著者:本橋信宏
発行元:宝島社
東京最後の異界 鶯谷のまとめ
東京一のディープタウンは、芸術と、死と、快楽がグチャ交ぜになった場所だ。鶯谷なんて地名はなく、住所でいえば台東区根岸。江戸幕府の裏鬼門の向こうにあった、のどかな下町だったのよね。山手線の駅なんてできなければ、もっともっと小さな町だったんだろうな。そんなことを思いつつも、北の玄関口、上野の山の向こう側という不思議な立地はそれを許してくれなかったのだろうな、とも思う。そんな鶯谷の表や裏に迫った一冊。
東京最後の異界 鶯谷を読んだ理由
昭和史を調べるのが、私のライフワークなので
東京最後の異界 鶯谷で仕事に活かせるポイント
特になし
東京最後の異界 鶯谷の目次
第1章 陰と陽の街を歩く
第2章 「鶯谷発」韓デリの魔力
第3章 人妻の聖地 鶯谷
第4章 吉原と鶯谷
第5章 鬼門封じと快楽の地
第6章 秘密は墓場まで
第7章 鶯が谷を渡る
東京最後の異界 鶯谷の感想
鶯谷には、なんであんなにラブホテルがあるんだ? 10年近く巣鴨に住んでいるときから、ずっと思っていたことだった。風俗街としては大塚や、巣鴨のほうが有名だし、繁華街としてなら上野だ。ラブホテル街という謎のラベリングがされる街、それが鶯谷である。
その理由が知りたくて、この本を読んだ、とも言える。ただ、なんとなく理由はわかっていた。想像がついた。
戦後、焼け野原となった場所に、木賃宿がたくさんできたのだ。上野という大きなターミナル駅があるおかげで、木賃宿の需要が高かったのだ。その後、経済成長や、交通手段の発展にともない、木賃宿の需要が下がっていった。そんな時代の流れから、木賃宿は、連れ込み旅館になって、ラブホテルに進化していったという。
ほほう。新宿近辺にある、百人町や、大久保のラブホテル街と同じだな。
ただ、百人町ととがうのは、鶯谷はデリヘルメッカでもあるということだ。これは、歌舞伎町のような店舗形の風俗店がなかったということと、そんな風俗店を潰すために風営法が改正され、デリヘルが大流行したから、という流れもある。
そして、鶯谷からほど近い、日本最大のソープ街である吉原で働けなくなった、年齢のいったお姉様方が、立ちん坊をしていた問背景もあったという。
なかなかすごい街だな。
正岡子規が住み、昭和の爆笑王である初代林家三平師匠が住んだ街だというのに。鶯谷と反対側、上野の山の上にある上野桜木町は、本駒込6丁目と並ぶ高級住宅街だというのに。
でもね、鶯谷はこのままでいてほしい。西日暮里のように再開発されちゃうと、つまらない。