WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

CG 2019.7

発行元:カーグラフィック

 

目次

FOUR AT THE CORNERS

SPECIAL 1
甦った伝説、ニュー・ストラトスを試す
MATニュー・ストラトス/オリジナル・ランチアストラトス/マルチェッロ・ガンディーニ展/トリノFCAヘリティッジ・ハブ誕生
SPECIAL 2
通巻700号記念特別寄稿:僕たちが「今、乗りたいクルマ」
吉田 匠/田辺憲一/阪 和明/下野康史/笹目二朗/山口京一
SPECIAL 3
ジャイアントテスト 2019 初夏
アルファ・ロメオ・ジュリア 2.0ターボQ4ヴェローチェ/
アウディA4 45 TFSIクワトロ・スポーツ/BMW 330i Mスポーツ/ジャガーXE 300スポーツ/
レスサスIS300 Fスポーツ/メルセデス・ベンツC200アバンギャルドプジョー 508 GTライン/
フォルクスワーゲン・アルテオンR-ライン4モーション・アドバンス
各車紹介/加速性能/燃費/操縦安定性/乗り心地/パッケージング+ドライビングポジション/
商品力+安全装備/パーソナルチョイス/総合評価
GGのおもちゃ箱
TRACK IMPRESSION
メルセデスAMG GT 63 S 4マチック 4ドア・クーペ
メルセデスAMG GT R プロ
ROAD IMPRESSION
BMW 7シリーズ
ボルボV60クロスカントリー
ランボルギーニ・ウルス
メルセデス・ベンツCLA
DS 3クロスバック
シトロエンC5エアクロス
ニッサン・デイズ
NEW MODEL
マツダ3
ニューヨーク国際オートショー2019
駄車・名車・古車 デザイナー的見解
矢貫 隆のニッポンジドウシャ奇譚
コンコルソ・デレガンツァ京都 2019
ロモロ・タヴォーニ氏インタビュー
新刊案内
LONG & SHORT TERM TEST

THE GARAGE PRESS

CG MOTOR SPORT FORUM

 

感想

表紙は「蘇った伝説、ニュー・ストラトスを試す」で、メインは「勝者はBMW3シリーズか?セダン8台のジャイアントテスト」

フェラーリF430をベースに作られた新型ストラトス。新型なのか?という気もしないでもないけどね。このマシンはランチアではなくMATの手によるもの。CEOのパオロ・ガレッラはピニンファリーナで長くワンオフモデルの開発に携わっていたのだと。

 

なんだろうなぁ。コブラならほしいけど、ストラトスは食指が動かない。元祖ランチアストラトスの記事には心躍りまくりなんだけどね。やはりさ、クルマには物語が必要なんだよね。物語が無いと「へえー」と思うこともない。

 

それはジャイアントテストの記事を読んで、再確認できましたな。昔は心躍りまくりだったんだけどね。ジャイアントテスト。いつからだろう。キャプションどころか、本文もしっかり読まなくなってしまったのは。

 

性能が似通ってきて、設計時期と登場時期が新しければ、そのクルマが一番良い結果となる。いや、ならないこともあるんだけどさ、昔はその差が「個性」として語られていたのだけど、そんなこともなくなっちゃったからなぁ。

 

デザインだけが差別化ポイントになってきてるわけたけど、無駄に大きなキドニーグリルをつけている7シリーズも好きになれないし、大人四人では窮屈なベンツの4ドアCLAも、なんだかなぁって感じだしね。アクセラ改めMAZDA3もカッコよさそうだけど、窮屈そうだしな。となると、ボルボのV60クロスカントリーがシンプルでカッコよく見えるのですよ。でも、デカイよね。

 

となると、自動車メディアって、旧車、ヤングタイマーでしか成り立たなくなってきたような気がするのよね。

 

なんかねえ。

 

で、そんな今月号を読んでいたら、読みたくなった本。

 

入門講座 4WD車の研究

入門講座 4WD車の研究

 

 やっぱさ、自動車単体の性能よりも、自動車が持つストーリーや、その自動車を持つ人のライフスタイルや、生き方を取り上げたほうが面白いんでないかしらね。

 

CG 2019年07月号[雑誌]

CG 2019年07月号[雑誌]

 

 

日経ビジネス 2019.06.10


発行元:日経BP

 

