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絶滅鳥ドードーを追い求めた男 空飛ぶ侯爵、蜂須賀正氏1903−53

著者:村上紀史郎
発行元:藤原書店

 

絶滅鳥ドードーを追い求めた男のまとめ

豊臣秀吉の家臣であった蜂須賀小六正勝。その蜂須賀小六を家祖にもつ阿波蜂須賀家のお坊ちゃまが、本書の主人公。ヨーロッパー流に洗練された生活を好むお殿様が、鳥好きで、冒険好きだったとは。日本野鳥の会を立ち上げたお方だったとは。大正から戦前の時代に、世界を股にかけた日本人である蜂須賀正氏氏。「かっこいいなぁ」と憧れてしまうのは、世界中を自由に冒険できる立場にいたからだろうか?

 

絶滅鳥ドードーを追い求めた男を読んだ理由

ドードーって、あつまれどうぶつの森の、ドードーエアラインにつながるのかしら?なんて思ったのが、本当の理由

 

絶滅鳥ドードーを追い求めた男で仕事に活かせるポイント

動物であったって、海外の人であったって、初めて出会う日本に住む方であったって、同じ視線でコミュニケーションを行うことが重要なんだよな。

 

絶滅鳥ドードーを追い求めた男の目次

プロローグ 毀誉褒貶の人
1 正氏のイギリス、日本のイギリス
2 ロスチャイルドと絶滅鳥
3 イギリス留学中の調査・採集旅行
4 「有尾人」とムクドリを探すフィリピン探検
5 ベルギー政府のアフリカ探検
6 ブルガリア国王ボリス三世
7 空飛ぶ侯爵の帰国
8 日本野鳥の会の出発
9 大回りの帰国
10 戦争中の蜂須賀正氏
11 「マサは天才だったんだよ」
12 エピローグ 2014年、正氏の研究が注目される

 

絶滅鳥ドードーを追い求めた男の感想

この物語を「わがままな華族についての物語」として読むか、それとも「自由を愛した最後のお殿様」として読むかで、大きく感想は変わってきますね。前者の視点で読んでしまったら、それこそ上級国民許すまじ、となってしまうでしょう。阿波蜂須賀家の血を引くお殿様として、わがままに育てられた正氏が、金に物を言わせて好き勝手を行う。北海道の小作人を痛めつけ、小作人からの上納金で、金のかかる鳥の研究を行っている。それどころか、自家用飛行機まで買いやがって。日本中が戦争の被害を受けている中であっても、我関せずで、生活している。

一方、「自由を愛した最後のお殿様」として読むと、全く違った感想になってくる。ちなみに、私は、こっち側の視点で読みました。

正氏が人生を謳歌したのは、大正時代から昭和10年代まで。30年にも満たない短い期間だ。この間に、イギリス留学、ロスチャイルド家ブルガリア国王と交流を深め、アフリカやフィリピンを探検し、日本野鳥の会設立に寄与し、絶滅鳥ドードーの研究を行い、パイロットの免許を取り、自家用飛行機を買って旅をしているのだ。フランス語や、英語を自由に操り、ヨーロッパの上流階級と仲良くなるなんてことを当時の日本人で行う人がいただなんて。

今だったら「さすが、上級国民」と、嫌味を言われていたでしょうな。今じゃなくとも、正氏が生きていた時代であっても、「不良華族」と新聞に叩かれていたそうな。

自由が抑圧されていた時代と、学校で学ぶ昭和初期に、自由を謳歌していた人間。それが蜂須賀正氏。この名前を知っている人は、ほとんどいないかもしれません。が、この本で、蜂須賀正氏の名前を知ることができるのは、幸せですね。どうぶつの森をきっかけに、この本を楽しむのもいいでしょう。きっと、ドードーエアラインの創業者って、蜂須賀正氏なんでしょうねw。

それにしても、山階鳥類研究所って、ものすごく由緒正しい研究所だったのですね。紀宮様の勤務先くらいの認識しかなかったです…。虫の収集とか研究、鳥の収集とか研究は、お金かかるんだよねぇ。

 

 

タイトル:絶滅鳥ドードーを追い求めた男 空飛ぶ侯爵、蜂須賀正氏1903−53
著者:村上紀史郎
発行元:藤原書店