WEB銭の読書やグラベルロードのメモなど

マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

Motor Fan illustrated vol.134

発行元:三栄書房

 

感想

特集は「FLAT ENGINE TECHNOLOGY 水平対向エンジン」ですね。

 

もう、マニアックで素敵ですね。水平対向エンジン、自動車だとポルシェとスバル、バイクだとホンダとBMWしか、量産していないですからね。

 

バンク角度180度のV型エンジンとは違いますからね。

 

バンク角180度のV型と水平対向エンジンの何が違うのかと言えば、ピストンの動きが違う。V型はクランクピンを共用しているので、向かい合うシリンダーAとBが逆の動きをする。AとBが互いに違う動きをする。一方、水平対向エンジンはクランクピンが独立しているので、向かい合うシリンダAとBのピストンが互いに同じ動きをする。ゆえに、共に振動を打ち消し合うので、水平対向エンジンは、低振動のエンジンとなる。さらに、シリンダが180度真横に倒れている(故に水平対向エンジンなのだが)から、全高の低いエンジンとなり、低重心となる。

 

と、これだけみると良いことづくめなのだが、そうは問屋が降ろさない。
シリンダーが寝ているので、掃気性をすごく考えた取り回しにしなければならなくなる。世の中的に排ガス規制がうるさくなり、排ガス処理装置の装着が必須になると、水平対向エンジンのエンジンレイアウトは不利になる。とくにフロントにエンジンを搭載するスバル。世界で唯一の水平対向ディーゼルエンジンの開発を辞めたののも、そのためである。また、ストロークを伸ばそうとすると、そのままエンジン巾の拡大に繋がり、そしてそれが、ボディ巾の拡大につながってしまう。

 

とはいえ、どんなエンジンにもメリットとデメリットがあるんだよね。水平対向エンジンだって、直列だって、V型だって、ロータリーだって。それぞれ、コンセプトというか、思想に則って「どれが最適解なのか?」ということで、エンジン形式が選ばれるわけですな。

 

ちなみに、スバルが水平対向エンジンスバル1000に選んだのは、初めて自社開発するFF車で、エンジンルーム内にすべての機関、エンジンだけでなく、トランスミッションやらなんやらかんやらを納めるために「全長が短く、全高が低いエンジンを」ということで選ばれたのだとな。

 

水平対向エンジンの基本と現状と未来を教えてくれる、スゴイ本ですね。そして、なによりバイクに水平対向エンジンを搭載すると、かっこいい。いや、逆だね。水平対向エンジン搭載のバイクがかっこいいな。ホンダのゴールドウィンとか、ハーレーよりもアメリカンなバイクだしね。

 

あと、軽飛行機の世界だと、水平対向エンジンは絶対の正義なんだと。とくに空のF1と呼ばれているレッドブルエアレースではライカミングAEIO-540-EXPサンダーボルトという水平対向六気筒エンジンのワンメークなんだとな。知らんかった。

 

なんで軽飛行機の世界だと水平対向エンジンが良いのかというと、水平対向エンジンは振動が少ないし、直列エンジンよりも全長が短いし、平たいから機首においてもパイロットの視界を妨げないから。さらに水冷ではなく空冷であれば、ラジエーターや、配管、ポンプなどをなくして、よりエンジンを小さくひらたくできるから、と。なので、20世紀初頭の飛行機ブームのとき、水平対向エンジンがもてはやされた。さらに、第二次世界大戦後も、セスナを始めとした軽飛行機のエンジンは水平対向エンジンなのですと。

 

こう考えると、マニアックな水平対向エンジンが欲しくなるな。では、シボレーコルベアでも買いますかねw

 

やはり、ワタシはビートルが好きなのは、こんな理由もあるからなんだろうな。

 

MOTOR FAN illustrated Vol.134 (モーターファン別冊)

MOTOR FAN illustrated Vol.134 (モーターファン別冊)