感想

今週号の特集は「知られざる実像 同族経営ですね。いま、LIXILで話題になってますものね。しかし、創業者ならまだしも、創業家が上場企業の経営を握るって、どーなんですかね。ファミリー企業だから長期的な視点に立って経営できるというのではないと思うのよね。長期的な視点に立ちたいなら上場をやめればいいと思うのだけどね。そして、サントリーや、カシオ、森ビル、小林製薬などなどが出てくる特集ですが、スズキがでてこないのよね。婿養子は経営成績が良好と言っているのなら、婿養子で会社がでかくなったスズキを取り上げなければ。息子は選べんが、婿は選べるんだよな。女系家族で婿養子が多い我が家は、まさにそれを感じますね。婿さんだから、遠慮するし、自制するしな。おっと、話ずれたね。

 

で、他に面白かった記事。

 

「みすぼFG、メガバンクで初めて容認 副業解禁、銀行人材の流動化へ」
むむむ。銀行でも副業解禁だなんて。もう、どこの世界であっても、終身雇用はないんだろーな。そして、減点法で評価されることの多い銀行、副業で成功できるような人材はいるのだろうか?

 

「米中摩擦、アジアに漁夫の利」
中国からの輸入品に関税がかかるようになるので、アメリカへの輸出が生命線の企業の中国脱出がはじまっているとな。その行き先はタイをはじめとしたアジア諸国なんだとな。人件費高騰で中国からの脱出を考えていた企業にとって、関税アップが背中を押した感じになりましたね。まぁ、中国は内需がものすごくあるから、工場の脱出はなんとかなりそうだけどね。それよりも、香港でもデモの弾圧のほうがヤバイよね。香港という緩衝地帯がなくなったら、どうなるか心配。  

満州航空の全貌 1932〜1945:大陸をかけた双貌の翼

 

著者:前間孝則
発行元:草思社

 

目次

序章 世界に類例のない翼
第一章 操縦士たちの満州事変
第二章 閻錫山の隠密飛行
第三章 児玉常雄と国際航空事情
第四章 大陸進出への序曲
第五章 満州国の建国と軍閥
第六章 満州航空の創設と救出作戦
第七章 関東軍指揮下の満州航空部隊
第八章 日独間「そらのシルクロード
第九章 大日本航空の誕生
第十章 ノモンハン事件南方駅戦線への出動
第十一章 ソ連軍の満州侵攻
終章 日航全日空

 

感想

中国東北部には、その昔、満州という国があった。今の遼寧省吉林省黒龍江省、そして内モンゴル自治区の一部の地域である。南は中華民国、北はソビエトと接する日本の衛星国家。

 

近現代史の授業では日本が戦争の時代に突っ込んで行く象徴的な国として扱われている。謀略と策略の限りが繰り広げられた、五族協和の国。裏と表に大きな違いがある国として。

 

そんな国にヒジョーに興味がある。大陸を自由に動き回りたいという思いがあるのかもしれない。きっと、何にもないであろう大地(行ったことないので妄想)を1人で旅をしたいのだ。

 

で、そんな日本の衛星国家であった満州には様々な国策企業が存在していたわけです。よく知られているのが、満鉄こと南満州鉄道李香蘭が看板スターであった満州映画協会もそうだ。

 

この本のタイトルとなっている満州航空もそんの国策企業の一つだ。

 

航空機の時代が幕を開けた昭和初期(西暦てでいうと1920年代)、広がり続ける日本帝国の勢力範囲と、航空機の需要があいまってできた航空会社なのだ。

 

それだけ聞くと、歴史の必然な話だけだけど、満州航空パイロットは軍隊航空部隊の人間であって、緊急事態が発生した時には民間航空機でありながら、軍事利用が命じられることになっていた。

 

むむむ。

 

さらに、満州航空は自ら航空機の生産も行っていたという。

 

なんたそのケイパビリティ。

 

それだけでもかなりのオドロキなのですが、個人的に一番刺さったのが、ルフトハンザと共に開拓しようとしていた、空のシルクロードですな。ドイツ&日本の敵国扱いであったソビエト上空でもなく、イギリスの勢力圏内であるインド上空も飛ばない。シリアや、アフガニスタンなどの中立国上空を飛び、ゴビ砂漠を飛び満州国北西部から、奉天を目指し、最後には東京を目指すという。Uボート伊号潜水艦を使い、地球を半周して、人と情報と物資のやり取りをするのと同じくらい常識外の行動。当時の飛行機は、現在の飛行機と比べて航続距離は短い。中継地となる空港も確保しなければならない。

