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インサイドセールスの実務

著者:沼澤拓也
発行元:東洋経済新報社

 

まとめ

はやりの「THE MODEL」を日本版にまとめたもの。ではなくて、その逆。こちらのほうが古く2013年の発行。インサイドセールスの実務については、こちらのほうが使いやすいですね。というか、日本企業の業務に寄り添った内容になっているので、わかりやすいですね。

 

この本を読んだ目的

What:インサイドセールスというものは、そもそもどんなものなのか?を知りたかった
Why:「THE MODEL」の内容とどれくらいかぶっていて、どれくらい違うのか?を知りたかった
How:インサイドセールスはセールスというよりも、マーケティング。組織づくりと、文化づくりから始めないと成功しない。


目次


はじめに
第1章 企業における営業の現状と課題
第2章 インサイドセールスの特徴と仕組み
第3章 インサイドセールスの導入と運用
第4章 インサイドセールスの評価
第5章 チャネルミックスとしてのインサイドセールス
第6章 様々なインサイドセールス事例集

 

感想

ベルフェイスに、B-Dashに、SALES BASE。データマーケティングや、B2Bマーケティングのツールが大人気。なぜか、テレビCMまでやってますからね。Salesforceまで、テレビCMやってますからね。

 

そこまで需要があるのかしら?

 

なんて思ってしまうのですが、テレビCMで認知させるところから、マーケティングファネルが始まっているのでしょう。

 

それを受けて始まるのが、インサイドセールス。

おぉ。

私たちはBtoB企業のインサイドセールスを実体験してるんですね。

ということを再確認しながら、この本を読むと面白い。

 

では、インサイドセールスとはなにか?
それは、こんな感じなのだ。

 

インサイドセールスは、セールスという名称を用いながらも、かなりマーケティングの要素を含んでいる。その理由は、顧客情報の収集と、顧客をセグメント(分類)することにある。
また、収集された顧客情報を分析し、その結果によってターゲティングや、プロモーションの企画に伴って実行されることから、インサイドセールスの活動はセールスするための顧客リサーチやサーベイから始まることが多い。
そうして集められた情報を、活用できる情報へと整備し、顧客分析に裏打ちされたプロモーションを行い、セールスリードを導くことがインサイドセールスの主な活動である。

 

顧客情報の収集と、顧客分析に裏打ちされたプロモーションがキモになっているので、テレビに映る照英さんや、オリエンタルラジオさんは、我々が「こういうタレントさんがハマるんだよね」という前提でキャスティングされているのでしょう。

 

そして、インサイドセールスの実務内容は、こうなると。

 

第1に、顧客に関する様々な情報データベース化し、蓄積された顧客情報の活用を軸にした情報営業であること。第2に、商談化する前の顧客に対し、共通の属性・傾向を持つ顧客単位でアプローチすること。そして、第3に、ここの顧客に対して担当者をつけず、顧客にコンタクトする人間は流動的だということである。

 

情報営業というキーワードがいいですね。
これ、私も仕事で使わせてもらおう。

 

で、この本にはインサイドセールスを考える上で、絶対に外せない内容が2点、書かれているのですよ。

それは、組織力と時間軸。

「情報営業」はいわゆる遊軍なのですよね。顧客にコンタクトする人間が流動的で、顧客の状況によって代わってくる。その変化に対応できるような体制を構築することが、何よりも重要。

トリアージじゃないけれど、刻一刻と変わる顧客の状況に合わせて、コミュニケーションの内容を変えたり、対象を変えなければならないのだから、そりゃ組織力は重要だと。

 

では、どのようなメンバーで構築すればよいかというと、下記のように説明されている。

 

インサイドセールスを行うには、人員構成として下記のような役割を担う人員が必要である。上流から見ていくと次のようになる。①
営業部門と連携を図る人(営業統括)②プロモーションを企画する人(企画・評価)③インサイドセールスの実務をマネジメントする人(スーパーバイザー)④インサイドセールスの実務をする人(オペレーター)

 

そして、次に重要なのが時間軸。


インサイドセールスが大活躍するようなB2B商材の場合、そもそもの成果が出るまでの時間がかかる。この時間を忘れてPDCAサイクルを回そうなんて言い出すと、大変なことになってしまうと。

 

私自身の経験からいえば、成果が出るまでは通常1年から1年半ほどの時間を要すると考えておいたほうがいい。運営を始めてあら約3ヶ月は、組織内での体制づくりや骨組みとなる基本業務を軌道に乗せるための準備に費やされる。次の3ヶ月で、よりその対象に合ったアプローチができるようになり、その結果、商談化するものが徐々にではじめる。取扱商品やサービスにもよるが、商談になってからも、当然受注まである程度の期間が必要になる。その結果、インサイドセールスを導入してから慈済の受注に至るまで1年以上の時間がかかった、ということも決して珍しくはないのである。

 

また、企業には繁忙期と閑散期という概念があるので、スケジューリングという時間軸も重要だと、本書は教えてくれるのが素敵。

 

インサイドセールス業務のスケジューリングのポイントはの3つ目は、オペレーションを実施する時期が、顧客とコンタクトしやすい時期かどうかということである。具体的に言えば、もし企業相手のBtoBであれば、通常、年末年始や、年度末、決算期は多忙である。ターゲット部門によってその時期は異なるが、とにかく顧客にメールを送ってもそれ以上に重要なメールがあれば、読み飛ばされるだろう

 

「THE MODEL」とあわせて、本書も読むと、実務と理想の両面から営業改革ができそうで、良いですな。