著者:黒岩健一郎/浦野寛子
発行元:有斐閣社
サービス・マーケティングのまとめ
サービスマーケティングに関する知識を身につけるには最適な一冊。無味乾燥な教科書チックな内容ではなく、架空の会社を例にとってのケーススタディとなっているのがいいです。マーケティングについて学ばなきゃとか、もの売りから琴売りに切り替えろと言われて困っている、なんていう人におすすめの一冊。
サービス・マーケティングを読んだ理由
サービス・マーケティングについて学びたかったから
サービス・マーケティングで仕事にいかせるポイント
全てですね
サービス・マーケティングの目次
01イチコン
サービス社会の到来
事例:メルカリ
02:クリーン社
サービスの特性と分類
事例:タニタ
03:オールボイス
モノからサービスへ
事例:ブリヂストンエコバリューパック
04:ヘアサロンSAYA
サービス・マーケティング・ミックス
事例:オリエンタルランド
05:ワールド・トップ・ランド
サービス・エンカウンター
事例:星野リゾート
06:ラックスインホテル
サービスの品質と顧客満足
事例:スターフライヤー
07:絆カフェ
顧客ロイヤリティ
事例:アメリカン・エキスプレス
08:ヴェリターブル
従業員との関係構築
事例:ザ・リッツ・カールトン
09:稲崎病院
サービス・リカバリー
事例:四国管財
10:朝日格出版
サービス・デザイン
事例:特許庁
11:TEM集
サービス・マニュファクチャリング
12:エンジョイソング
サービスの経験価値・ブランド価値
13:ラーメン白船
サービスの需給マネジメント
事例:イオンエンターテイメント
サービス・マーケティングの感想
もの売りからこと売りへ。プロダクト売りから、サービス売りへ。
上司にそうやって号令をかけられ、困っている人にこそお勧めの1冊。サービス・マーケティングに関する本は、世の中にたくさんあります。が、この本は、素人にもわかりやすく、そして、しっかりとサービスマーケティングについて教えてくれます。
素敵な本ですよ。
そもそも、なんで「もの売りからこと売り」に世の中が流れていったのか?その回答も、しっかりと本書に書かれていますよ。
脱コモディティ化するためには、機能や利便性といった提示の顧客価値ではなく、「経験」という高次の価値を体現した製品やサービスを提供するビジネスへと転換する必要がある。
自社のサービスや製品を、値下げしないで売りたいがために、もの売りからこと売りに、上司は切り替えたいんだな、とわかってきます。
そして、それが、生半可な覚悟じゃ出来ないと言うことも、わかってきます。
もの売りから、こと売りへってことは、グッズドミナントロジックから、サービスドミナントロジックに切り替わったということなのです。
サービスドミナントロジックでは、交換価値でなく、顧客が使用するときに生じる価値に焦点を当てているのです。売ったら終わり、という時代じゃなくなるのです。
売ったら終わりじゃなくなるということは、末永くお客さんとコミュニケーションを行うと言うこと。
末永く、お客さんとコミュニケーションをすると言うことは、それだけ顧客接点、お客様に接するタイミングと時間が増えるってこと。この場面のことをサービス・エンカウンター(消費者がサービス提供者と直接コンタクトを持つ、つまり消費者がサービス組織と出会う、それぞれの場面をサービス・エンカウンターと呼ぶ)といって、提供するサービスの価値を決める重要なポイントとなるのだ。
で、そうやって提供するサービスなのですが、商品としてのサービスは、一般に、コアとなるサービスと、それに付随するサブ・サービスから構成されるという。そのサブ・サービスの拡充の仕方には2通り考えられる。1つ目は、「サブ・サービスを広範化する」方向性で、2つ目は「どれかのサブ・サービスにポジションを定め突出させる」方向性である。リーダー型企業は広範にサブサービスの拡充を図る。小さな企業は1つの突出型サービスを掘り起こす。もちろん、コアサービスがくずれると、どんなにサブサービスが優れていても、死んでしまう。
あら、いやだ。そんな簡単に「もの売りからこと売り」なんて号令かけないでよ、と思えてくる。
でも、この本は、事例も豊富で、非常にわかりやすいのですよ。
参考図書も、豊富に紹介されているしね。本書を読んでいたら読みたくなった本はこれ。
タイトル:サービス・マーケティング コンサル会社のプロジェクト・ファイルから学ぶ
著者:黒岩健一郎/浦野寛子
発行元:有斐閣社