 

フツーに考えれば無理ゲーで、実現不可能だとおもって、最初からチャレンジしようと思わないよな。

 

でも、やろうとしてしまうのが、戦争なんだな。

 

アメリカ軍だって、大西洋を超えて、イギリス経由、インド経由で、ヒマラヤ超えてB29を中国に運んで来てしまうし。

 

そんな無理ゲーを行っていた満州帝国のナショナルフラッグ。

 

敗戦と共に、当然のように消滅した航空会社。戦後の占領政策で日本の航空産業は解体されたわけなんだけど、元満州航空の人々が、戦後日本の航空産業立て直しに尽力したという話を聞くと、いろいろ考えることも出てきますね。

 

そして、森繁久彌さんも登場する、振り幅の広い話が素敵。

 

 

 

 

デス・バイ・アマゾン

 

著者:城田真琴
発行元:日本経済新聞社

 

目次

第0章 アマゾン恐怖銘柄指数とは
第一章 消える店舗、消える店員 アマゾンがリアル店舗を再定義する
第二章 次なるターゲットはファッションEC
第三章 ショッピング・エクスペリア リアル店舗の生き残りの鍵
第四章 買い物の敷居を極限まで下げるアマゾン
第五章 ラストマイルを巡る戦い
第六章 モノを売らないサブスクリプションレンタル
第七章 アマゾン・サバイバーの戦略

 

感想


デス・バイ・アマゾン。つまりアマゾンに殺されたということ。アマゾンが描く未来はユートピアでなく、デストピアなのではないか?なんて語られることが多い。

 

いまだにアマゾンをオンラインの本屋さんだと思っている人も、いないだろうけど、日本だと「町中から書店が消えたのはアマゾンのせいだ」と語られることが多い気がする。いやいや、それはツタヤとかの大型郊外型書店のせいだろうという気もするのですがね。

 

で、そこまでの話だったら、単なる「アマゾン怖い本」になるだけなんだけど、そうではない。アマゾンという一大勢力が、バイキングのように、モンゴル帝国のように攻め込んできても、戦い抜いて生き抜いている企業、サバイバー企業があるわけです。本書ではアマゾンの凄さだけでなく、そんはアマゾンサバイバーの魅力にも迫り、「アマゾンに殺されない方法」を伝えてくれるのが素敵。

 

生き残っている理由は、卓越したブランド力やターゲットとする顧客層の違い、あるいはテクノロジーの活用などさまざまであり、一概には言えないものの、日本企業にとっても参考になる点はあるはずだ。本書では、拡大し続けるアマゾンの戦略とアマゾンに対抗する企業の戦略を読み解きながら、アマゾンに殺されずに生き残るための方策を考えていく。

 

て、本書の冒頭にも書いてあるしな。


オンラインだけでなく、オフラインにも攻めてきているアマゾンだけど、恐れることも、侮ることも、真似することもなく、敵を研究して、謙虚に未来を考えることが重要なわけですよ。

 

で、アマゾン。オンラインの世界に閉じているだけでなく、オフラインの世界にも攻め込んできている。それもショールーミングの場を求めるだけでなく、きっちりと商いの場として考えているわけですよ。

 

アマゾン自身が焼け野原にしたオフラインの店舗経営に、アマゾンは何を求めたのか?それは、ビッグデータの活用だという。

 

最大の特徴はアマゾンのECサイトで収集したビッグデータの活用である。棚に並ぶ本は、ECサイトでベストセラーを獲得、あるいは星(ユーザーレビュー)4つ以上という基準が設けられている。また、予約販売状況や売上データ、さらには、その店舗の近隣エリアに住むこきの本の購入状況などを分析し(これにはキンドルのデータも含む)、その結果に基づいて在庫の調整を行っている。顧客の住所データを保有しているアマゾンならではの施策と言えるだろう。

 

ECと違い、オフラインの店舗には商圏という制約条件がある。その制約条件は「ハッキリと言語化できない」ものだったので、店舗経営には無駄が発生していた。その無駄を最低限に抑えることができる店舗スタッフや、エリアマネージャーは神レベルに扱われていたわけですな。

 

