著者:広瀬佳司
発行元:彩流社
まとめ
私たちは、てか、私はユダヤについて何も知らないんだなぁ、と。イディッシュ語なんて、もちろん知らなければ、明治時代の日本を支えてくれたジェイコブ・ヘンリー・シフなんて投資銀行家も知らない。もっと正しくユダヤや、ユダヤの歴史についても、学ばなければならないね。まず、知ることから始めないと。
この本を読んだ理由。
アメリカで黒人の抗議活動が激しくなる中、「何かを知らなければ」ってことで、探している時に見つけました。
仕事に活かせるポイント
国の成り立ちというか、民族のアイデンティティというものをしっかりリスペクトしなきゃ、だめなのですね。そして、リスペクトするには、正しく知ることが重要なのですよ。
目次
第一章 ホロコーストの歴史とその苦難を生き抜いた人々
第二章 イディッシュ語とユダヤ人の心
第三章 「イスラエル人」とユダヤ人
第四章 アメリカのユダヤ人
第五章 シンガー兄弟 ユダヤ教とキリスト教の融和
第六章 新た名イディッシュ文学伝統 スティーヴ・スターン「凧の話」と「結婚式の道化師」
2019年ロサンゼルス公演 小辻節三を世界に
ロサンゼルス公演
まとめ
ユダヤ人と言ったら、イスラエルと、ユダヤ教と、ホロコーストという知識しかない。いや、もう少し、冷静に考えれば、国を持たない民族であったユダヤの民は、ヨーロッパで迫害されていた、なんてことも思い出す。
しかし、そこが知識の限界である。
アメリカで無実の黒人が警官により殺される事件が多発し、その抗議デモが、日を増すごとに大きくなっている。そんなアメリカの今を知りたく、本を探していたら、本書に出会った。
この本に、何かのヒントがあると思ったのですね。
読んでわかったことは、私は何も知らないということだ。
ヨーロッパで迫害され続けてきたユダヤ人が、大量虐殺されたという悲劇は、ホロコースト以前にもあったという。十字軍の時代にもあったという。キリスト教文化圏が語りたがらない、負の歴史。このようなこと起きるのは信じる宗教の違いだからだという。
でも、本当に宗教の違いだけなのか?といっても、ユダヤ教の中にだって温度感の違いがあるわけで、そんなに簡単に分類できない。
本当に私はものを知らないのだ。イディッシュ語なんて初めて知ったし。ヘブライ語とは違い、東欧にいたユダヤ人が会話をする時に用いていた言葉だって。いまではイスラエルでも使えるユダヤ人は少なくなったと言うのに、著者は使えるのだという。
すごなぁ。
このイディッシュ語により多くのユダヤ人の心のハードルを下げ続けてきたが、イディッシュ語によってハードルが上がってしまった例も出てきた。
本当に世の中は複雑なんだ。そして、私の知らないことだらけなのだ。