WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

極夜行前

著者:角幡唯介
発行元:文藝春秋

 

目次

第一部 天測放浪
第二部 犬との旅
第三部 海像と浮き氷

 

感想

探検家にして、作家。世界中の極地を旅し、その結果を本に書き上げる作家さん。
今回の舞台は北極。白夜の反対の極夜の北極を冒険する。白夜の反対ということは、太陽が出ていない季節ということ。真っ暗闇の中、現代の道具(GPSや、携帯電話など)を使わずに、真っ暗闇の北極を旅するという。

 

なにをバカなことを。

 

と、本を読んでいるワタシは思ってしまうわけですが、本人はいたって真面目。GPSや、携帯電話を使い、旅をした北極は、心に大きな達成感を得ることができなかった、と。

 

なので、今度は北極を、それも真冬の極夜に、現代の道具を使わずに旅をするという。

北極圏に住んでいるイヌイットの人々だって、スノーモービルにのり、インターネットで情報を仕入れ、GPSを片手に狩をするというのに。

 

GPSがなかった時代、大航海時代の船乗りは六分儀を使い、自分の居場所を知り、地球を旅したんだから、大丈夫!と。しかし、旅した場所は海の上や、陸地だった。真っ暗闇の北極圏ではなかった。いやいや、大丈夫。GPSが、まだ、なかった時代、日大探検部や、植村直己は、北極点をメサしたのだから、と。そんな意気込みで、六分儀を片手に極地を旅する。きっちり計測できるのか?そのテストが第一部。結論、うまくいかない。

 

第二部は改良した六分儀で、再度テスト。今度は、長時間長距離の旅を前提に舌訓練なので、犬ぞりも使ってみた。真っ暗闇の北極でひとりぼっちと一匹ぼっち。性格が良い犬がいいね、と選んだもうすぐ1歳の犬は、「犬ぞりを弾いたことがない犬」だった。そんな相棒と行う訓練。反りは引くものだという認識がない犬に、「ソリはお前が引っ張るものだ!」と身を持って教える旅。そういえば、選んだ犬は集団の中、もしくは村の中でしか生活したことのない犬だった。凍りついた北極海の真上で、怯えてしまう角幡さんの相棒。しかし、すったもんだがあったけれど、無事に訓練の度は終了。

 

そして、第三部。計算すると、旅程は半年近くにもなってしまう。半年近くも、旦那の生死が不明になると、奥さんが発狂してしまうということで、本番の今回は、衛星携帯電話を持っていくことに。一年前、苦楽をともにした相棒の犬、犬は覚えていたけれど、自分は覚えていなかった。。。あぁ、何ということでしょう。

 

そして、始まる極夜の旅。

 

しかし、しかしタイトルには、なぜか”前”がついている。考えられないどんでん返し。

 

結構分厚いノンフィクションが、あっという間に読み終えてしまいます。

 

いや~冒険って面白いですね。と、他人事ながら思えてしまう、面白い本ですよ。

 

極夜行前

極夜行前