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新規事業の実践論

 

著者:麻生要一
発行元:NewsPicks

 

まとめ

自慢じゃないが、わたしの特技は新規事業&新規サービスの立ち上げなのよ。いままで在籍した会社で、一社を除いて、他すべての会社で新規事業&サービスを立ち上げてきた。この分野、得意なんだけれど、その方法を言語化できないでいたんだよね。と、そんな私には最高のバイブルだな、この本。新規事業を立ち上げるコツがしっかり書いてあるものな。

 

この本を読んだ理由

話題のNewsPicksから出た本をだもの。そして、新規事業に関係する本なのだもの。

 

仕事に活かせるポイント

仕事と人から与えられる作業ではなく、自分で生み出すものなのだ。その観点からこの本を読めば、捨てるところなんて1ページも、1単語もないことがわかる。

 

目次

第1章 日本人は起業より「社内企業」が向いている
第2章 「社内企業」へと覚醒するWILL(意志)の作り方
第3章 最初にして最大の課題「創業メンバーの選び方」
第4章 立ち上げ前にかならず知るべき新規事業「6つのステージ」
第5章 新規事業の立ち上げ方(ENTRY期~MVP期)
第6章 新規事業の立ち上げ方(SEED期)
第7章 「社内会議という魔物」を攻略する
第8章 経営陣がするべきこと、してはいけないこと
最終章 「社内起業家」として生きるということ


感想

いきなりですが、この本のコアはここにあると思うのです。

 

優秀な人ほどやってしまう間違った新規事業開発の⑨ステップ
1.「前提条件」の整理&上司に「今後の進め方」の確認
2.社内の他部署の事例収集
3.競合の事例調査・海外事例調査
4.市場調査という名のアンケート、および浅いインタビュー
5.社内の会議室で繰り返されるアイディア会議
6.先輩や上司からのアドバイス
7.6を踏まえた社内会議での議論
8.事業計画・業務工程の立案
9.プレゼン資料の作成

 

わたし、今まで在籍した会社、その殆どで、新規事業の立ち上げを行ってきました。で、このように言語化すること・できることはなかったのですが、この本には上記のようにビシッと書いてあったのですよ。あぁ、まさにそうだ。今の会社に転職してから、様々な会社の新規事業支援を行っているのですが、上記のステップにハマるとうまく行かないんだよなぁ、と。

 

何よりも必要なのは、WILLなんですよ。WILL。意志。意志がなければ進まない。その意志こそが重要なのだ。本書では、規事業を生み出す時に考えることは「誰の」「どんな課題を」「なぜあなたが」解決するのかということを整理すること。そこから使命感と当事者意識が生まれる。それこそWILLだ。意志なのだ!と述べているけれど、まさにそうなのよ。

 

この、新規事業を立ち上げるというスキルさえ、根性さえ、身につければ、老後も安泰w 新規事業とは「自分の頭で考えたことに、自分で顧客を見つけて、自分で商売にする業務」。この0から1を創りだす行為はAIがどんなに発達しても、なかなかAIに取って代わられることのないスキルなのだから。

 

新規事業を立ち上げる時に必要なスキル、創業チームに必要なのはスキルは「Network」「Execution」「Kowledge」の3つなのだ。

①「Network」…自分とは異なる異分野・異業種の人たちとゼロから関係性を構築する力
②「Execution」…あらゆる業務を、圧倒的に実行し、やりきる力
③「Kowledge」…深く広い知識と教養を継続的に身に着けていく力

この3つが揃っていなければ、新規事業をドライブできない。なんだかんだで精神論のようなお話だけれど、実際、新規事業や、新規サービスの立ち上げ時って、ど根性の世界なんだよな。

 

このような意思を持ったグループで、勝手連的に、放課後活動的に始めないと新規事業なんてうまく行かない。上司から命令されたり、立ち上げ当初から会社のお墨付きをもらって行うと、うまく行かない。なぜならば、新規事業の立ち上げ時の経営ロジックは既存事業の拡大時の経営ロジック大きく違うのだ。「儲かるのか」「具体的なのか」「やる意義があるのか」などといった質問をして、新規事業を潰しちゃいけないのだ。「儲かるのか」「具体的なのか」「やる意義があるのか」と言われても、そういう需要があると思われるから、立ち上げるのだよ。需要があることが証明されているのに、後から参戦するのは、そもそも経営判断のミスでしょう、と。

 

用いるべき判断ロジックは、新規事業の段階によって異なるって事を知る必要があるのですな。

 

では、その新規事業のステップはどのように分かれているのかというと、次の6ステップから別れている。

①ENTRY期…魅力的で検証可能な事業仮説の提示を目指す段階。顧客・課題・ソリューション仮説・検証方法のセットが設立しそうであれば、次のステップに進む。
②MVP期…事業性を伴った魅力的な事業計画を目指す段階。仮説が実証されているか投資可能な事業計画が作られれば、次のステップに進む。
③SEED期…商用レベルでの事業の設立とグロースドライバーの発見を目指す段階。実際に商売が設立したか成長のための拡大方法が見えたら、次のステップに進む。
④ALPHA期…自裁にビジネスが最初のグロースを実現することを目指す段階。事業が成長段階に入ったか/組織戦略と対競合戦略が現実的かとなったら、次のステップに進む。
⑤BETA期…経営会議で議論できる最小限の規模に到達し、かつ成長状態であることを目指す。成長率を落とさず成長状態が続くか/既存事業と遜色ないガバナンスとなったら、次のステップに進む。
⑥EXIT期…新規事業の枠組みを卒業し、成長投資を獲得し、企業戦略の一部に組み込まれることを目指す段階。社内での位置づけ整理・IR方針/既存事業を凌駕する規模への投資戦略が行えるようになったら、次のステップに進む。

新規事業がEXITしたら、それは既存事業と呼ばれるのだ!

 

バサッと、新規事業に関する勘違いを一刀両断してくれるのが素敵なんですよね。

 

新規事業の立ち上げ時に、ひたすらマーケティング(というか、プロモーション)を行うようなことを考えるけれど、それって、ある程度、軌道に乗ってからのお話なんだよね。立ち上げ時はひたすら足で稼ぐ。足で稼ぐ。足で稼ぐ。営業効率がーとか言って客先訪問をし無いんじゃだめなんだよ。

 

LTVが顧客獲得単価を上回らないと、ビジネスは軌道に乗らないのだよ。

 

金をかけずに顧客獲得するのであれば、手を動かす。手を動かす気合がない人が、新規事業の立ち上げなんかしちゃいけないんだよな。評価や、アサイン、収益や、投資対効果なんて考えずに、1年目はがむしゃらに自分が動き続けることで、新規事業の芽が生まれるんだよな。がむしゃらに動いて、初めて事業計画や、投資計画が立てられるんだよなぁ。

 

なので、私には新規事業立ち上げ時にプロモーションを依頼するのではなく、魅力的で検証可能な事業仮説の立案のサポートを依頼したほうがいいですよ。そこから先は皆さん次第だ。

 

新規事業の実践論 (NewsPicksパブリッシング)

新規事業の実践論 (NewsPicksパブリッシング)

  • 作者:麻生要一
  • 出版社/メーカー: NewsPicksパブリッシング
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 単行本