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ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件

著者:ジョン・W・ムリンズ
発行元:英治出版株式会社
 

 

ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件まとめ

 
新規ビジネスを作るにはどうすれば良いのか?どの点に気をつければ良いのか?様々なマーケティングフレームワークを利用しながら、その方法を教えてくれる1冊。素敵すぎる本。学術、アカデミックな世界から業務の世界に知識を落とし込むのに最高の1冊だ。
 

ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件を読んだ理由

 
新規ビジネスを立ち上げたいので
 

ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件で仕事に生かせるポイント

 
もう、全部ですよ。
 

ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件の目次

 
第1章 ビジネスチャンスを見極める
第2章 魚は食いつくか
第3章 市場の評価
第4章 業界の評価
第5章 競争優位の維持
第6章 起業家としての夢実現
第7章 CSFに対する実行力
第8章 バリューチェーンとの関係
第9章 7つの成功条件のモデルの活用
第10章 ビジネスプランをまとめる前に
 

ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件の感想

 
お勉強で学んだマーケティングをどうやって実務に落とせばいいんだ?
 
コトラーや、ドラッカー、ポーターが言うことはどうやって実務に落とせば良いのか?
 
そうな病んでいる人にお勧めなのが本書ですね。
 
新規ビジネスを立ち上げる人向けの本ですが、その実は抽象化されたマーケティングフレームワークをどうやって実務に落とすのか? がまとめられております。
 
なので、この本だけ読んでも「なんのこっちゃ」って思う人もいるでしょう。
 
でも、コトラーや、ドラッカー、ポーターを読み込み、抽象化された内容を具現化することに悩んでいる私のような人にはお勧め過ぎます。
 
で、いか、本書の内容。
 
「市場」は、製品(商品やサービス)を購入する意思を持つ顧客や潜在顧客の集団で成り立っている。彼らの目的は、特定の欲求やニーズを満たすことである。従って、市場を構成するのは「買い手」(人々や組織とそのニーズ)であって「製品」ではない。
 
「業界」は、製品や似通った製品群を提供する「売り手」で構成されている。
 



 
市場と業界の区別が重要な理由。それはサービスを提供しようとする「市場」の魅力に対する評価は、競争の場となる「業界」に対する評価とは大きく異なるから。市場の魅力を評価するための質問は「業界」の魅力を測るための質問と違う。
 
だから、この本にはトヨタ式もびっくりするくらいに、様々な質問が出てくる。
 
これらの質問に1つ1つ応えることで、ビジネスモデルが見えてくるのだ。
 
マクロレベルで市場を評価するのは非常に簡単。まずは、市場規模を評価する。次に将来の見通しを判断する。そのときに使うのがマクロレベルの動向(人口動態、社会文化、経済、技術、規制、気候など)
 
ミクロレベルの市場に関しては次の4点に関して質問する。
●自社の商品やサービスのメリットを理解し、購入してくれる市場(顧客)セグメントは存在するのか? 自社の商品はターゲット顧客が喜んでお金を出し、彼らの悩みや痛みを解決できるのか?
●顧客が思い描くメリットは、すでに提供されている商品やサービスよりも、何らかの点(品質、スピード、価格など)で優れているか?
●このセグメントの大きさはどれくらいか?どれほどの速さで成長しているのか?
●このセグメントへ参入することは、かねてから狙っている他のセグメントへの参入に繋がるか?
 
 
当時、NTTドコモiモード企画部長だった夏野剛が興味を持ったターゲット市場には、金融市場や個人資産に関心の強い顧客層が含まれていた。そこで同社では銀行業界と連携を結ぶことで、iモードをこのような顧客に売り込んだ。「700社以上のコンテンツパートナーのうち、320社は銀行です」と夏野は言う。
 
