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ザ・トヨタウェイ 上巻

著者:ジェフリー・K・ライカ
訳者:稲垣公夫
発行元:日経BP

 

まとめ

この本を読み直してわかったこと。世の中の数多くあるビジネスのメソドロジー、そのなかでも「製造業のバイブル」と呼ばれているトヨタ式について、その神槌を教えてくれる。形だけ、表面だけ、真似ちゃダメなんだよな。そして、Googleも、Appleも、Microsoftも、トヨタウェイを取り入れて、解釈して、自分流に解釈して、みにしてるんだよな。リーンなんとかというビジネス書を読む前に、この本を読むと良い。

 

この本を読んだ理由

とあるB2B企業のマーケティング戦略を練っているとき、気がついたんですよね。B2Bマーケティングって、トヨタ式何じゃないかと。ということで読んでみました。

 

この本の目次

第一部 世界最高の力を有するトヨタウェイ
第1章 卓越した製造力を戦略的武器として使うトヨタウェイ
第2章 トヨタは以下にして世界最強のメーカーになったか
第3章 トヨタ生産システムの真髄、ムダ取り
第4章 トヨタウェイの14原則 TPSの背後にあるカルチャーの概要
第5章 トヨタウェイの実践例 レクサスの妥協なき開発
第6章 トヨタウェイの実践例 新しい世紀、新しい燃料、新しい設計プロセス、 プリウス誕生
第二部 トヨタウェイのビジネス原理
●セクション1 長期的な考え方
第7章 原則1 短期的財務目標を犠牲にしても長期的な考えで経営判断する
●セクション2 正しいプロセスが正しい結果を生む
第8章 原則2 淀みない流れを作って、問題を表面化させる
第9章 原則3 プルシステムを利用して、つくり過ぎの無駄を防ぐ
第10章 原則4 生産量を平準化する(ヘイジュンカ)
第11章 原則5 問題を解決するためにラインを止め、品質を最初から作り込むカルチャーを定着させる
第12章 原則6 標準化作業が絶え間ない改善と従業員の自主活動の土台になる

 

感想

トヨタ式と行ったら、トヨタ生産システムと言ったら、少し勉強熱心な大学生でも知っているくらい(たぶん)、メジャーなメソドロジーなわけです。世界の製造業がそのメソドロジーを学び、生産効率を上げている、と。カンバン、アンドン、ポカヨケ、カイゼン。このカタカナで書かれた単語は、世界の共通言語になっていると言えるような状況なわけです。

 

でもね、これがわたしには信じられなかったの。
いや、そうですよ。
カンバン、アンドン、ポカヨケ、カイゼン。このカタカナで書かれた単語は、世界の共通言語になっていることは否定しませんよ。でもね、カンバン、アンドン、ポカヨケ、カイゼンだけでは、何者の事が改善(むずかしいな)するとは限らないと。

 

そう思っていたんですよ。

だって、これらはツールでしょ?

 

20年以上、日本の製造業を、その中心地であるトヨタの研究をし続けてきた著者は、「そうじゃないよ。そんな表面的なことを真似たからって、満足するなよ」と教えてくれます。

 

本書の冒頭には、このように書かれています。

トヨタ生産システムは、トヨタ独自の生産システムである。これは、ここ10年かそこら、シックスシグマとともに製造業のトレンドを左右してきたリーン生産運動の基礎になったものだ。リーン生産運動が世界の製造業に巨大な影響を与えているにもかかわらず、リーン生産を導入しようとした企業がリーン生産の導入にあたって5Sやジャストインタイムと行ったツールに意識を集中させるあまり、リーン生産が企業カルチャー全体に深く浸透するトータルなシステムであることを理解していないからだ。リーン生産を導入した企業の多くでは、リーン生産の重要部分である日常的な業務活動や絶え間ない改善活動にトップが関与していない。これに対し、トヨタのアプローチは対称的である。

 

あ。。。うん。
なんか、簡易的なビジネス書をズバッと一刀両断するような内容ですな。

 

表面だけ真似をするなよ。カルチャーまで真似しろよ。そして、そのカルチャーを血肉に落とし込めよ、と。

 

深いよなぁ。深い。

 

なので、カンバン、アンドン、ポカヨケ、カイゼンという単語が出てくるといえば出てくるのですが、よくあるビジネス書のように言葉の説明に終わっているということが、まったくない。
それら単語が生まれた背景を、これでもか!というレベルで教えてくれる。

 

そこまでしないと、腹落ちしないし、理解しないし、血肉にならないよなぁ、と。

 

そこまで深くトヨタについて調べた、学んだ著者がトヨタウェイの原則として、次のように述べている。

 

●セクション1 長期的な考え方
原則1 短期的財務目標を犠牲にしても長期的な考えで経営判断する
●セクション2 正しいプロセスが正しい結果を生む
原則2 淀みない流れを作って、問題を表面化させる
原則3 プルシステムを利用して、つくり過ぎの無駄を防ぐ
原則4 生産量を平準化する(ヘイジュンカ)
原則5 問題を解決するためにラインを止め、品質を最初から作り込むカルチャーを定着させる
原則6 標準化作業が絶え間ない改善と従業員の自主活動の土台になる
原則7 すべての問題を顕在化させるために目で見る管理を使う
原則8 技術を使うなら、実績があり、枯れた、人や工程に役立つ技術だけを利用する
●セクション3 人とパートナー企業を育成して会社の価値を高める
原則9 仕事をよく理解し、思想を実行し、他人に教えるリーダーを育成する
原則10 会社の考え方に従う卓越した人とチームを育成する
原則11 パートナーや部品メーカーの社外ネットワークを尊重し、改善するのを助ける
●セクション4 継続して根本問題に取り組んで組織的学習を行う
原則12 現地現物を徹底的に理解するように自分の目で確かめる
原則13 意思決定はじっくりコンセンサスを得ながら、あらゆる選択肢を十分に検討するが、実行は素早く行う
原則14 執拗な反省と絶え間ない改善により学習する組織になる

 

ウェイである。
どーしてもトヨタ式というと、ムダ取りばかりに目がいって、この原則の2~8ばかり真似しようと、身につけようとするけれど、そうじゃないんだよね、と。「原則1 短期的財務目標を犠牲にしても長期的な考えで経営判断する」がベースになくてムダどりするから、訳解んないことになるんだよなぁ、と。

 

そんな原則6までを紹介したのが上巻。

 

ザ・トヨタウェイ(上)

ザ・トヨタウェイ(上)