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無限の網 草間彌生自伝

著者:草間彌生
発行元:新潮社

 

目次


第一部 ニューヨークに渡って 前衛アーティストとしてのデビュー 1957-1966
第二部 故国を去るまで 画家としての目覚め 1926-1957
第三部 反戦と平和の女王となって 前衛パフォーマンスの仕掛け人 1967-1974
第四部 私の出会った人、愛した人 G・オキーフ、J・コネール、A・ウォーホール
第五部 日本に帰ってから 日本から発信する世界のクサマ 1975- 2002
落涙の居城に住みて

 

感想

草間彌生の自伝のタイトルが「無限の網」。
水玉をモチーフにした作品を数多く作る草間彌生自伝のタイトルとしては、最適であろうと。

 

彼女の凄さを知ったのは直島を訪れたとき。あまり乗り気でなかった現代アートが詰まった島への旅行も、海沿いにあるカボチャを見た瞬間から、楽しいものへと変わった。

 

クサマ作品の凄さは、見ている人を問答無用で、その世界に引き込むことなんだよな。
そんなパワフルな作品を生み続ける秘訣というか、命の源が本書には書かれている。

 

草間彌生が長野県松本の生まれ、それもかなり裕福な家の生まれと言うことは知っていた。そして、家族から画家になることは否定され、そんな家族から逃げ出すように京都の美術学校に通った。

 

草間彌生にとって、小さな頃から、絵画というのは、美術というのは抑圧された世界からの開放、保守的な圧力の破壊だったのですな。

 

自由を手に入れるために活動し続けた草間彌生のパワフルさには頭が下がる。

 

なんだかんだで実家がお金持ちだからアメリカに行けたのでしょう的なコトを考えていたのだが、そんなことはなかった。当時の外貨持ち出し枠を遥かに超える日本円で100万円分のドルを体中に仕込み渡米したのはそうだけれど、現金化以外に、着物や、自分の作品を彼女はアメリカに持っていったのだ。金になるだろうから、と。

 

原状に不満だけを述べ、なにも行動をしない私とは大きく違いますね。

 

そこに惹かれているのかも、しれません。

 

クサマハプニングで、アメリカをはじめ世界的に注目をあつめるようになった草間彌生。1975年以降は拠点を日本に移して、勢力的に作品を生み続けている。

 

私の大好きな直島のカボチャも、そんな時期に生まれた作品だ。

 

世界でもっとも有名な日本人現代芸術家といえる草間彌生。彼女はオノヨーコよりも上の世代だったのね。そう考えると、彼女のバイタリティってすごいな。

 

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)