投資家がミクロレベルの市場について知りたがっていること
●投資家は、あなたのアイディアや製品について知りたがっているわけではない。彼らが知りたいのは、あなたの提供する製品が、いかに顧客の悩みを解決できるかと言うことだ。あなたが顧客の悩みを明確に特定できれば、投資家も興味を示すだろう。
●投資家は、悩みを抱えているターゲット顧客が誰だかを知りたがっている。また、あなたの提供するサービスを、その値段で購入するという証拠をほしがっている。
 
市場セグメントを特定する3つの方法
①顧客は誰なのか? その顧客の属性はどのようなものか? B2Bのビジネスの場合、顧客の属する業界、企業の規模、他の企業の特徴などを参考にする。
②地理的に特定すると、顧客はどこにいるのか?
③行動やライフスタイルで言えば、顧客はどのように行動するのか? B2Bの場合には、製品の使われ方によって、行動の違いを特定する。
 
市場セグメントが違えば、ニーズ持ちがい、別の解決策が必要になる。起業家は、既存の市場を新たな方法で切り分け、自らがターゲットとしたセグメント市場に対して、新しい解決策を新しい方法で提供する。その結果、起業家は、圧勝できるセグメントを、自ら新たに生み出す。
 
結局のところ「”なぜ”顧客が商品を購入するか」を知ることは、顧客へメリットをもたらすことにつながる。顧客がお金を払って購入するのは、商品の特徴でなくメリットであるからだ。この区別を理解していない起業家は多い。
 
ロードテストの第1段階 ミクロレベルでの市場テスト
 
●あなたの商品や、サービスは、顧客のどの悩みを解決するのか? あなたに代価を払ってまで買いたいインセンティブを、顧客に与えているか? 魚は、その値段で餌に食いつくか?
●悩みを抱えている顧客は、厳密に言えば誰で、どこに住んでいて、どのような仕事に就いているのか? これらを示すような最新の情報をつかんでいるか?
●あなたの提供する商品やサービスは、他社が提供しないどのようなメリットをもたらすか?
●顧客は、あなたが計画中の商品やサービスを買うのだろうか?その証拠は何か?
●ターゲット市場は、今後も成長しそうか?その証拠は何か?
●関連した商品・サービスを提供することで、メリットを得られそうなセグメントが他にも存在するか?存在するのであればどのようなセグメントなのか?
●別のターゲットセグメントに移行する際に、いかに「成功の仕組み」も移行するか?

 

 
市場についての重要な3つの質問
Q1 今、市場は大きいだろうか? 競合他社が足を引っ張り合わずに、自社のセグメントへサービスを提供できる規模だろうか?
Q2 あなたの市場の短期成長率はどう予想されるか? 逆の予想を示す情報がなければ、市場の最近の成長率から近い将来の状況を予想できるだろうか?
Q3 あなたの市場の長期成長率はどう予想されるか? これは、マクロレベルの動向(経済、人口動態、技術、規制、自然の動向)によって大きく影響を受ける
 
ロードテストの第2段階 マクロレベルでの市場テスト
 
●あなたは、どんなビジネスを望んでいるのか? 巨大な規模に成長できそうな事業か? それとも、ニッチ市場にサービスを提供する小規模のライフスタイル事業家? まずこの問いに答えなければ、特定のチャンスに対する以下の問いに答えることはできない。
●あなたが狙っている市場の規模はどれくらいか> 規模の測定に何種類の方法を使ったのか?
●過去1年、3年、5年、10年の間に、どれほどの速さで成長してきたか? 
●次の半年、2年、5年、10年の間にどれほどの速さで成長しそうか?
●あなたの市場に影響を与える経済、人口動態、社会文化、技術、規制、自然の動向を特定できるか? これらの動向はあなたの事業にとって望ましいものか? あなたの事業にどのような影響を与えるのか?

 

 
業界の魅力を評価するうえでもっとも有効なのは、マイケル・ポーターの5つの競争要因のフレームワークである。
 
ロードテストの第3段階 マクロレベルの業界テスト
 
●あなたはどの業界で戦おうとしているのか? 慎重に定義しなさい。
●この業界に参入するのは簡単か、それとも難しいのか?
●この業界へのサプライヤーは、取引条件を決定するだけの交渉力を持っているか?
●買い手は取引条件を決定するだけの交渉力をもっているか?
●代替製品が市場を奪ってしまう可能性は高いか? それとも低いか?
●競合他社との敵対関係は厳しいか? それとも穏やかか?

