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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

補給戦 何が勝敗を決定するのか

著者:マーチン・ファン・クレフェルト
訳者:佐藤佐三郎
発行元:中央公論社

 

まとめ

素人は戦略を語り、プロは補給を語るって言いますが、マジですね。どんなに素敵な戦略だって、どれだけ度肝を抜くような戦術だって、そして他を圧倒するような戦力だって「その軍隊を養い、補給する力が無ければ成り立たない」のですから。そんな補給戦の話の重要さをしっかりと教えてくれる素敵な論文。いやはや凄いな。ロジスティックの重要さを「これでもか!」と教えてくれる一冊。

この本を読んだ理由

成毛眞さんがおすすめしてくれてたんだよな。たしか。コロナ禍にあって、マスクや、なんやかんやを届けることの重要性を教えてくれる本と言うことで。

仕事に活かせるポイント

完全ウェブ完結のスマホゲームでもない限り「補給戦」つまり後方のロジスティクスの重要さは変わらないんだよ。どんな仕事にも通じる話がぎっしりと詰まっております。

目次

序章 戦史家の怠慢
第1章 16~17世紀の略奪戦争
第2章 軍事の天才ナポレオンと補給
第3章 鉄道全盛時代のモルトケ戦略
第4章 壮大な計画と貧弱な輸送と
第5章 自動車時代とヒットラーの失敗
第6章 ロンメルは名将だったか
第7章 主計兵による戦争
第8章 知性だけがすべてでは無い

感想

この本の凄さは「補給」という、戦争論の中ではあまり重きを置かれることの無い話に、100%スポットライトを当てていることなのですな。

派手な闘いや、戦術にスポットライトが当たることの多い戦争の話だけれど、戦争はそれだけで成り立っているわけじゃ無いんだよな。太古の昔から軍隊を養う補給というのが重要であって、補給がウマくハマらないと軍隊は反乱を起こすこともあったという。

じゃ、どうしていたのか?
それは、現場で略奪行為をみとめることで、担保していたのですよね。

戦場で軍隊が略奪をするというのは、大昔から行われていたことだったんですよね。

それも、けっこうつい最近まで。

むむむ。

とはいえ、軍隊が略奪だけで補給(維持)ができるような時代ではなくなってくると、軍隊の大きさと同じくらい補給が重要視されてきた。

そして、補給が軍事力の制約条件になってきた。

ってことなのね。

そんな補給戦にスポットライトを当てた論文(集)なわけですが、読み進めると「戦争では戦術と同じくらい補給戦が重要なのね」と言うことがわかるだけでなく「一般のビジネスにおいても補給戦、つまりロジスティクスって言うのが重要なんだな」というのがわかってくるのですよ。つまりロジスティクスが、物事の制約条件になるってことは、戦争であってもビジネスであっても、変わらないってことだな。

そして、日本の戦争、つまり戦国時代や、南北朝時代の話は詳しいけれど(あと三国志時代の中国ね)、近代以前のヨーロッパの闘い(戦争)についても、調べたいなぁ。詳しくなりたいよなぁ。

 

 

タイトル:補給戦 何が勝敗を決定するのか
著者:マーチン・ファン・クレフェルト
訳者:佐藤佐三郎
発行元:中央公論社