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世界から消えた50の国 1840-1975年

著者:ビョルン・ベルゲ
翻訳:角敦子
発行元:原書房

 

目次

まえがき
1840~1860年
両シチリア王国 …… 底なしの貧困と飽食の貴族
ヘリゴランド …… 島の王国から爆撃の標的へ
ニューブランズウィック …… うまい話に一杯食わされた移民
コリエンテス …… パン屋の切手
ラブアン …… いかがわしい南海の天国でどんちゃん騒ぎの酒宴
シュレスヴィヒ …… スカンジナビア主義と軍歌
デンマーク西インド諸島 …… 奴隷島のバーゲン・セール
ヴァン・ディーメンズ・ランド …… 流刑地と不気味な切手
エロベイ、アンノボンおよびコリスコ …… 反帝国主義と気の弱い宣教師
ヴァンクーヴァー島 …… 木造の神殿
1860~1890年
オボック …… 武器取引と山羊のスープ
ボヤカ …… 戦時の退廃
アルワル …… 尊大な藩王と甘いデザート
東ルメリア …… 図面上の国
オレンジ自由国 …… 賛美歌と人種差別
イキケ …… 不毛な土地の硝石戦争
ボパール …… ブルカをまとった王女
セダン …… シャンゼリゼからコントゥムへ
ペラ …… スズに取り憑かれて
1890~1915年
サント・マリー島 …… 熱帯ユートピアの文明人のパニック
ナンドゲーアン …… 平和な熱狂
膠州 …… 惨めなゲームで気まぐれにふるまう皇帝
ティエラデルフエゴ …… 成金独裁者
マフェキング …… 陽動作戦に出たボーイスカウ
カロリン諸島 …… 石貨とナマコの交換
運河地帯 …… カリブ海のシベリア
1915~1925年
ヘジャズ …… 苦いイチゴ味の切手
アレンシュタイン …… 独立の夏
ジュービ岬 …… 砂漠の郵便機
南ロシア …… 白い騎士が覇権を手放す
バトゥーミ …… 石油ブームとクロバエ
ダンツィヒ …… スポンジケーキヒトラー
極東共和国 …… ツンドラの理想主義者
トリポリタニア …… イスラム教発祥の地でのファシストのエアレース
東カレリア …… 民族ロマン主義と陰気な森林地帯の悲哀
カルナロとフィウメ …… 詩とファシズム
1925~1945年
満州国 …… 実験国家
イニニ …… 人を寄せつけない熱帯雨林の道徳の罪
セザノ …… 世界一寂しい場所の子どもの天国
タンヌトゥバ …… 封鎖された国と奇抜な切手
タンジール国際管理地区 …… 近代のソドム
ハタイ …… 虐殺と仕組まれた国民投票
チャネル諸島 …… 切手でサボタージュ
サウスシェトランド諸島 …… ペンギンの厳しい試練
1945~1975年
トリエステ …… 歴史の交差点
琉球 …… 組織的な自決
南カサイ …… 悲惨なルバ族と貴重な鉱物
南マルク …… 香辛料とテロ
ビアフラ …… 飢饉と代理戦争
アッパーヤファ …… 泥の家と悪趣味な切手
訳者あとがき

 

感想

世界には数多くの国がある。国連加盟は2018年現在193カ国。FIFAには国連より多く211の国と地域が参加している。

そう、2018年の現在においても「国家」として認められてない地域があるのだ。有名なところだと、台湾がそうだよね。台湾は国なのか?中国の一部なのか?そこをほじくり始めると、チベットはどうなんだ?ウィグルはどうなんだ?バスク地方はどうなんだ?ということになる。

 

そして、クルド人のように「国家を持たない最大の民族」もいる。

 

国家というのは、あまりにも政治的なものなのだ。ここ40年余りでも、東ドイツや、ソビエト連邦という国家はなくなったし、東ティモールや、南スーダンという国家ができた。

 

そんな消えては生まれ、生まれては消えていく国家ばかりを集めた本。あまり古くなりすぎちゃうと、いろんな国家や王朝がでてきてしまうので、話は19世紀後半から。帝国主義が地球上に広がり始めた次期から、ベトナム戦争集結までに限っている。

 

帝国主義という西欧社会と日本の横暴により生まれては消えたり、消されてしまった国家。

 

満州当然のごとく知っていたし、琉球政府は国だったのね、と再認識する。日本周辺だと他に膠州も出てくる。おう!歴史の授業で習いましたね。中国におけるドイツの植民地は、国家という扱いだったのね。消滅したのは日本に接収されてしまったから。

 

そんな学生時代の古い記憶が蘇ってくる一冊。

 

でも、満州北部に「極東共和国」なんてあッたなんて知らなかった。ソビエト革命を契機にシベリア出兵を行った日本との直接衝突を避けるために作られた傀儡国家。

 

世の中に走らないことだらけなんだな、ということと、歴史の深さと帝国主義(ってか、イギリスがたくさん登場するので、イギリスかしら?)の怖さを教えてくれる1冊ですな。

 

 

世界から消えた50の国 1840-1975年

世界から消えた50の国 1840-1975年