WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

十五の夏 上

著者:佐藤優
発行元:幻冬舎

 

まとめ

アイドル歌手のデビュー曲のようなタイトルですが、中身は全く違いますよ。元外務省主任分析官佐藤優さんの本。浦和高校の一年生時に過ごした東欧旅行のエッセイ。こんな濃密な高校時代を過ごしていたのが羨ましい。

この本を読んだ理由

佐藤優さんの「十五の夜」は前々から読みたかった本です。

 

この本の目次

第一章 YSトラベル
第二章 社会主義国
第三章 マルギット島
第四章 フィフィ
第五章 寝台列車

 

感想

わたしの人生、後悔することだらけなのですが、数ある後悔の中でも高校進学先で妥協してしまったというのがありますな。妥協ではなく、親や教師の判断が正しかったのかもしれませんが。埼玉県の中途半端な県立高校に行くくらいなら、小山高専に行けばよかった。思いっきり文系な仕事をしていますが、あの時、小山高専に進学していれば、大きく人生が変わっていたはずだ、と。

 

同じ埼玉県の公立高校だけれど、トップに君臨する浦和高校にかよった著者。著者の佐藤優さんも早大学院に進学したかったのに、入試に落ちてしまったので、埼玉県立のNo1高校に進学したんだという。

 

で、そんな著者が尊敬する先生のアドバイスを受けて、15歳の夏休みに東欧を一人旅をするというお話。21世紀の今でさえ、高校一年生の夏休みにヨーロッパを一人旅するなんていうのはなかなかハードルの高いお話ですが、時代は1970年代。1ドルが360円の時代。外貨の持ち出し規制があった時代。海外旅行がようやく一般的になってきたけれど、団体旅行が一般的だった時代。なによりも、ベルリンの壁が存在しており、鉄のカーテンの向こう側であった東側諸国に旅をするなんて、なかなかなかなかありえないようなお話だったわけですよ。

 

1970年代の社会主義国のお話や、日本国内での海外旅行手配のやり方、浦和高校の様子や、浦和駅前、大宮駅前、埼玉県の団地での生活などなどが分かる本ですが、それ以上に「子供の背中を押して、支えて、応援してあげる大人のかっこよさ」と「後悔なく青春を過ごそうとする若者の潔さ」が読み取れて清々しい気分に慣れますな。

 

なんだろう?後悔だらけの高校時代を過ごしてきてしまったからかしら?躊躇なく(いや、あったんだけれど)、東欧への個人旅行にでかけた著者が羨ましい。

 

本書中に何度も出てくるように、若い頃の海外旅行は、その後の人生に大きな影響を与えるのだ。

 

わたしは、もう、高校生ではない。いいおっさんだ。

 

うちの娘さんが高校生になった時、海外生活を体験させてあげよう。

 

それが大人としての役目だな。

 

十五の夏 上

十五の夏 上

  • 作者:佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: 単行本