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マーケティングの教科書

編集:ハーバード・ビジネスレビュー編集部
発行元:ダイヤモンド社

 

 

マーケティングの教科書のまとめ

「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングイノベーションである。」というドラッカー先生のフレーズが冒頭、引用されているのですが、まさにそのとおりですね。この論文集には会社に必要なエッセンスがぎっしりと詰まってます。

 

マーケティングの教科書を読んだ理由

マーケティングについて学びたかったので

 

マーケティングの教科書で仕事に活かせるポイント

コトラー先生の「営業とマーケティングの壁を壊す」と、クリステンセンに「セグメンテーションという悪癖」とセオドア・レビットの「マーケティング近視眼」は必読

 

マーケティングの教科書の目次

第1章 営業とマーケティングの壁を壊す
第2章 セグメンテーションという悪癖
第3章 マーケティング近視眼
第4章 マーケティング再考
第5章 顧客ロイヤルティを測る究極の質問
第6章 「つながり」のブランディング
第7章 ブランド評価の新手法 ブランド・リポート・カード
第8章 ブランド・コミュニティ:7つの神話と現実
第9章 女性の消費力が世界経済を動かす
第10章 法人営業は提案力で決まる

 

マーケティングの教科書の感想

マーケティングってのは、マーケターだけが学ぶもんじゃないんだよな。企業に関わるすべての部署、すべての人が学ぶべき科目なんだよなぁ。ファイナンスと一緒で必修科目ですよ。そんな前提で本書を読むと震えますよ。マーケティングってくくっていますが、企業経営すべてに応用できるエッセンスが詰まってますからね。流石っす。ハーバード・ビジネス・レビュー。

いろんな論文が掲載されているのですが、個人的に刺さった論文が「営業とマーケティングの壁を壊す」「セグメンテーションという悪癖」「マーケティング近視眼」「ブランド・コミュニティ:7つの神話と現実」。さすがのコトラー先生に、レビット先生だと思うのですよね。クリステンセンの「ジョブ理論」は、やはり必読だと思うのですよ。

 

で、気になるところの気になるポイントのまとめ。

 

営業とマーケティングの壁を壊す」では、組織の話。営業とマーケを仲良くさせる話もいいのですが、マーケティング組織の話にも触れていてよかったですな。
マーケティング部門は2つに分けるべき。それは戦略の立案という上流課程と、導入事例の作成や、営業ツールの準備といった戦術を行う下流課程にです。
これ、実際にマーケの組織を率いて見ると痛感するんですよね。マーケをタスクと考えちゃってる人と、マーケをストラテジーと考えている人の溝はすごいのよ。

 

セグメンテーションという悪癖」では、ジョブ理論に基づくお話。
顧客は何らかの「ジョブ」を処理する必用があるだけなのだ。そこで、ジョブを処理する必要に気づくと、簡単に言えば、商品を「雇い」、自分の代わりにそのジョブに当たらせるのだ。購入される商品を開発したいと願うマーケターにとって、分析に欠かせない単位は「顧客」ではなく、「ジョブ」なのだ。
これは見につまされ話。そーいや、Netflixではデモグラフィックや、サイコグラフィックで顧客セグメントを作ってないんだよね。全部が行動データ。つまり、ジョブに基づいてのセグメント。
この論文では「マーケティングが顧客に焦点をあわせていると、幻のニーズを追いかけるというけっかに終わるケースがあまりにも多い。」とも述べているけれど、まさにそうよね。

 

マーケティング近視眼」はレビット先生の論文。さすが、ドリルと穴や、アメリカの鉄道会社にツイテズバッと言い当てた人だけのことはあります。
永続的な成長産業は存在しないのに、そう信じ、急激な拡大のあとに思いがけない衰退が訪れる理由をレビット先生は教えてくれます。

①人口は拡大し、さらに人等は豊かになりつづけるから、間違いなく今後も成長すると確信している
②当産業の主要製品を脅かすような代替品はあるはずがないと確信している
③大量生産こそ絶対だと信じ、生産量の増加に伴って、急激に限界コストが低下するという利点を過信している
④製品は周到に管理された科学実験によって、どんどん品質が改良され、生産コストを低下させるという先入観がある。

やばい、これ、全部、日本企業に当てはまるじゃないかw

 

そして、最後に「ブランド・コミュニティ:7つの神話と現実」。最近、共創とか、コ・クリエーションが話題になっていますが、それらがおかす基本的な間違えを教えてくれます。次にあげるブランド・コミュニティの7つの神話は、覚えておく価値ありですよ。

その①
【神話】ブランド・コミュニティは、マーケティング戦略である。
【現実】ブランド・コミュニティは、事業戦略である
その②
【神話】ブランド・コミュニティは企業のために存在する
【現実】ブランド・コミュニティは、そこに集まる人たちのために存在する。
その③
【神話】ブランドを確立すれば、コミュニティがついてくる。
【現実】コミュニティづくりに工夫を凝らすことで、ブランドが強化される
その④
【神話】ブランド・コミュニティは、ロイヤルティの高いブランド支持者のための「愛の祭典」でなければならない。
【現実】賢明な企業は、対立を歓迎し、コミュニティを賑わせる。
その⑤
【神話】オピニオンリーダーが、強固なコミュニティを築き上げる。
【現実】ブランド・コミュニティは、メンバーがそれぞれの役割を果たす時、最も強固になる。
その⑥
【神話】オンライン・ソーシャル・ネットワークは、コミュニティ戦略のカギである。
【現実】オンライン・ソーシャル・ネットワークは、コミュニティ戦略ではなく単なるツールである。
その⑦
【神話】ブランド・コミュニティは、厳格なマネジメントとコントロールによって成功する
【現実】ブランド・コミュニティは、人々のものであり、人々にヨッテ成立っており、マネジメントとコントロールを受け付けない。

 

私が知っているコミュニティ運営論って大きな間違えな気がしてきました。そして、コミュニティ内で必要とされるそれぞれの役割、つまりロールの話が、これまたいい。

 

メンター
学習者
バックアップ
パートナー
ストーリーテラー
歴史家
ヒーロー
セレブリティ
意思決定者
プロバイダー
歓迎係
ガイド
カタリスト
パフォーマー
サポーター
大使
帳簿係
スカウト

 

コミュニティ参加者をしっかり導いて、それぞれのロールを割り当てて、実行してもらう必要があったのね。

 

 

タイトル:マーケティングの教科書
編集:ハーバード・ビジネスレビュー編集部
発行元:ダイヤモンド社