著者:高森日佐志
発行元:文芸社
目次
プロローグ
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
エピローグ
感想
「あしたのジョー」や、「巨人の星」、「タイガーマスク」の原作者として有名な梶原一騎。漫画原作者としては戦後最高レベルの天才であるけれど、その才能を全否定するほどなの悪い噂がある人でもある。
すみません。梶原一騎センセイの実弟て、真樹日佐夫センセイしか知りませんでしたわ。
亀田三兄弟ではないけれど、高森三兄弟は文才に溢れていた。その才能は長男である高森朝樹こと梶原一騎がずば抜けていたけれどね。
ここで不思議に思うのは、愚連隊的な、ゴロツキ的な生活を送っていた高森三兄弟、とくに長男の朝樹と次男の真土(真樹日佐夫)に、何故に文学的な才能があったのか?ということ。
天から授かった才能か?と思いきや、それも無きにしもあらずなんですが、父親の高森線龍夫が編集者であり、教師であったということも多分に影響してそうである。
この本ではそんな高森龍夫の人生から、物語が始まっている。つまりは、戦前戦後の出版業界の話から始まっているのである。
梶原一騎が戦後の漫画界に現れた天才であるなら、その漫画界をふくめた出版業界の光と闇にも触れているのが、本書なのである。自由が生まれたはずの戦後に、「逆コース」と呼ばれるような検閲の時代が訪れ、父親が苦労をしているような時期に、息子の朝樹は作家デビューをする。その時、まだ、18歳。
デビューをするもヒット作には恵まれず、漫画原作である「巨人の星」がヒットしたのは30歳のときであった。
悪そうな見た目と、実際に悪いことばかりしていた少年時代。大山倍達どイザコザと、逮捕。マスコミの寵児はマスコミにより抹殺されてしまったわけですが、梶原一騎の作品は傑作ばかりなのですよ。
そして、そんな梶原一騎の人生は、儚いものであったと、本書ではよくわかります。