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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

増補版 箱根富士屋ホテル物語

著者:山口由美
発行元:千早書房

 

まとめ

クラシックホテルとして有名な、富士屋ホテル。日本初のリゾートホテル。そこまでは知っていた。けど、創業者が山口仙之助で、山口家が運営していたホテルだなんて知らなかった。さらに、この著者が、その山口家の人であり、富士屋ホテルで育った人だとは、もっともっと知らなかった。日本を代表するクラシックホテルの歴史と、そのホテルの中で繰り広げられた数々の出来事。まるで、その場にいるかのように、この本には引き込まれていきます。

この本を読んだ理由

クラシックホテルに興味があり、日光金谷ホテルか、箱根富士屋ホテルに泊まりたいと思っていたので。

仕事に活かせるポイント

箱根富士屋ホテルを創業した山口仙之助のように、時代の先を見る目と、投資が重要ってコトですね。

目次

I 箱根山に王国を築く
II 繁栄と題脱線
III 嵐の中の守り手
「嵐」の舞台裏

感想

箱根は宮ノ下のランドマークとなっている箱根富士屋ホテル。日本を代表するクラシックホテルであり、日本で最初のリゾートホテルであることは知っている。でも、知っていたのはそこまでです。泊まったことはありません。すこし、ホテル内を見学したことはあります。それくらいの知識量です。個人的には箱根よりも日光が好きなので、クラシックホテルに泊まるのであれば「金谷ホテル」かな、なんて思っていました。

 

でもね、クラシックホテルに興味があるんですよ。その歴史に興味があるんですよ。便利さよりも、新しさよりも、歴史に興味津々なのですよ。だから、泊まってみたいな、富士屋ホテル、と思っていました。

 

それくらいの知識量なので、富士屋ホテルが、元々は横浜の遊郭だなんて知りませんでした。山口仙之助が創業し、この本の著者が直系のお方だなんて、全くもって知りませんでした。

 

いやいや、知らないことばかりですね。

 

富士屋ホテル国際興業が経営しているってことは、なんとなく知っていましたが、それは横井英樹富士屋ホテルを乗っ取ろうとし、横井英樹を追い出すために著者の祖父である山口堅吉が小佐野賢治を頼ったからだなんて、この本で初めて知りました。

 

しかし、知らないことだらけだ。山口堅吉の前の社長、山口正造の実家が金谷ホテルで、兄は金谷ホテルの社長だったなんて。両方のホテルが気になる私としては、びっくりです。明治・大正の世にあって「日本におけるホテル経営」というのはベンチャー業種であって、経験者というのは少なかったから、狭い世界だったのでしょうね。そんな時代、アバンギャルドな野心を抱く人々が生み出した建築に、設備に、私は興味があるんでしょうね。当時の心意気が、クラシックホテルには残ってるっていうことでしょう。

 

明治初期から昭和40年代まで。富士屋ホテルの歴史絵巻が楽しめる1冊は、あることを教えてくれます。それは「息子は選べんが婿は選べる。」ということ。初代・仙之助以外、富士屋ホテルの経営をになってきた山口家の当主は、みんなお婿さんだったのね。

 

いろんなコトを教えてくれる1冊です。

 

 

箱根富士屋ホテル物語 (小学館文庫)

箱根富士屋ホテル物語 (小学館文庫)

  • 作者:山口 由美
  • 発売日: 2015/11/06
  • メディア: 文庫