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ザ・トヨタウェイ 下巻

著者:ジェフリー・K・ライカ
訳者:稲垣公夫
発行元:日経BP

 

まとめ

下巻は、トヨタウェイ残りの原則を教えてくれつつ「トヨタウェイを自社に落とし込む方法」までも教えてくれる。形だけ真似してもダメだと言われているメソドロジーです。文化を植え付けるというか、会社の文化を変えると言ったほうが近いですね。そんな下巻です。

 

この本を読んだ理由

そりゃ、上巻を読んだら、下巻も読むでしょう。とあるB2B企業のマーケティング戦略を練っているとき、気がついたんですよね。B2Bマーケティングって、トヨタ式何じゃないかと。ということで読んでみました…という続きですな。

 

目次

第二部 トヨタウェイのビジネス原理(承前)
●セクション2 正しいプロセスが正しい結果を生む
第13章 原則7 すべての問題を顕在化させるために目で見る管理を使う
第14章 原則8 技術を使うなら、実績があり、枯れた、人や工程に役立つ技術だけを利用する
●セクション3 人とパートナー企業を育成して会社の価値を高める
第15章 原則9 仕事をよく理解し、思想を実行し、他人に教えるリーダーを育成する
第16章 原則10 会社の考え方に従う卓越した人とチームを育成する
第17章 原則11 パートナーや部品メーカーの社外ネットワークを尊重し、改善するのを助ける
●セクション4 継続して根本問題に取り組んで組織的学習を行う
第18章 原則12 現地現物を徹底的に理解するように自分の目で確かめる
第19章 原則13 意思決定はじっくりコンセンサスを得ながら、あらゆる選択肢を十分に検討するが、実行は素早く行う
第20章 原則14 執拗な反省と絶え間ない改善により学習する組織になる
第三部 トヨタウェイを貴方の会社に適用する
第21章 トヨタウェイで設計、サービス組織を変革する方法
第22章 トヨタウェイを手本に、自分たちのリーンな学習する企業を作り上げる

 

感想

トヨタ研究の専門家である著者が、数多くのトヨタ関係者にインタビューを行い、当然のように現地現物で調査を行って、まとめたトヨタウェイを説明する下巻。上巻は原則6までだったので、下巻は原則7からですね。

 

みんながそこだけ真似してしまって失敗する「ムダどり」の内容を突き詰めながら、文化としてトヨタウェイを昇華させるための方法が記されております。

 

わたしトヨタ社員でもないし、トヨタユーザーでもないけれど、この本に書かれている内容が無意識レベルになるまで刷り込まれているってすごいよな。どーしても、形だけ真似しようとしてしまうからな。そういう、お手軽な感じがダメなんだろうな。

 

しかし、この著者は日米(というか、日本と世界)の差をちゃんと意識し、本としてまとめているのが「すげーな」と思ってしまうのですよ。

 

例えば、5S。製造業の基本である5Sについて例をあげると、わかりやすい。

 

5Sというと日本では「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」なのですが、アメリカだと「整理(Sort)」「整頓(Straighten)」「清掃(Shine)」「標準化(Standardize)」「規律の維持(Sustain)」となっているのにびっくりしましたわ。

 

トヨタウェイ、原則番号が大きくなってきますと、それはだんだん人づくりの内容となってくるのですよ。組織というのは人が集まって作り上げますし、仕事は人が行いますしね。仕組み化仕組み化といわれてますけれど、仕事をおの買うのは、結局人なのですよ。

 

それを端的に表している言葉を見つけて、心から涙が流れ出しましたわ。

 

しごとをするのは人、情報を動かすのはコンピューター

 

すごいいい言葉だよね。
この言葉、このフレーズ、仕事で使おうw

 

で、トヨタウェイが人づくりであると言い切るような説明も見つけた。

 

トヨタ生産システムン関するトヨタ首脳の見解
トヨタ生産システム=人を目標に向かって引っ張ることを通して最高の品質、最低のコスト、最短のリードタイムを達成するマネジメントシステム

 

なんだかもはや、武道だな。武道。武士道とか、柔道とか、そういうのと同じ世界だな。

人は技術とマネジメントと思想から成り立っていると。そして、技術は「安定性」「JIT」「自働化」「カイゼン」「平準化」から成り立っている。マネジメントは「正しさ」「マネジメントの注意を引きつけるツール」「現地現物」「問題解決」「プロジェクトマネジメント」「人をサポートするカルチャー」から成り立っている。思想は「顧客第一」「人は最重要な資産」「カイゼン」「現地現物→製造現場に焦点」「効率施行」成り立っている、と。

 

なんだか、まさに心技体の世界だな。精力善用、自他共栄。まさに武道と同じ。トヨタウェイはトヨタ道だな。

 

本書の後半は、そんなトヨタ道ことトヨタウェイを自分の会社に植え付ける方法を教えてくれる。

その方法が13ステップにまとめられているのですけれど、なかなか、エグいというか、なんというか。まぁ、トヨタ道だからなぁ。柔道だって、最初は受け身を徹底的に身に着けないと死んじゃうからな。それと一緒だな、たぶん。なんか違う気もするけれど。

 

で、その13ステップはこれ。

 

あなたの会社をリーン企業に変身させる十三の方策
①技術システムでの行動から初めて、すぐにカルチャー変革に取り組む
②まずやってみて、次に教育して学び取る
③仕組みとしてのリーンの例を示し、「行って見る」
④将来の状態のビジョンをつくり、「見て学ぶ」ために価値の流れ図を使う
⑤改善ワークショップで素早い変化を教え、実行する
⑥価値の流れに沿って組織を作る
⑦強制する
⑧危機はリーン活動の契機にはなるが、企業全体の転換に必ずしも必要ではない
⑨大きな財務的効果が出ることを楽観的に見ること
⑩価値の流れの視点に評価軸をあわせる
⑪自分たちのやり方で自社のルーツをつくる
⑫リーン・リーダーを育成するために人を採用し、世代交代の仕組みをつくる
⑬教育と早期に結果を出すのに専門家を使う

 

強制するっていうのが、すごいというか、現実をよく知ってるよなぁ。
ある瞬間では「やれ」「従え」って命令が必要だものな。

 

でもね、個人的に一番刺さったのが「組織改革ワークショップの流れ」についての説明ですね。ずばり、というか、まさにというか、ぴったりというか、今やっている仕事にハマったもの。

サービス組織の改善ワークショップの流れ
【顧客は誰か?】
ビジネスの範囲
顧客に何を付加価値とするか?
測定可能な目標

【現在の状況の流れ図】
プロセスの段階
プロセスの流れ
付加価値と非付加価値の証明

【将来の流れ図】
非付加価値を減らす
必要な非付加価値に挑む
付加価値を問う。なぜ?なぜ?なぜ?
創造的飛躍
カイゼン連発

【実行計画】
何を?いつ?誰が?
訓練とコミュニケーション計画

【実行】
ワークショップ週間の開始
ワークショップ後の継続
価値の流れに沿って必要な再組織化をする

【評価】
プロセスの評価指標を作る
進歩を目で見える形で追跡する継続的改善

 

はい。
これ、そのまま使わせてもらいます。

 

 

ザ・トヨタウェイ(下)

ザ・トヨタウェイ(下)