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データドリブンマーケティングがうまくいく仕組み

 
 
著者:吉澤浩一郎/国本智映
発行元クロスメディア・パブリッシング

データドリブンマーケティングがうまくいく仕組みまとめ

「データを用いたマーケティングは重要ですよ」「マーケティングPDCAにデータを用いないでどうするのですか?」いろんなところで耳にするフレーズです。が、「じゃあ、具体的にデータを用いてマーケティングを行うにはどうすればいいの?」ということを、ものすごく細かく、丁寧に教えてくれるのが本書。データを用いたマーケティングって言うのは、アクセス解析ログをもちいるとか、購買データでRFM分析をすることだけじゃないんだよ。ほんと、それだけじゃない。マーケティングというのは、施策を統合的に考える必要があるのですよねと言うことがわかる1冊。
 

データドリブンマーケティングがうまくいく仕組みを読んだ理由

まるっと仕事に活かせそうな本だと思ったので。
 

データドリブンマーケティングがうまくいく仕組み仕事に活かせるポイント

 
全部
 

データドリブンマーケティングがうまくいく仕組み目次

 
データドリブンマーケティングとは何か?
データドリブンマーケティングを成功させるために必要なこと
顧客を動かす仮説を作る
コンテンツを作る
KPIを設計する
データの扱い方
データからコンテンツを改善する
全体図を伝えるためのバウンダリーオブジェクト
バウンダリーオブジェクトの描き方
俯瞰図が見えてくる人を育てる
 

データドリブンマーケティングがうまくいく仕組み感想

 
この本、マーケティングに少しでも関わる人は、読んでおいた方がいいですよ。それくらい重要な本です。データを利用して、データを活用してマーケ手ディン具を前に進めていく方法。平たく言えばそれだけなんですけれど、これってものすごい深い話しなんですよ。「たくさんKPIを設定して、たくさんデータをとりましょう」という話しじゃないのですよ。まぁ、この本のキモは表紙に書いてあるのですけれどね。
 
データよりも、「仮説」から始めよう
 
ということなのです。
 
データは効果検証をするためじゃなく、仮説検証をするために活用するのですよ。そして、効果検証は仮説検証の1つなんですよ。
 
で、なんでデータを取得して仮説検証することが重要なのか?ってことと、仮説検証は効果検証の中に含まれる1つの要素と言えるのか?ということはこの説明から理解できるのですよ。
 
1 見込み客or既存客はどうしたら態度変容するか?という仮説を立てる
2 態度変容させるためのきっかけ(重要施策=コンテンツ)を制作するのと同時に、どう態度変容させるかという数値的指標(=KPI)を設定する
3 メディアを通じてコンテンツを発信し、見込み客or貴顧客を態度変容させる
4 見込み客or既存客の行動データを取得する
5 KPIを抽出し、ファクトデータとして整理知る
6 自社で保持している顧客の属性データ等と併せて分析する
7 分析結果に基づき、新たな仮説を立てコンテンツを生み出す
8 これを繰り返し、データを蓄積することで、次の仮説をより確からしいものにする

 

 
このように仮説があって、その仮説を検証して、その仮説を発展させるために、データが必要になるんですよ。そして、重要になってくるのはデータをとるためのプラットフォームというか、コミュニケーション、コミュニケーション・シナリオなのですよ。で、このコミュニケーション・シナリオは「メディアとディバイス」「コンテクスト」「インセンティブ」に分けて考えることができるのですよ。

そして、このコンテンツを作るときに役立つのが「コンテンツブリーフ」というものなのですと。コンテンツブリーフとは、誰に何をどのように何を使って、同態度変容をさせて、その態度変容をどんな数値で取得するのか明らかにするモノだといいます。



このようなコンテンツブリーフを作成しても「具体的にどうやってコンテンツを作ればいいかわからない」と言うときは多々あります。そういうときのコンテンツ案(いや、コンテンツの考え方ですな)も教えてくれるのも素敵です。

 



