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植民地共和国フランス

 

著者:N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェス
翻訳:平野千果子菊池恵介
発売元:岩波書店

目次

第一章 植民地共和国

第二章 「植民地国民」なるものの起源へ

第三章 文明化の使命の権利と義務

第四章 共和国の人種と国民

第五章 植民地共和国の遺産

 

感想

フランスというのは、現在、もっとも海外領土や、海外県を有している国なのです。大英帝国よりも、アメリカよりも、ポルトガルやスペインよりも、海外に領土を持っている。そんな海外の領土は、つまり、昔の植民地。

 

フランスは、なぜにいまも植民地を持ち続けることができるのか?いや、植民地じゃないけれどね。その謎が知りたくて読んでみた。

 

のだけれど、「そもそもなんで植民地が出来たのか?」「植民地を統治する理由ってなんだったのでしょう?」というところが徐々に知りたくなってきた。だって、フランスって、第二次大戦後、日本がインドシナ半島から撤退したからって、再度やってきたんだよ。今のヴェトナムを再占領したんだよ。

 

なぜ、そんなことが出来たのか?

 

その答えっぽいことが51ページに書いてあった。

 

植民地権力とは、つねに「命令」と支配という論理を含みもつものである。この点についてはカメルーン出身のポストコロニアルの理論化アシル・ムベンベが、また時代を遡ればすでにマルチニック生まれの詩人で政治家のエメ・セゼールが、大変良く示している。統治する、命令する、文明化する、というのはこの論理の3つの側面である。命令とは、「人間にも、事柄にも、いわゆる公共の分野にも適用される主権の形態である。それは絶えず道徳と経済と政治についての要請をないまぜにしている」。植民地化は、植民地支配下においた者たちの道徳的行動を変え、労働させ、服従させることをめざしている。植民地国家は万人に幸福をもたらすと自任するのだが、被植民者の幸福とは、隷属の状態を受け入れ、支配者の命令に服することとされる。もし反抗しようものなら、隷従を強い、必要に応じて罰しなければなるまい。なぜならフランツ・ファノンが指摘するように、被植民者は構造の面から考えても、また生理学的にも、精神分析的にも、植民地化という行為の意味を理解することが出来ないとされるからである。

 

すげぇ上からめさんの物言いだな、と思いつつも、これが20世紀中頃までの一般的な考え方だったんだなと思うと、びっくりしてしまう今日このごろですわ。

 

 

植民地共和国フランス

植民地共和国フランス