著者:二宮敦人
発売元:文藝春秋社
目次
不思議の国に密入国
才能だけでは入れない
好きと嫌い
天才たちの頭の中
時間は平等に流れない
音楽で一番大事なこと
大仏、ピアス、自由の女神
楽器の一部になる
人生が作品になる
先端と本質
古典は生きている
「ダメ人間製造大学」?
「藝祭」は爆発だ!
美と音の化学反応
感想
いや、まぁ、すごい本です。
上野恩賜公園の奥深い場所にある日本の秘境。それは東京芸大。道路を隔てて美術系と音楽系が別れているのですけれど、それは元々、別の学校であった名残なのよね。
元々は東京美術学校と東京音楽学校。ワタシが東京千石のアパートに住んでいた時の大屋さんの、オトウサンガ美術学校の先生だったのだな。そんな大屋さんの自宅の庭には、お父さんの胸像が設置されていて、はじめて見たときには驚きましたけれど。
ワイルドな美術系とエレガントな音楽系。いつでもコンサートは一発勝負ということで、学校でもエレガントさを求められる学生さん。みんながハイヒールを履いているのは、ハイヒールに慣れていないと、小本番で本調子にならないからという。
すごいな。
あと、打楽器科の方々のこだわりようがすごい。ドラム、シンバル、トライアングル。。。。シロートが「なぜ?」と思ってしまうことに、おもいっきりこだわってしまうのね。
そこがわからないと一流にならないのでしょうな。
どっちかというと、比較的ワタシに近い気がする美術系の学生さんよりも、フツーに生活していたら、絶対に交わることのない音楽系の学生さんの生活に興味津々ですね。
とりあえず、『のだめカンタービレ』のような優雅な世界はないんだとな。
で、そんな本書を読んでいて刺さったのはこれだなぁ
「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎。ここはそういう大学なんです」という学長の言葉(233ページ)
この言葉こそが、東京藝術大学のすべてを言い表している気がするなぁ。
どうしよう?
うちの娘さんが「東京芸大に行きたい!」なんて言い出したら。そりゃ、たぶん、国立なので武蔵野美術大学とか多摩美大寄りは学費がかからないんだと思うんだけれどさ。
うむ。。。
もはや、東京藝大と比較対象となるのは宝塚音楽学校しか無いんじゃないかしら?と思えてきましたわ。
えぇ
お父さん、宝塚音楽学校だったら頑張るかもしれませんよw
タイトル:最後の秘境 東京藝大
著者:二宮敦人
発売元:文藝春秋社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(おもしろい!)