で、このようにコンテンツをうまく利用してKGI/KPIの確認をしていくのですが、KGI/KPIは下記のように考えていくのだとな。

 
こうしたKGIを実現するためのCSFとその評価指標となるKPIは、一様ではありません。したがってKPIは、最初からこれと決めつけるのではなく、「重要な施策において、何がKGIに直接的・間接的に寄与するか」「実際にデータを計測できるか、もしくは近しい数値が取得できるか」等を洗い出しながら、安易に「よくあるKPI」に飛びつかず、個別に検討する必要があるでしょう
 
そして、参考と言うことで各ビジネスのKPI例が紹介されているのが素敵です。

 




で、このように作った計画をしっかりとドキュメントにまとめていくのですが、そのドキュメントはそれぞれのロールに合わせて作成するのだそうな。それをバウンダリーオブジェクトというのだそうです。

で、個人的に「これは!」と思ったバウンダリーオブジェクトは役員向けと担当者向け。

役員向けのバウンダリーオブジェクト
 
・As-IS(現状の問題とその主な原因)
・課題
・具体的な施策名称・施策目的
・施策目標
・施策の仕組み
・施策KPI
・施策の留意点
・大枠のスケジュール
・想定費用、ROI

 

 
担当者向けのバウンダリーオブジェクト
・顧客ジャーニーマップをベースにしたデータ連携・活用
・ユーザー体験フローをベースにしたデータ連係・活用
・登場人物をベースとしたデータ連係・活用





気になるバウンダリーオブジェクトを書く流れは以下の通り。
 
①まず担当者レベルが必要とする全体図(像)を描きます。その際、専門チーム(自社のシステム部や外部のエンジニア、デザイナー、アナリスト等)の知見もヒアリングした上で、実現可能なレベルのプランを描いていくことが重要です。必要とあれば躊躇なく組織間の垣根を越えて、必要な地券を獲得しにいく、これも多能工マーケティングプランナーならではの動きだと言えます。
②次に意思決定者、主に経営層、事業部長クラスがわかるレベルでの全体図(像)を描きます。施策や仕組みレベルでの解説は粗くなりますが、意思決定の材料となる、期待される成果やROI等が明確になるはずです。
③上記②を経て決済が得られたところで、さらに詳細を詰めるために、専門チームでそれぞれの全体像(図)を描きます。

 

 
そして、このバウンダリーオブジェクトを書く際には次の4つの軸を用いるのだと言います。
 
1 時間軸
2 人軸
3 メディア・ディバイス
4 データ軸

 

 
最後に。データを用いた施策を考える際に重要になってくるのが多能工型スキルを持った人材です。多能工型スキルを持った人材にあって欲しいスキルは「全体図(全体像)を描けるベーシックスキル」と「的確に聞き出す・伝えるベーシックスキル」の2つになります。
 
「全体図(全体像)を描けるベーシックスキル」をもっと具体化していくと、こんな力を持っている人になります。
●ファクトファインディング力
●動的思考力
●アダプション力
 
動的思考力とは、物事を構成する様々な要素が、それぞれ動的に関係していることを把握し、何を変えると何に影響があるかを把握しながら物事を考えられる力のことを意味します。アダプション力とは結果から原因を探ることができる力を意味します。
 
「的確に聞き出す・伝えるベーシックスキル」を具体化していくと、こんな力を持っている人になります。
●意図把握力
●スロー思考
●メタ表象力(メタ認知力)
 
メタ表象とは、こちらが伝えたいことを相手がこういうイメージ(表象)しているだろうとイメージが持てることです。この力があると相手が欲しい情報を効果的かつ効率的に提供できるようになります。メタ認知・メタ表象を高めるためのテクニックとして抽象と具体を行ったり来たりする思考がいいのだと行くことです。
 
仮説を立てる。仮説を件するために必要なデータを定義する。データをとったら仮説検証を行う。仮説検証とは事実の抽出であって、事実を抽出できたら、事実の因果関係に関する問いを立てる。そして、この問いが新たな仮説になる・・・で繰り返し。
 
そして、この全体の流れを整理しまとめるツールがバウンダリーオブジェクトだというわけですね。
タイトル:データドリブンマーケティングがうまくいく仕組み
著者:吉澤浩一郎/国本智映
発行元クロスメディア・パブリッシング