まとめ
これは営業の本なのか?それともマーケティングの本なのか?判断が別れるところですな。でも、はっきりしているのは、営業とマーケティングというのはきれいに住み分けができるものではないということですよ。「ここまでがマーケティング」「ここからが営業」なんて住み分けができない。だからこそしっかり手を取り合って進まなければならない。そして「この本に書いてあること普通すぎる」「この本に書いてあることをやってるんだけれど」という意見も出てくるでしょう。そして「だけど、うまく行ってないんだよ」と。それはやりきっていないということもあるけれど、しっかりデータまで連携してなかったりするんだろうな、と思う。インフラだけを統合していてもだめなんだよな。流れるデータまで統合しておかないと。そうしないと結局、局地戦になってしまうわけでね。
この本を読んだ理由
「戦略的産業財マーケティング」と「B2B営業成功の7つのステップ」の2つの言葉にやられたから。
仕事に活かせるポイント
セグメンテーションを行う際の、変数の粒度ですね。マクロからミクロに向かって①産業変数②企業変数③購買状況変数④購買行動変数⑤購買センター変数と、細かくなっていく点ですね。そして、これはB2Cのセグメント粒度よりも細かいという点は、覚えておく必要がありますね。
目次
序章 B2B市場における新たな実践的アプローチ
第1章 現状分析 4つのCで分析する
第2章 基本方向 事業目標、事業領域、競争戦略を定める
第3章 コンセプト(STP) セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
第4章 提供物とその価格 製品・サービスから価格を設定する
第5章 販売チャネル(販路) 直接販売か、間接販売かを選択する
第6章 販売促進 コミュニケーションを設計する
第7章 営業活動 買い手の価値を実現していく
終章 デジタル・トランスフォーメーション B2Bの本質は変わらない
感想
本書の肝は「営業とマーケティングは不可分、一心同体である」ということですね。
日本企業においてマーケティングも部署がなかったのは事実。でも、マーケティングは機能していた。それは、なぜか?営業の部署がマーケティング活動も行っていたからなわけですよね。
営業の本なのか?マーケティングの本なのか?いまいちよくわからない本書のきもは、そこなんだよな。
不可分ですよ、と。
効率の良い営業というのはマーケティングのことから考えているし、マーケティングというものは、営業までしっかりと考えないといけないのですよ、と。
でも、「よし、考えた!」というだけではだめでして、しっかりとロジカルにストーリーが流れる必要もあるし、データも管理される必要があるんだな。
奥が深いんだよ。
B2Bマーケティングを含む、マーケティングという考えは、法律でしっかり決まっているわけじゃないんだからね。
著者は「B2Bマーケティングは相対的に高い知識を持った限定的で少数の顧客との協働的な交換関係を通して、顧客の戦略を実現すべく展開されるところに特徴があると。」記している。そして、マーケティング戦略とは「顧客の満たされないニーズを見つけ、定義し、それに対してソリューションを提供することにより顧客価値を想像する一連の施策」とも定義している。
”相対的に高い知識を持った限定的で少数の顧客との協働的な交換関係を通して、顧客の戦略を実現すべく展開される”なんて営みを営業だけで完結することも無理だし、マーケティング部員だけでできる世界でもないんだよな。
そして、しっかりと顧客の戦略を考えなきゃだめなんだよな。何よりも調査が必要で、重要。
「B2Cの市場では生活の質の向上を求めることが購買の目的であるが、B2Bの市場では事業における戦略の実現が目的となる」って著者も言っているしね。自分の思いを実現することが、目的じゃないんだよな。会社は自分の人生そのものです!なんていう人もたまにいるけれど、そんな人でも、会社の備品を、サービスを購入する目的は事業における戦略の実現が目的だとおもうのだよね。
そこを理解していれば著者にこんなことを指摘される必要もないんだよね。
顧客は価格が高いから買わない、低いから買うというのではないことは明らかになっているという。高いものであっても必要なものであれば、積極的に購買活動に向かい、逆にどんな安いものであっても意味を見出さなければ購入の検討すらなされないのだ。
でも、世の中には「やすければいい」と思っている人が多いから、わざわざこうやって書いているんだろうな、と思うわけですよ。