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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

伝説のコピーライティング実践バイブル 史上最も売れる言葉を生み出した男の成功事例269

著者:ロバート・コリアー
監訳者:神田昌典
発行元:ダイヤモンド社

 

まとめ

この本を「古いなぁ」ととるか? それとも「核心的な話は変わらないな」ととるかで、読後感は大きく変わってきます。ロバート・コリアーが活躍したのは20世紀初頭。前半ではなく、初頭です。そして、この本が書かれたのは(内容がまとめられたのは)1930年代。100年近くも昔のノウハウを引っ張り出してきて「成功事例だと?」と思ってしまったらアウトです。もったいない。言葉で情報を伝えるということ、言葉で興味を引き、クロージングにまで持っていくという流れは、19世紀も、20世紀も、21世紀も変わらないのです。言葉が載るプラットフォームが、手紙なのか?DMなのか?Emailなのか?SNSなのか?という差だけなのです。

この本を読んだ理由

ニューノーマルな時代では、何より言葉が重要視されるであろう。ということで、久々に本棚から引っ張り出して、読み直しました。

仕事に活かせるポイント

たしかに古臭いところはたくさんありますが、「顧客視点の言葉を利用し、文章を作成する」というポイントは、何十年経っても重要なポイントです。企業視点ではなく、顧客視点。自社の特徴をどれだけ顧客視点に置き換えることができるのか?がポイントになりますね。

目次

監訳者はじめにー神田昌典 本書を手にしたあなたが、いま観察されていること
第1章 効果的なセールスレターは何が違うのか
「相手が欲していること」を提供する
第2章 どうやって「欲しい」と思わせるか
相手に行動を起こさせるには
200ドルを2000ドルに変えた秘密
第3章 目新しい情報を盛り込む
目新しさのある書き出しで注目してもらう
「値引き」や「お買い得品」も目新しい情報になる
開封を促す工夫いろいろ
第4章 イキイキと描いてほしいと思わせる
相手が分かる言葉でイメージを描かせる
背景ストーリーで感情をかき立てる
第5章 買わせる動機づけ
相手にとってのメリットを説明する
愛情は最強の動機、ただし使い方が難しい
第6章 論より証拠
証言、無料お試しなどで証明して信用を得る
第7章 そっと背中を押す工夫
相手をどんどん押していく仕掛けを工夫する
無料お試し期間に何が起こるか
第8章 かかった相手を逃さないしかけ
相手を逃さない結びのしかけ
いますぐ取るべき行動をわかりやすく指示する
結びに仕掛けを仕込んで注文確保
第9章 レターの必須6要素
私がセールスレターを書くことになったきっかけ
実証データを巧みに使う
セールスレターの素晴らしい効果を実感し、次のステップへ
第10章 すべてはこうして始まった
書籍の通販コピーを書くようになったきっかけ
販売員に遠慮しながら最初のダイレクトメールを送る
使う言葉には全て目的がある
第11章 最初が肝心
一度信頼してもらえたら、関連商品を売り込みやすい
制約付きの通信販売の限界
第12章 『O・ヘンリー短編集』を200万ドル分売ったレター
信販売メインの出版社への転職
何度も売り込んでいる相手に、「最後のチャンス」をアピール
コピーよりも、その裏にある作戦が重要
なぜ、2年で200万ドルも売れたのか
第13章 売れに売れた戦争もの
成功の陰で地道なテスト販売
作戦次第で売上が2年で14倍に!
売り込み尽くしたあとでも売れた「キズあり」レター
言葉の背後にあるアイディアこそが重要
第14章 よく知られている本の場合
広告が適切なら、売れ行きを大いに刺激できる
バランスの取れた名簿を作るには
作品集を一度に全巻買って貰う方法
一番重要なのはレター
第15章 どうやってウェルズの『世界史体系』を売り込んだのか?
まず売れ行きの可能性をテスト
売れたからよし! ではなく、さらに売る
個別ニーズに応じたアプローチで、年間売り上げ200万ドルの会社を立ち上げた男
地元の購入者の証言(満足の声)を活用したレター
書籍の販売手法を他の商品にも活かすチャンスのきっかけ
第16章 これまでの書籍購入者に救われたキャンペーン
一度でも通販を利用した人は、また利用する率が高い
効果は指折り! 「お願いがあるのですが」アプローチ
なぜ安くできるのか、納得してもらうことが重要
「半端もの」は安い理由の効果的アピール
売り込みは代金をもらって初めて完了する
通販での売り込みは、一度に1種類だけ!
書籍を大量に売り込めたアイデアなら、ほかの何でも売り込める!
第17章 セールスレターの達人
通販で売れにくい1,2月こそ、貴重なテスト期間
衣料品はサイズ展開の豊富さがカギ
同じ相手になるべく違ったものをアピール
生地見本を貼り付けるなど、目を引く工夫を
特別郵便配達で注文率が9%に! ところが…
信販売に向かいない商品とはどんなものか?
第18章 3度めの5万個販売達成!
類似商品で追随するライバル会社をどうはねのけるのか?
低価格のアピールはあくまでも二の次
相手にすぐ行動してもらうため、選ぶ余地を与えない
王道などない。通販では常にテストせよ
第19章 ささやかなものですが、受け取っていただけますか?
無料プレゼントは相手が必ずほしがるものを
天国から奈落の底へ。これぞ通信販売の醍醐味!
第20章 100万ドル分を最初の6ヶ月で受注
誇大広告か、そうでないか
第21章 広告から当てずっぽうをなくす
効果実証済みのフレーズを使おう!
うまくいった例を踏襲し、最大限発展させる
買わせる魔法の言葉
冒頭で注意を引き、本人も知らない虚栄心をくすぐって買う気にさせる
第22章 開業のお手伝い
ダイレクトメールは少額でできる効果的な広告手段
効果的なレターを書くのに、誇りほど邪魔なものはない
第23章 どうすればトップに読んでもらえるか
大企業トップ向け出版社マグロウヒルの試み
「特典」ではなく雑誌の中身で勝負する
第24章 催促は笑顔で
一番難しい代金回収とは?
物腰はやわらかく、かつ断固とした態度で
相手の注意を引くものなら、どんなアイデアでも回収に役に立つ
不機嫌にするより、愛想よくした方がよい結果が!
第25章 理想のセールスレターとは
自分が客だったら欲しいと思うレターが理想的
相手がイメージしやすい言葉ではっきりと!
商品を売るために一番大切なこと

