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極夜行

著者:角幡唯介
発光元:文藝春秋

 

極夜行のまとめ

北極圏や、南極圏では太陽が沈まない。白夜の話は有名だ。その白夜の反対が極夜。太陽が一日中登場しない状態を、極夜という。この極夜の中を犬ぞりと六分儀を使い冒険するという。ノンフィクション作家で、極地探検を得意とする角幡唯介さんの本。ちなみに、本書のプロローグとなる「極夜行前」も、あわせて読むことをオススメします。大型犬が欲しくなりつつ、人力だけで旅をすることの無謀さがわかります。そして、どちらの本からも、勇気をもらえますよ。

 

極夜行を読んだ理由

そりゃ、角幡唯介のファンだから

 

極夜行で仕事に活かせるポイント

しっかりとした準備。やばいと思ったら、引き返すこと

 

極夜行の目次

東京医科歯科大学附属病院分娩室
最北の村
風の巨瀑
ポラリス神の発見
闇迷路
笑う月
極夜の内院
浮遊発行体との遭遇
曙光
極夜の延長戦
太陽
あとがき

 

極夜行の感想

犬ぞりと六分儀を使い、極夜の北極圏を冒険するという、「極夜行前」の続編。システム化された生活の外側に出る。19世紀の探検隊や、冒険家のように道を進む。その崇高な目的と、軽妙洒脱な文章が、今回も十分以上にワクワクさせてくれる。

今回も舞台は世界最北の集落、グリーンランドにあるシオラパルク。相棒は犬のウヤミリック。武器は天体観測で現在地を割り出す六分儀。

偵察と、準備と、訓練を行っていたら、ビザの期限切れが起きてしまったのが、前作「極夜行前」。ようやく入国禁止の措置も終わり、極夜行を再開しようとしたら、途中に備えておいた食料や燃料(デポという)が、白熊に荒らされたことが発覚したのが、「極夜行前」と「極夜行」の間に起きた出来事。

早稲田大学探検部として訓練と経験を積み、東チベットの秘境を踏破した冒険家であっても、多くのアクシデントに見舞われるのだなぁ、と、ビビる。備蓄食料を先住民の漁師に食べられちゃうとか、白熊に食べられちゃうとかは、どれだけ準備しても、回避することはできないけど。

それ以外にも、次から次へと、襲ってくるアクシデント。冒険開始直後に、氷河の麓で巨大なブリザードに襲われ、現在位置を確認するのに必需品である六分儀をなくしてしまうという。スタート地点からわずか15kmでの出来事。GPSもなく、六分儀もない状態で、冒険するって無謀だ…そんな状況でも、地図と、コンパスだけで極夜の北極圏を冒険するという。え? 極夜って真っ暗なんですよね?

人間の生きるチカラというか、本能ってすごいんだなぁということがよくわかる本書。それにしても、面白く、引き込まれる文章だ。コロナ禍により、旅行が簡単にできない今だからこそ、この本を読むと、旅に出かけたくなる。

 

 

タイトル:極夜行
著者:角幡唯介
発光元:文藝春秋