著者:近藤隆雄
発行元:生産性出版社
まとめ
サービスとはサービスしている側、サービス提供側が一方通行で「サービスしてあげてるぞ」となりがちだけれど、そうではないと。サービスを受ける側から情報を提供して、それに対応していくことなんだと。ここを起点に語られるサービスイノベーション理論。「ひらめいた!」的に語られることのある新サービス誕生だけれど、じつはそんなことはないのだという深い世界。
この本を読んだ目的
サービスとはなにか?サービスを生み出すとは何か?サービス開発支援をするということで、この根本的な目的を達成するために読んでみました。
目次
パート1 サービスの理論
第一章 サービスの内容と範囲
第二章 サービスの特徴についての再検討
第三章 サービスの商品化 ソリューションの発想
パート2 サービス・イノベーションの理論
第四章 イノベーションとは何か
第五章 サービス・イノベーションと組織学習
パート3 組織学習の方法
第六章 経験的組織学習
第七章 サービス・マネジメント理論による組織学習
パート4 サービス・イノベーションの方法
第八章 サービス・イノベーションの領域と方法
第九章 サービス・デザイン
感想
「サービスとはナニカ?」「新たに提供すべきサービスとはナニカ?」という課題にぶち当たりまして、「言われてみれば、サービス自体を。ちゃんと学んだことがないよなぁ」ということで、この本を読んでみましたわ。
よーく考えると、サービスって、小学校の社会の授業で学んだ第三次産業くらいの認識しかなかったわ。そもそもサービスが何であるのか?なんて考えたことがなかった。実家は農家で第一次産業であるくらいの認識しかなかった。
で、この本を読んで驚いたのは「サービス」といことに対して、正しい定義(というか、決まった定義)がないという事実だ。本書の前半は。そんな「サービス」の学術的な定義の説明に費やされておりますわ。
やべぇ。
教科書を買ってしまったようだ。
よし、ちゃんと勉強しよう。
ただね、サービスの定義がなされていないと、話が進まないので、著者は次のようにサービスを定義している。
①無形成
②生産と消費の同時性
③異質性
④結果と過程
⑤共同生産
⑤共同生産が、肝だな
サービスは送り手だけでなく、受けての存在も重要になってくるということだ。
サービスとはサービスしている側、サービス提供側が一方通行で「サービスしてあげてるぞ」となりがちだけれど、そうではないと。サービスを受ける側から情報を提供して、それに対応していくことなんだと。ここを起点に語られるサービスイノベーション理論。「ひらめいた!」的に語られることのある新サービス誕生だけれど、じつはそんなことはないのだという深い世界。
ちなみに、ジョンストンさんって人は、サービスを次のように定義している。
このように顧客はサービスを消費することで過程と結果の二種類の経験をする。ジョンストンらが例示している顧客経験の中身としては、①相互作用の深さ、②サービス組織の反応性の良さ、③顧客に接するスタッフの柔軟性、④従業員と顧客の親密度、⑤サービス・スタッフや情報システムへのアクセスの良さ、⑥組織からどれほど重視されているのかの感覚、⑦顧客に接するスタッフの能力と礼儀正しさ、⑧他の顧客のとの相互作用などである。これらが過程品質の評価項目となる。
経験ですか。。。変化ですか。。。
深すぎる。
そこまでいってしまうと、大変なことになるので、著者の定義で本書は進んでいきます。
そして、サービス・イノベーション自体を、本書では次のように定義している。
サービス・イノベーションとは、企業のサービス・システム(サービス商品とサービス生産システム)によって、顧客や企業および関係する諸機関にとっての新しい価値を生み出す革新的試みであり、具体的にはサービス組織の効果性と効率性を著しく向上させる活動である。そして、その成果の大きさと反復性によってたんなる組織学習と区別される。
あぁ。なんだろう。この難しさ?
サービス自体でさえ難しい定義であるのに、そのサービスの中に革新的な価値を生み出すという。
そして、本書は「イノーベーションとは?」的な話から、サービス・イノベーション自体の深堀りを進めていくわけです。
ASKULも、QBハウスも、サービス・イノベーションだったのね。
もう、ふつーになりすぎて、そんな発想なかったわ。
でも、中小企業向けに文房具や消耗品の配送を行うってことは、それまで行われていなかったサービスなんだから、そりゃ、いのべーしょんでしょうね、と。
で、そんなサービス・イノベーションの社会的インパクトは次のように分類されるのだと。
a.構築的革新
b.ニッチ創造
c.通常的革新
d.革命的革新
ふむふむ。
これからワタシが考えるサービスが、このどれに当てはまるのか?ってことを考えればいいんだな。