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脱毛の歴史 ムダ毛をめぐる社会・性・文化

著者:レベッカ・M・ハージグ
発行元:東京堂出版

 

まとめ

すごい下世話な目的でこの本を読んでみたのですが、それは大間違いでした。脱毛というのは文明化の証であったわけですけれど「文明化」の度合いが、それぞれの地域で異なっていた。一番驚いたのは、ネイティブアメリカンの人々のほうが、ヨーロッパ人よりも脱毛に関しては先進的であったという点ですな。

 

この本を読んだ目的

はい。下世話な目的で読みました。話のねたになるんじゃないかと。しかし、ここまで真面目な学術書だとは思っておりませんでした。

 

目次

序論 やむを得ない苦痛
第1章 毛のないインディアン 南北戦争以前の蛮行と礼節
第2章 体毛の手入れのための化学薬品 自家製の治療法から、あらたな産業秩序まで
第3章 ひげ面の女と犬面の男 ダーウィンが明らかにした史上最大の露出とは
第4章 「白く、なめらかで、ビロードのよな肌」 X線脱毛サロンと社会的地位の変化
第5章 腺によるトラブル 性ホルモンと常軌を逸した発毛
第6章 剃らざる者 「脇毛ぼうぼうのフェミニスト」とウーマン・リブ
第7章 「いちばん下をきれいにする」 苦労、ポルノグラフィとブラジリアンワックス
第8章 魔法の弾丸 レーザー脱毛の規制と選択的医療
第9章 「次なるフロンティア」 遺伝学的エンハンスメントと体毛の終焉
結論 私たちがみな、毟られている

 

感想

最初はすごい下世話な話、下世話な目的で読んでみようと思ったわけです。なにか、エッチィことでも糧あるんじゃないかと。話のねたになるようなことが書いてあるんじゃないかと。

そんなことは書いてありましたが、それよりも真面目路線一本で攻め込んでいるのがびっくりしました。

え、まじで?

と。

脱毛というのは、猿から人間に進化した証なんですよ。猿や、ゴリラは全身がけに覆われているけれど、人間は猿と違うんだから、毛に覆われていてはだめだと。四本脚の動物だって、毛に覆われているけれど、人間はそれらと違うんだ、と。

そんな価値観が先行していたのは、ヨーロッパ人よりも、ネイティブアメリカンの人たちでした。

アラブの人々も、ひげは生やすけれど、下の毛は沿っているわけで。

類人猿は、顔に毛は生えていないからね。

なんてこった。

その文明度合いを知らしめるために脱毛の進化は進むわけで。その脱毛の技術は「肉食」の技術とニアリーイコールなわけで。豚や牛の毛を処理する方法がそのまま人間に応用され、大きな被害をもたらしていたということもあったそうな。

ひげがないことが、体毛がまあ生え揃っていないことが、若さの象徴だということから、いつの間にか処女性と同じ意味に(お!すこし、エッチくなってきた)。

その脱毛という行為が、男性主導の世界へのアンチテーゼということで、始まったウーマンリブ。だから、脇毛がボーボーだったわけで。

見えないところ、隠れているところが「脱毛されていない」という背徳感にビビッときたり、体毛がないということが意味する処女性にビビビッと来たりするんだろうな、と。

脱毛。

すごい奥が深い世界なわけですよ。

 

 

脱毛の歴史

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