。
できることは、そういう人々に十分な仕事を与え、十分な給与を与えることなんじゃなかろうかね? やっぱ、仕事だろ思ってしまうのですよ。その私は思ってしまうのよね。それと、社会保障は社会保険料じゃなく、消費税だと思うんだよなぁ。社会保険料って現役世代のサラリーマン、狙い撃ちじゃん。消費税なら、赤ちゃんから百才超えの超高齢社会まで同じように負担だからな。消費税は逆進性があるって言うけれど、社会保険料がこのまま上昇し続けると、高給取りのサラリーマンが日本を出ていくぞ。
地方が社会保障を支えるという考えは賛成なんです。が、地方に小さなコミュニティが増えると、インフラ維持にお金がすごいかかるな、とも思うわけでね。
読みながら、いろんなことを考えることができる良書ですよ。中間層がなくなってしまった社会の今後は、我々、みんなで考える必要があるんだからね。
タイトル:中間層消滅
著者:駒村康平
発行元:KADOKAWA