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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

東京大学物語

 

著者:江川達也
発行元:小学館

 

東京大学物語まとめ

函館に住む村上直樹が、初恋の人&恋人の水の遙かと共に東京大学合格を目指す漫画から、いつの間にか、人間の本能とは?心とは?学歴とは?社会とは?つながりとは?ということを迫ってくる傑作。最初は中二病的なプラトニックな描写と、悶々とした村上直樹の妄想だけだったのですけれどね。いつの間にかセックスの描写とセックスの妄想になり、気がついたらSMプレイの描写とSMプレイの妄想になってくる。どういう精神状態で読むのか?どういう体験をしたあとに読むのか?で感想が大きく変わるマンガです。この作品は梶井基次郎や、三島由紀夫の小説に並ぶくらい、人間の本質を描いていると思いますよ。そして、エロい描写の向こうから、読み手の教養の高さ、教養の深さを訪ねてくる作品なのですよ。

 

東京大学物語を読んだ理由

石原莞爾の話から、江川達也作品を再度読みたくなったので

 

東京大学物語で仕事に活かせるポイント

頭がいいとはどういうことなのか?って、絶えず考え続けることですね

 

東京大学物語の目次

始まりは突然に
くどい2人
平行線
ファースト・キッス(但し村上のみ)
おっぱい
本番
仮面浪人
自分
早稲田の逆襲
走馬灯
夢いっぱい
保身
妄想の果て
絶望
濡れ場
処女
拘束
覚醒
旅立ち
童心
難破
作品
無神経
しあわせ芝居
二重性行
火宅
恋愛法則化運動
緊縛的精神治療
胸の釦
純愛
肯定攻撃
鬼畜
挿入
永遠の青春

 

東京大学物語の感想

東京大学物語」を初めて読んだのは、連載タイミングと同じですね。なので、1994年。高校3年生で受験生だった頃。なんと、水野遙に告白して、村上直樹が遙ちゃんと付き合い始めた年頃と同じなのだ。そして、大学受験を失敗するのも同じでしたな。まぁ、私の場合は東京ダウ医学を目指していたのではなく、村上が仮面浪人するために1年通った早稲田大学だったのですけれどね。そして、村上は一浪して東大に合格しましたが、私は一浪しても早稲田に受かりませんでしたがね。

 

と、そんな感じですね。

 

そんな状況で読んだ「東京大学物語」は、もう、エロマンガですよ。エロマンガ。最初の頃は、村上のオナニーシーンばかりでしたが、東京で遙ちゃんを一人にして、英里ちゃんとセックスをした頃から、ひたすらセックス描写の連続。もう、エロマンガ。たぶん、色々うるさい2020年に「東京大学物語」が誕生したら、スピリッツに掲載されることはなかっただろね。

 

で、それから30年近くたって読み返す。

 

もう、受験勉強や、学歴に関する興味も、女性に対する興味も、性欲もあまりなくなった状態で「東京大学物語」を読むと、感動しかありません。

 

なんだろう、人間ってすごいな。そして、欲望で動き続ける人間も、誰かが作ったレールの上を走る人間も、決められたルールに対して疑わない人間も、「赤ちゃんの頃はそうじゃなかったんだよな」と、理解できるようになるわけですよ。

 

そして、欲望で動き続けない人間で、誰かが作ったレールの上を走らない人間が水野遙であり、水野遙の真逆の人間として描かれるのが村上直樹だと言うことに気がつけるのですよ。それに気がつくと、すべてが、すーっと心に入ってくる。

 

水野遙が村上直樹以外に惹かれる人間って、みんな若い頃は村上のような人間だったってことに気がつくんだよな。そして、自分の中に、村上のような自分がいることに気づいてしまうのだよな。

 

なんだろう?この文学作品のような読後感は。

すごすぎるぞ。

 

きっと、村上直樹って村上春樹をモチーフにしてつけられた名前なんだろうな、なんてことを思うのですよ。

 

 

 


タイトル:東京大学物語
著者:江川達也
発行元:小学館