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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

お金の流れで見る戦国時代 歴戦の武将も、そろばんには勝てない

著者:大村大次郎
発行元:KADOKAWA

 

まとめ

世の中、銭なんだなぁ、銭。金のちからには抗えないですな。そして、我々が「歴史」として認識しているものの多くは、歴史小説だったりするんだな。ちゃんと、一次情報に触れよう。

 

この本を読んだ理由

お金という視点で戦国時代を読み解くという考えにやられて。

 

仕事に活かせるポイント

思いよりも、理念よりも、重要なのは経済的基盤ってことだな。もちろん、経済的基盤があっても、思いや、理念がなくてはだめだと。

 

目次

第1章 幕府の“財政破綻”から戦国時代の幕が上がる
第2章 桶狭間の戦いは“経済覇権争い”だった!
第3章 織田信長の“錬金術”を徹底調査
第4章 税金オンチ・武田信玄は“破滅寸前”
第5章 軍需物資“調達スキル”が武将の生死を分ける
第6章 “血と欲望”にまみれた南蛮貿易の終始決済
第7章 比叡山フィナンシャル・グループ「年利は48〜72%です」
第8章 “集金レジャーランド”としての安土城
第9章 上杉、毛利、島津…諸大名たち経済戦略
第10章 「本能寺の変」と「土地改革」の謎
第11章 秀吉は無謀な朝鮮出兵で何を得ようとしたのか?
第12章 家康の“経済効率のいい”天下取り

 

感想

著者は元国税調査官。主に法人税調査を担当していたという。なので、視線がマルサのそれです。イメージ的には歴史小説よりも、半沢直樹の世界ですね。お金という軸で歴史を振り返るのは、今までなかった軸な気がします。司馬遼太郎や、山岡荘八の小説とは、違った切り口で、良かったですな。

 

しかし、歴史の教科書に書かれている内容は、何なのだろう? 経済について、語られるのは、ほとんど明治になってからだ。江戸時代、後期でも、多少語られるかな。
それにしても、鎌倉時代室町時代、戦国時代に、江戸時代。それらの時代で語られるのは、忠孝の世界。まるでヤクザか、戦前か? という状態。お金の話はほとんど出てこないのが、不思議だ。

 

とはいえ、この本に書かれている内容だって、100%、正しいわけではない。たぶん。だって、その時代に生きていたわけじゃないし。かと言って、私は研究者でも、専門家でもないので、否定も肯定もできない。

 

しかし、この本が面白いのは事実だ。

 

お金という、21世紀にも存在する価値基準で戦国時代を、戦国武将を語り倒しているのが面白い。今も昔も「金は天下のまわりもの」なんでしょうな。ケチケチ大作戦で天下を取った徳川家も、最後は溜め込んだお金なくしてしまうのだもの。