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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

「十五少年漂流記」への旅

著者:椎名誠
発行元:新潮社

 

まとめ

シーナワールド炸裂です。今回は南半球のパタゴニア。この地で十五少年漂流記の舞台となった島を探す旅。今回もいろんな困難に、色んな情報にぶち当たるわけだけれど、本書で一番紹介されている情報は、著者の読書経験だったりする。さすがの読書量と感心するだけでなく、「本を読むって言うのは知らない世界を教えてくれるきっかけ」であることを気付かされる。そうなんだよ。読書は世界への入り口なんだよ。

この本を読んだ理由

ポンコツになった頭のリハビリをかねて

仕事に活かせるポイント

とくになし

目次

小さくて多すぎるいやらしいものたち
アレウト族の鼻の横骨
マゼラン海峡
ハノーバー島への航海
アザラシの吠える声
絶海の孤島で何を食うか
太平洋ひと回り
世界でここだけしかない時間を持つ怪しい島
漂流者をのせてさまよえる島


感想

仕事が忙しすぎて、メンタルを壊してしまったのだ。ほとんど寝れない状態になり、気分はふさぎ込み、やる気はなくなり、思考が停止し、考えていることを言葉にすることができず、この世の終わりのような状態になったのだ。

いわゆるうつ病ってやつですね。

会社を休み、脳みそを落ち着かせ、クスリを飲み、ひたすら休養。

回復してきたタイミングで、リハビリという意味で手に取ったのは、シーナの本である。

今でも覚えている。

中学2年の時、塾の先生から「面白いよ」と薦められたのが『岳物語』だった。近所の書店で購入した『岳物語』は、その日のうちに読み終えた。そこから一気にシーナマニア。自分の父親に「なんで、シーナのようにならないんだ!」と説教したこともあった。

それほど大好きだったシーナの本も、仕事が忙しくなるに従って、手に取らなくなってしまった。業務に関する本を読まないとだめだからね。

そんなことが積み重なって、メンタルを壊してしまったのだ。

だからの、椎名誠

この一冊が“楽しく読める”本のはずである。

抗うつ剤と、抗不安薬の頼っている私ですが、一気に読めた。当初の読み方は業務に関する書籍を読む様だったけれどね。椎名誠は、すごいたくさん本を読んでるんだな。その中でも様々な種類の漂流記を読んでるんだな。漂流記の評論家ができるレベルだよなって。

だめだな。シーナの世界を純粋に楽しめてないじゃないか。

って、思うこともあったのだけれど、楽しめましたよ。中学生の頃、出会ったように。受験勉強そっちのけで読み漁った頃のように。

なんで、一心不乱になって読んだのか?その答えが、本の後半に書いてありました。

 

十五少年漂流記』を、子供の頃に読むことの幸せは、これから何がおきるのか、どうなっていくのか、という不安と期待が凝縮している、そしてそれらのすべてを、十五人の子供たちだけで対応していかなければならない、という“未知”があることだった。

 

これはシーナが大好きな『十五少年漂流記』について寄せたコメントだけれども、私は椎名誠の文章にいつも同じことを感じてました。いや、昔は感じていたんだよ。

そして、椎名誠の娘である渡辺葉の後書きが、秀逸なのだ。私がシーナの世界に求めていること、感じていることがしっかり説明されている。

 

まだ見ぬ世界や知らない世界に触れ、発見や新しい思索を得る。ヴェルヌも椎名も、冒険と発見、空想という「世界への扉」に魅了され、それを分かちあうために書き続けてきた。新しいものに触れる驚きや楽しみが読者に届き、新たな冒険と思索、出会いにつながっていくように、と。

 

そう。

私も、私が書いた文章で、みんなに楽しみを伝えたいんだ。笑いを届けたいんだ。

レポートや、報告書を作るためだけに文章力を発揮したり、コンテンツマーケティングをするためだけに企画を考えたくはないんだよ。

リハビリとしては、最高の一冊に出会いましたね。

 

 

タイトル:「十五少年漂流記」への旅
著者:椎名誠
発行元:新潮社