感想

本書の原題は『THE ROBERT COLLIER LETTER BOOK』といいます。1900年代初頭に活躍した伝説のコピーライターがまとめた、コピーのバイブル。

「いや、もう、それだけで十分じゃね?古すぎるよ」と思ったアナタは、負けです。たぶん1980年代、監訳者の神田さんが、原書を買い求め、むさぼり読んだという伝説の書なんですよ。

 

「でも、それって古くない?」

 

はい。古いです。まとめられたのは1930年代。まとめられたのがその年代と言うことなのですから、本書の中に記されている内容が実践されたのは1920年代や、1910年代でしょう。もう、かるく100年前のお話です。古いです。レターで通信販売のリストを獲得するなんて、21世紀の今、ほとんどやりません。それに、そもそも元になったリストはどうやって手に入れたんだ? 個人情報がうるさく言われている、今の時代では、頭の中にはてなマークがたくさん浮かんでしまうことが多々あります。

 

でもね、古くたって、コミュニケーションの基本は同じなんですよ。文字で、読み手を説得させる基本は同じなんですよ。

 

それは、

相手の言葉で書くこと。
相手が欲していることを提供すること。

です。

 

これは、メールだろうと、SNSだろうと、変わらない基本です。

そんな基本的なことを徹底的にわかりやすく教えてくれるのが本書。書かれている内容をまるごと覚えると言うよりも、辞書のように、必要に応じて、必要な箇所を参考にするのが良いでしょう。

 

でもね、効果的なレターに必要な6つの要素は覚えておいて損がないですよ。「レター」を「メルマガ」に置き換えれば、そのままメルマガに使えますから。

1)書き出し…好奇心をそそって続きを読ませる
2)描写や説明…提案するモノをイキイキと描写する
3)動機や理由付け…相手にとってどう役立つのか?
4)保証や証明…証拠を示す
5)決め手のひと言や不利益…不安な気持ちにさせて、ただちに行動させる
6)結び…いますぐ行動しやすくさせる

 

100年の時を生き抜いてきた古典ですよ、やっぱ。なので、骨格の部分は古くならないし、コミュニケーションの心理であるわけですよ。

 

一番興味を持ってもらえそうなところをまず見せている。
イキイキと説明する。活気、そしてできれば、笑顔も盛り込む。相手の興味をかき立て、感情を刺激する。

 

なんて、レターでなくとも、コンテンツを企画するとき、制作するときの基本だものな。読者にワクワクが伝わらなければ、全く意味が無くなってしまう。そのためには、活気と、笑顔が何よりも重要。そして、相手をワクワクさせることが重要なのですよ。

 

いやはや、すごい本ですよ。何度も読み返したくなる。そして、読み返すときにはこの言葉を心に刻んでおこう。

 

誇りは、進取の精神や向上心に欠ける。現状に自己満足して動こうとしないことの口実に過ぎない。

 

ほんと、わたし、がんばりますよ。
この本を何度も何度も読んで、メルマガの精度向上をはかりますよ。

 

そして、巻末に出てきた、この本を読みたくなりましたね。

 

 

原題は『The Man Nobody Kows』ですね。

 

ほんと、この本、目次から、あとがきまで無駄にできる箇所は一カ所もないですよ。