 

 
競争優位を維持するための鍵
初期の競争優位が生じるのは、起業家が顧客に差別化をはかったメリットを提供したとき、すなわち、競合他社の製品やサービスよりクオリティが高く、価格が安く、あるいは提供のスピードが早いと顧客が思えるようなときだ。このような共創優位は、以下の場合に継続できる。
●他社が複製もしくは模倣できない財産(特許、企業秘密など)がある。
●他社が複製もしくは模倣できないほど優れた組織プロセス、能力、資源がある。
●ビジネスモデルに採算性がある。たとえば、潤沢なキャッシュがあることが当てはまる。逆に言えば、採算性は以下の要因に大きく依存している
 ・必要な資本投資や利益率に見合うだけの売上がある
 ・顧客獲得・維持のコストや、顧客を引きつけるために要する時間が妥当である
 ・必要な固定費をカバーできるほど十分な貢献利益がある
 ・以下に述べるような運転資金のサイクルの特徴が好ましい状況にある
  運転資本(在庫など)に必要な現金や期間はどれほどなのか?
  顧客は、どれほど早く代金を支払うのか?
  仕入れ代金や賃金の支払いをどれくらいまで引き延ばせるか?
 
ロードテストの第4段階 ミクロレベルでの業界テスト
 
●あなたは、他社がまねできないような財産権の要素(特許、企業秘密など)があるか
●あなたのビジネスでは、他社がまねできないような優れた組織プロセス、能力、資源を開発・採用しているか? 証拠を挙げるように
●あなたのビジネスモデルには、採算性があるのか? たとえば「手持ちの現金がすぐにつきてしまうことはない」と証明できるだろうか? この問いへの答えは、次の質問への答えにかかっている
ー必要な資本投資や利益率に見合うだけの売上はあるか?
ー顧客の獲得・維持にどれほどの費用が必要なのか?
ーあなたの貢献利益は、固定時をすぐにカバーできるほど充分なのか?
ー顧客は、どれほど早く代金を支払うのか?
仕入れ代金や賃金の支払いを、どれほど引き伸ばせるのか?

 

 
CSFとは重要成功要因のこと
 
パームの経営チームがCSFをまとめたそのステップ
STEP1 顧客の本当の問題やニーズを理解する
STEP2 技術に対する理解を深め、可能なことと付加棒なことを現在と将来の両面で理解する
STEP3 これらの問題やニーズを解決するために技術を活用する方法を見つける
 
ロードテストの第6段階 実行力テスト
 
●あなたの業界にとってのCSFを挙げなさい。片手に収まる程度でいい。あなたがCSFを性格に特定していることを示すために、どのような書庫を提示できるのか?
●あなたのチームが、これらのCSFのそれぞれを実行できることを、言葉でなく、過去の行動で証明できるか?
●あるいは、CSFのうち、あなたのチームでは充分に実現できないような要因はどれか? チームを増強しなくてはならない要因はどれか?

 

 
ロードテストの第7段階 関係性のテスト
 
●あなたや経営チームには、バリューチェーンの上流に当たる企業と関係があるのか? 相手は、計画中のビジネスに対するサプライヤーや、競合しそうな起業家もしれない。他の業界で代替品やサービスを提供する企業に対するサプライヤーと、関係を結んでいるか? 名前、肩書き、連絡先を確認しなさい。
●あなたや経営チームには、バリューチェーン下流に当たる流通業者や顧客と関係があるのか? 相手は、あなたの会社の現在か将来のターゲットになるだろう。名前、肩書き、連絡先を確認しなさい。

 

 
いやはや、この内容はとても深いですな。
 
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タイトル:ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件
著者:ジョン・W・ムリンズ
発行元:英治出版株式会社