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隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側

 

著者:鎌倉英也
発行元:論創社

 

 

隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側のまとめ

ノモンハン事件。戦争でも、紛争でもなく事件。しかし、ソビエト側から見たら、戦争。なのでソビエト側からの名称はハルハ河戦争。日本にとって不都合なことは徹底的に隠して、戦争の道へと進んでいた。そんな昭和初期のお話。言葉遊びに終始して、精神論に終始して、希望的観測に終始して、敗戦に路いいえ言った日本政府のダメさ加減、日本人のダメさ加減を糾弾しつつ、ソ連・中国・日本&満州国の間で翻弄され続けたモンゴルの近現代史について触れる本。簡単に読み終えることのできない重い本。

 

隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側を読んだ理由

ロシアがウクライナに攻め込んだことによって

 

隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側で仕事にいかせるポイント

情報を集めたら、しっかり生かすことですね。

 

隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側の目次

第1章 誤差 「ノモンハン事件」ではなかった
第2章 断筆 司馬遼太郎ノモンハン
第3章 衝撃 五万枚のロシア秘密文章
第4章 開戦 「五ドルの価値」もない戦場
第5章 粛正 「モンゴル要塞」の完成
第6章 殺戮 ハルハ河への旅
第7章 虜囚 それぞれの戦後
第8章 未完 消えない傷跡
第9章 現在 2020年への警告

 

隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側の感想

1939年に開戦となったノモンハン事件。日本での名称はノモンハン事件だけれど、ソビエト側の名称はハルハ河戦争。旧満州とモンゴルの間にある河の名前がハルハ河。領土争いから起きた戦争ですね。草原以外何もない場所で、ソビエト軍の機械化師団にボッコボコにやられてしまった日本軍と満州軍。でもね、最初は火炎瓶を持った神風アタックで、そこそこの成果を上げていたんだよ。ソビエト側の戦車はガソリンエンジンなので、火炎瓶で燃やすことができたのだよね。でもね、その弱点息がついたソビエト軍は、エンジンを燃えにくい軽油を利用するディーゼルエンジンに変更。日本軍の戦車ではソビエト側戦車の装甲を打ち破ることができなかった故の神風アタックも、ディーゼルエンジン戦車には効力を発揮することができずに惨敗。

 

中央の意見を無視して無謀な戦争に突っ込んでいった辻政信もびっくりだけれど、ノモンハン事件の教訓である「しっかりとした機械化師団があって、それも大量になければ今の戦争に勝てないよね」という意見を無視した参謀本部もやばい。「そうはいっても、日本の国力じゃ無理っしょ。だから精神論だよ。大和魂だよ」って。そりゃ、戦争に負けるわね。まぁ、神風アタックにおびえて戦車から逃げ出さないように、戦車のハッチを溶接してしまうソビエト軍も鬼畜ですけれどね。

 

東洋のおかしな軍隊(日本軍)と西洋のおかしな軍隊(ソビエト軍)の戦いだったのですが、その2国の間で存在をもてあそばれた国があるのですよ。それがモンゴル。ソ連に続いて世界で2番目の社会主義国家として独立しても、実際はソ連の傀儡国家にしか慣れなかった国。民族自決、自主独立の希望を胸に持って独立しても、スターリンの駒として使われた国。そして、ノモンハン事件ではモンゴル民族はソ連モンゴル国軍と日本・満州国軍に分かれて戦わされたという。

 

何という悲惨な。

 

20世紀、帝国主義時代にボロボロにされてしまったモンゴル民族と、モンゴル国の存在に胸が痛くなる。

きっと、世界にはこういう国がたくさんあるのだろうな。

 

本書、最後に「アベがー」という内容が出てきたのだけれど、ロシアによるウクライナ侵攻があり、アベちゃんが暗殺された今、「いやいやいや、あべがーと危機をあおっているけれど、ヤバいのは日本よりもロシアでしょ。ハルハ河戦争時代から変わってないじゃないか」と思ってしまうわけですよ。

 

 

タイトル:隠された「戦争」 「ノモンハン事件」の裏側
著者:鎌倉英也
発行元:論創社