著者:栗原康
発行元:岩波書店
目次
はじめに
第一章 貧乏に徹し、わがままに生きろ
第二章 夜逃げの哲学
第三章 ひとのセックスを笑うな
第四章 ひとつになっても、ひとつになれないよ
第五章 無政府は事実だ
あとがき
感想
伊藤野枝。
関東大震災後に大杉栄とともに捕まり、拷問の上、殺されてしまった悲劇の女性活動家。
大正時代を代表する女性であり、制限されていた女性の権利獲得のために、その人生を捧げた英雄。
的なことをワタシは、学校の授業で習いました。
かなり、赤い学校だったので、そりゃ、無政府主義者や、共産主義者、社会主義者が弾圧されていた戦前は、その日本史教諭にとっては暗黒の世界だったのでしょう。そんな、暗黒の時代、権利のために、命を捧げることになった伊藤野枝は聖母のような扱いだったのでしょう。
そもそも自由恋愛が許されていなかった時代に、自由恋愛を貫いたヒトなのですから、多少は世間から白い目で見られていたことでしょう。
・・・くらいにワタシは思っておりました。
たぶん、この著者もそうだったのでしょう。
しかし、事実は違った。
伊藤野枝と同世代を行きた、野江の地元に住むおばあちゃんは、彼女の話をすると、明らかに嫌な顔をした。
2018年になってしまうと、1900年初頭は100年以上も前になるけれど、1999年であれば90年ほど前。その次代をリアルタイムで知っている人は、まだかなり生きていたんだよね。うちのひーばーちゃんだって1900年うまれで1999年死亡だったしな。だから、だから、太平洋戦争はもちろん、第一次大戦の出来事はよく覚えており、日露戦争だって、かすかに覚えていたという。
おっと、話がずれましたね。
この本には日本史の教科書にはない話が、ぎっしり詰まっている。伊藤野枝は色んな意味での女性活動家だった。現代の価値観を先取りしているという話もあるが、いやいや、21世紀の現代だって、そんなことしちゃ、顔をしかめられてしまうよということも記載されている。
自由奔放に生きた女性、そのDNAは同じく自由人だった父親から受け継いだといえよう。
そして、子どもたちにつけるキラキラネーム。
エマ、ルイズ、ネルスト。
漢字を当てるのではなく、そのままストレートにカタカナで付けてしまうところがすごい。
そして、彼女の生き様はもっとすごい。