著者:赤塚りえ子
発行元:幻冬舎
目次
第一章 うちはバカボン一家と同じ
第二章 パパが恋しい……のココロ
第三章 祝!バカ親子復活
第四章 赤塚不二夫はやっぱり「これでいいのだ」
第五章 わたしだって、殻を破るぞ!
第六章 激震!ゆれる家族
感想
NHKのドラマで放映された「バカボンのパパよりバカなパパ」。赤塚不二夫を演じた玉山鉄二さんや、登茂子さんを演じた長谷川京子さんに興味があったというより、タモさんを誰が演じるのだろう?という興味で、全話録画をして楽しんだ。
しかし、この番組を楽しんだのは、私よりも、私の娘だった。5歳の娘は、HDDに録画された「バカボンのパパよりパパなパパ」を一人で再生させては、何度も、何度も、番組を見続けていた。曰く「お父さんとお母さんに似てる」のだと。
べつにワタシが玉山鉄二さんに似ているわけでもなければ、ワタシの奥さんが長谷川京子さんに似ているわけでもない。赤塚不二夫センセイのように天才でもなければ、お酒は好きだけれど、あそこまでお酒が好きなわけではない。
どこが似ているのか?それは赤塚不二夫センセイと登茂子さん、もしくは真知子さんの関係のように、夫婦であり、かけがいのないパートナーでもあるけれど、共に才能と性格を認めあっている関係だからなんだろうな。
そこまで、ワタシ、天才ではないけれど。
ギャグ漫画の天才、赤塚不二夫をもっとも近くで見つめてきた著者。そりゃ、そうだ。娘なんだから。
でも、よくある日本的な家庭とは、日本的な子育てとは一線を画していた。
わたしは予習・復習はおろか、宿題すらろくにしなかった。だから、学校でならったことなど今はほとんど覚えていない。
逆に教えてくれたのは、感覚的であれ、欲望に忠実であれ。両親とも口に出して言うわけではないが、行動がそうなっている。
という教育方針なのもすごい。
愛した女性とともに過ごすのは良いことだ。そんな愛した女性が、二人いてもいいじゃないか。いわゆる前妻が再婚したって、その再婚相手諸共、好きになってしまえばいいじゃないか。
よく言われるように、赤塚不二夫の幼少期の人生は激動の人生だったわけで。元特攻警察だった父親とともに満州に渡り、満州で終戦を迎え、父親はシベリア抑留となり、妹は帰国途中になくなってしまう。帰国した日本では満州帰りとバカにされる。
それまで信じられてきた常識というものが、一気に崩れ落ちる経験をしてきたから、自分の信じる選択肢を選んできたのだと。
でもね、ギャグ漫画や、ナンセンスマンガは、常識をしっていなければ作れないので、赤塚不二夫センセイは常識人だったとも言える。
そんな赤塚不二夫センセイをさして、多くの人々は謙虚な人だとも言う。なぜ、謙虚なのか?その理由を赤塚不二夫センセイ本人はこのように語っている。
自分が最低だと思ってればいいんだ。みんなより一番おとってると思ってればいいんだよ。そうしたら、みんなの言っていることがちゃんと頭に入ってくる。自分が偉いと思ってると、人は何も言ってくれない。自分が一番バカになればいいの。なんでも言ってくれるよ。
謙虚な天才。子煩悩な天才。それが赤塚不二夫センセイなんだとおもう。