まとめ
同じ本であっても、時間をおいて読み返すと、いいことがあるものです。最初に読んだのは初版が登場したに直後。だから、今から十年前。その時は、素直に孫正義さんの境遇を「スゲー」と思っただけでした。十年ぶりに読んで感じたことは、孫正義さんのお父さんがスゲーってことです。ビジネスセンスというか、時流を読むことの鋭さが、流石ですわ。また、十年後に読むと違うことを感じるのだろうな。
この本を読んだ理由
また、孫正義さんのことを知りたくなったので
仕事に活かせるポイント
突然、羽振りがよくなった人には近寄らないこと
目次
プロローグ
第一章 孫家三代海峡物語
第二章 久留米から米西海岸への「青春疾走」
第三章 在日アンダーグラウンド
第四章 ソフトバンクの書かれざる一章
第五章 「脱原発」のルーツを追って
第六章 地の底が育てた李家の「血と骨」
第七章 この男から目が離せない
あとがき
感想
「あんぽん」というのは、孫正義さんの日本名であった安本から作られた言葉。
在日韓国人ファミリーであることを隠さず、孫という名字で日本国籍を取得し、ソフトバンクを日本有数の大企業に育て上げた男。孫正義さんの内側、腹の中、彼が創り上げられた環境の裏側にまで迫った一冊。
2012年、はじめて世の中の目に触れた当初は「こんなところまで書いちゃって良いのでしょうか?」という意味で、世の中がざわついた本。
まぁ、そりゃ、そうでしょう。戦中戦後、在日コリアンの人々がどのような生活を送り、そのなかで孫正義さんはどうやって育ってきたのか?が事細かに記されているのだものね。
で、それから約10年ぶりに本書を取ってみる。「そーいや光の道とか言ってたな」とか「脱原発もいいけれど、山を削って、自然破壊してまで設置した太陽光パネルについてはどう思ってるのだろう?」なんて、思いながら、読み進める。
いつの間にか、興味の中心は孫正義さん本人ではなく、お父さんの安本三憲に移ってしまった。
なんだ、このおっさん、面白いぞw
在日二世として生まれ、戦後の混乱期を生き抜いてきたオッサン。このおっさんもすごいけれど、同じくらい、このおっさんのお母さんもすごかった。つまり、孫正義さんのおばあさんも、すごかった。
勤勉ですね、の一言じゃ、片付けられないんだよな。時流を読む感の鋭さと、頭の回転の良さ、そして、なにより肝が座っている。
そりゃ、こんな家庭であれば、孫正義さんのような若者はそだつよ。
そして、このお父さんであれば、自分が血を吐いて死にそうになっている時、息子が高校を辞めて「アメリカに行く」と言ったら、反対しないで送り出すよな。そして、その後も息子の背中を押し続けるよな。
この本は孫正義さんのお父さん、安本三憲さんの物語として読んでも面白いなぁ。