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文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976

著者:フランク・ディケーター
監訳者:谷川真一
訳者:今西康子

発行元:人文書院

 

 

 

文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976のまとめ

人類史上、もっとも多くの死者を出したのではないか? と言われている中国の大躍進政策。その記憶も消え去らない時代に行われたのが文化大革命。竹のカーテンの向こうで行われた惨劇をドキュメンタリーの大家が、最新の研究成果を踏まえて綴ったのが本書。上巻では、大躍進政策によって巻き起こされた大飢饉のその後から、階級闘争=文化大革命の詳細、そして、周恩来によるせんげの終結までを記載。日本の進歩的知識人が語るような中国共産党指導部だけでなく、庶民の視点から文化大革命を語っています。いやー、やべぇ。なにこれ、怖い。共産党や、共産主義者社会主義者ってみんなこうなのだろうか? 絶対に近寄らないようにしよう。過去の歴史を否定するのではなく、破壊するような人には近寄らないようにしよう。そう思える一冊。

 

文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976を読んだ理由

中国の最高指導者、習近平毛沢東に心酔しているという。反共産党分子を摘発し、自信を神格化させるためには手段を選ばないその状態は、文化大革命時の毛沢東のようだと、言われているため。

 

文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976で仕事に活かせるポイント

発言の自由がなくなる、文化的な自由がなくなるような環境からは、一気に逃げよう。

 

文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976の目次

第一部 大飢饉後(1962 -1966 )
第1章 二人の独裁者
第2章 階級闘争を決して忘れるな
第3章 文化戦線
第4章 4人の反革命集団
第二部 紅色の年代(1966 - 1968)
第5章 大字報闘争
第6章 赤い八月
第7章 旧社会の破壊
第8章 毛沢東崇拝
第9章 経験大交流
第10章 造反派と保皇派
第11章 軍隊の出動
第12章 武装競争
第13章 鎮火

 

文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976の感想

やばい。その一言しかない。

中国共産党のとっぷであり、中華人民共和国の設立者である毛沢東社会主義共産主義は資本主義、民主主義よりはいい。そう語る学校の先生を一切信用していなかった私ですが、小の本を読んで、それは確信に変わりましたよ。もしかすると、中国共産党だけがやばくて、毛沢東だけがやばいのかもしれませんが。

毛沢東のぶちあげた数値目標を達成するために、中国中で不正が行われ、人民を搾取し、大量の餓死者を産み出した大躍進政策。この責任を取らされるのじゃないか?いまの地位を追い落とされ、部下や、国民から糾弾されるのじゃないか? 実際に、ソビエトではスターリンの批判がすごいことになっているじゃないか。

そんな超個人的な不安を解消する矯めに行われた数々の非道。そうやって疑心暗鬼になるってことは、自分が行ってきたことがおかしいことである、悪いことであるっていう認識があったのだろうな。そうじゃなければ、ここまでのことをおもわないだろう、と。

きっと、毛沢東は、サイコパスだったんですよ。

そう言ってしまえば、簡単かもしれない。でもね、中国以外、ソビエトだって、ルーマニアだって、カンボジアだって、国家の最高指導者が自分の地位を守るために、ひととは思えないことをおこなっていったじゃないですか。もしかすると、共産党のトップはサイコパスじゃないと、なれないのか? まぁ、ベトナムや、キューバのように指導者が、本当に国民から慕われていそうな国があるけれど。

いやはや、やばい。

共産党の指導部だけが、ドンぱちやりあうだけの仁義なき戦い状態だったならまだしも、国民を巻き込み、文化を破壊し、国土をめちゃくちゃにした文化大革命。中国四千年の貴重な歴史的遺産が、大量に破壊されたんだよな。やってることは、タリバンと同じだ。さらに、自分の部下を信じられなくなったので、純粋無垢な子供たちを紅衛兵として組織する。そして、敵対する部下を攻撃させる。もう、やってることがポル・ポトと同じだ。おっと、どっちも、中国共産党をお手本としているのかもしれない。

いまの日本政府はダメダメだけれど、まだ、この本に書かれている世界よりましだな、と思えてしまう。

国民は政治家のためにある。とても素晴らしい政治家のために頑張って。そんな世界は嫌だ。そんな政治家により「地獄は終了」という宣言がなされたまでが上巻。ただ、それで地獄は終わらないんだよな。

だって、中国は真っ赤っ赤に染まったからね、地獄は終了って宣言だったんだから。

 

 

タイトル:文化大革命 上 人民の歴史 1962 - 1976
著者:フランク・ディケーター
監訳者:谷川真一
訳者:今西康子