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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

バリューマーチャント 「価値」で勝負するBtoBマーケター

著作:ジェームズ・C・アンダーソン、ニラマルヤ・クマー、ジェームズ・A・ナラス
訳者:岡村桂
発行元:サウザンブックス

 

まとめ

ワタシがさがしもとめていたBtoBマーケティングの本って、こういうことなんだとおもうわ。MAツールの導入の仕方でも、SFAツールの考え方でも、ABMの概念でもないんだよ。いや、ソレも重要だけどね。顧客にとっての価値を理解し、適切な顧客管理を行って、値引きなどの条件で他社と競わなくて済む方法を知りたかったのですよ。


この本を読んだ目的

Btoマーケティング強化月間ですBtoBに関わる本を読みまくってます。BtoBマーケティングって、つまるところ、営業支援だよね。

 

この本の目次

第1章 バリューマーチャント 優れた価値を提案する
第2章 価値の概念可 重要な価値要素は何か
第3章 価値提案の明確化 価値がありそうな相違点を明らかにする
第4章 価値提案の具体化 優れた価値を実証・文書化する
第5章 顧客にあった製品やサービス ネイキッド・ソリューションにオプションを付加する
第6章 販売者から場マーチャントへ 「価格」出はなく、「価値」で勝負する
第7章 提案した価値から得られる利益 適正なリタを得る
第8章 BtoB市場での成功 バリューマーチャントになる

 

感想

BtoBマーケティングの本を日本で探すと、なぜかツールの使い方を説明した本と、概念を説明した本ばかりに出会う。日本でしかBtoBマーケティングに関する本を探したことしかないので、これをサンフランシスコとか、北京や、モスクワで探すと違うのかもしれないけれど。

 

BtoBマーケティングって究極のところ、営業支援であって、営業支援って何かというと、営業コミュニケーションの効率化&最適化だと思うのよね。そうやって私は定義しています。で、営業コミュニケーションの効率化&最適化とは何か? ということを探し求めている日々なのですよ。

 

なので、様々な本を読み漁っている。そしたら、どうやら答えっぽいものに、この本で出会いました。それは何かというと「見えないお金を見える化すること」。むむ…。見えないお金ってなによ? となるのですが、それは見えるお金の定義を知れば簡単。見えるお金とは、製品や、サービスの価格だ。見積書に記載される価格だ。

 

見えない価格(お金)とは、その製品やサービスを導入&購入することで得られるメリットだ。見積書に記載される価格はねびかれるけれど、導入することで得られるメリットは値引きされることはない。でも、その価格は見えにくい、わかりにくい。

わかりにくい&見えない価格をわかりやすく見える化することこそが、営業コミュニケーションの効率化&最適化であると、この本を読み進めて気がついてきた。

 

そのような見えないわかりにくい価格を本書では価値と定義し、サービスや製品自体の値段を価格と定義している。

 

そして、fを自社製品、aを競合製品としたとき

(価値f−価格f)>(価値a−価格a)

が成り立つときに売れると言っている。そりゃそーだ。

で、本書では価値要素の捉え方として、次の3種類をあげている。

 

1類似点…競合品の価値要素(性能や機能)とほぼ同等
2相違点…競合品の価値要素よりも明らかに優れている、あるいは明らかに劣っている
3争点…競合製品と比べた価値要素について、サプライヤー企業と顧客で見解の相違がある

ここから価値要素を整理するとよいのだと。そして、今度は逆に価値提案を受ける顧客企業側では提案された価値を次のように分解して理解しているという。

 

1価値提案の構成要素は?
2価値提案に関して、顧客からどのような質問があるか?
3サプライヤー企業価値提案を作成し、営業担当がそれを提案するには、なにが必要か?
4価値提案について想定される落とし穴は?

 

見えないお金見えない価格である価値をこのように整理したあとは、営業を行うだけだ。ただ、もちろん、闇雲に営業をしてはだめなわけで、その価値が届くであろう対象を絞り込む必要があるのですよ。その絞り込む方法を、そして、価値が届くことによってうまれる顧客ロイヤリティアップの方法をケナメタルを例に取り、次のように説明している。

 

1 対象となる顧客を特定する
2 顧客のニーズを明らかにする
3 顧客固有の価値提案を作成する
4 詳細な販売計画を立案する
5 継続性かつ徹底的に取り組む
6 顧客の意見に耳を傾けて修正を加える 

 

けっこう精神論てきなポイントもありますが、これは参考にできますね。

 

BtoBマーケティングとは営業コミュニケーションの効率化&最適化であるけれど、監修者の言葉を借りれば、それは顧客価値管理なのでしょう。顧客にとっての価値を正確に理解し、概念化し、価値提案を明確化し、それを具体化し、その顧客にとっての価値を明示し、一定の推測を交えながら実証的に定量化する一連のプロセスなんだと。

 

む…むずいな。

でも、わたしにとってはMAツールの導入方法よりも、ABMの概念よりも、カスタマージャーニーマップの書き方よりも、ためになりましたわ。

 

また、次の論文を読みたくなりましたね。

 

「なぜ最も高い価格が最善の価格ではないのか」
James Anderson , Marc Wouters , Wouters van Rossum "Why the Highest Price Isn't the Best Price" MIT Sloan Management Review , Jan 2010

 

「顧客の顧客から何を学べるか」
James Anderson , Marc Wouters , "What Can You Learn From Your Customers" MIT Sloan Management Review , Jan 2013

 

「決勝得点営業」
James Anderson , James A. Narus , Marc Wouters , "Tiebreaker Selling" Harvard Business Review , March 2014

 

読みたい論文が多いなぁ。日本語タイトルがあるってことは、日本語訳あるのかな?