そこにアマゾンは手を入れた。ビッグデータで店舗経営から無駄をなくすにはどうすればよいのか?そこにスポットライトを当てたわけですな。オフラインに店舗が複数あれば、ラストワンマイル問題も縮小させることができるしね。

 

アマゾンゴーだって、そんな背骨がしっかりと存在していると。

一方、店舗の運営サイドからみると、アマゾン・ゴーは極めてスケーラビリティ(拡張制)の高い仕組みである点に注目すべきである。
これまでのコンビニエンスストアやスーパーでは、店長や店員の経験に裏打ちされた商品のジュハノウハウや店のオペレーションなど、店舗の運営に占める人的スキルの割合が大きく、重要であった。しかし、アマゾン・ゴーでは、ソフトウェアが店舗運営のかなりの部分までカバーしており、相対的に人に依存する部分は少なくなる。この点は多店舗展開を行う上では非常に大きなアドバンテージとなる。

 

ただ単に「無人店舗すげー。万引き対策どーすんだよ」と思ってるだけじゃ、だめなんだな。そこしかみないで「我が社の無人店舗は万引き対策してます」とかやってては駄目なんだな。いや、万引き対策重要だけどね。店舗経営で、どこに一番無駄が発生してるのか?をちゃんと見抜いて、そこの改善に活かすだなんて、ベゾスはセブン-イレブンでバイトでもしたことあるのだろうか?


セブン-イレブンは店舗オペレーションの無駄を省くために単品管理を生み出したのだけど、アマゾンは更にその上をいくってことね。

 

オフラインにも進出したアマゾンだけど、オンラインでも、攻勢は緩めていない。それはプライムビデオのようなサービスでもあるけど、本業のECでも攻めの姿勢は、緩めていない。それは、例えばファッションECだと。在庫や、サイズ、流行りや、低利益率が大きなリスクとして存在するファッションの世界にアマゾンは本気出して攻め込んできました、と。

 

そして、すでにライバルがひしめき合っているといのに。

 

でもね、そこにもちゃんと戦略があると著者は言う。だめになったらすぐに撤退するアマゾンだけれども、進出するときは、ちゃんと考えているようでと。

 

見えてきたアマゾンのファンEC戦略
①第三者のファッションアイテムの販売
プライベートブランドの商品開発
③「プライム・ワードローブ」によって複数アイテムの購入を促進
④「エコー・ルック」によるデータ収集

 

よそのブランド品も扱うけれど、それはあくまでもデータ収集する手段であって、プライベートブランドで儲けると。ZOZOTOWNと同じですね。ただ、と違うのはアパレル以外も扱っており、そっちの売上のほうが大きいということ。そして、ベゾスは自分の力(というか、会社)で宇宙に行こうとしてることだ。

 

最強のバイキングのように、最強のモンゴル帝国のように攻め込んでくるアマゾン帝国。とはいえ、このまま座して死を待つわけには行かない。そんな最強軍団との戦い方も書いてあった。

 

ほとんどの商品がアマゾンを筆頭とするECで買える時代になった今、既存の小売業者は、顧客がすすんでリアル店舗に足を運ぶ同義を作り出さなければならない。店舗でしかできない経験、つまり「ショッピング・エクスペリエンス」が、EC事業者との差別化、さらにはオンライン/オフライン問わずに競合他社との差別化につながるというわけだ。

 

いやん。ふつーのことじゃないか。でもね、ふつーのことが重要なんですよ。「流行ってるから」とか「自社ECがないとだめだから」とか言って表面だけ真似るからダメなんですよ、と。

 

自社が提供できる価値は何なのか?ちゃんと考えて考え抜くのが重要なんてすよと。

で、最後にアマゾン・サバイバーの企業が紹介されていた。コレラの企業を、ちゃんと研究しようと。

 

アマゾン・サバイバーの構成企業
①CarMax
②The Children's Place
③Esty
④Home Depot
⑤Lithia Motors
⑥Lumber Liquidators
⑦PetMed Express
⑧RH
Tiffany
10 Wayfair

 

と、いろいろ書きましたが、この本を読んで一番驚いたこと、読んで良かったことは、「デス・バイ・アマゾン」と呼ばれる企業グループがあり、アマゾンの動向に影響を受けまくる企業として、アマゾンの動向と合わせて株価がウォッチされているということだ。

 

そんな視点で仕事をしながら、こんな本を書ける著者って、すげー仕事できるんだろーな、と。

 

 

デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来

デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来