著者:前間孝則
発売元:新潮社
目次
序章 ホンダ航空機事業参入の衝撃
第1章 創業者精神の水脈
第2章 五里霧中の日々
第3章 ハードウエアで世界を変える
第4章 飛翔への道程
終章 グローバル時代の新次元へ
感想
三菱MRJのニュースの影に完全に隠れてしまっていますが、本田技研工業も小型ジェット機を開発し、販売を開始しているのですよ。販売開始とか、日本への初飛行はニュースになりましたが、その後あまりニュースにならなかったので忘れてしまってる人も多いかも。まぁ、頼りがないのは無事な証拠ということで、ビジネスジェットとしてはアメリカで人気を集めているわけです。
そんなホンダジェットの開発秘話に迫った1冊。
サブタイトルは「開発リーダーが語る30年の全軌跡」ですね。
ちなみに、元航空機メーカーという生い立ちを持つ、自動車メーカーは非常に多い。国内ではスバルがそうだし、日産に吸収されたプリンスもそう。サーブや、BMWも、おもいっきり元航空機メーカーだったりする。しかし、その逆はない。新しいモビリティをということで研究開発をしているメーカーが無いことはないけれど、FAA(米国連邦航空局)から型式認定を得るような量産ジェットを開発してしまった自動車メーカーはホンダしか無い。
ちなみに、ホンダの創業者。本田宗一郎氏は、「いつかは空へ」と思っていたのだと。その重いというのはホンダ二輪車部門のロゴであるウィングマークに現れているというのだ。
で、ホンダジェットと違い、何かと話題になるMRJは、ビジネスジェットではなく、小型旅客機だったりする。フェラーリよりも高く、クルーザーと同じ価格帯のビジネスジェットがそう簡単に売れるわけなかろう。。。と思っていたのですけれど、どうやらそんなことはないらしい。
アメリカでは1万1千社の企業が一万六千機のビジネスジェットを活用していて、そのうち85%が中小企業なんですとな。そして、経営陣だけが利用するのではなく、利用者の60%は中間管理職なんだとな。
シェア10%で1600機。年間1600台も売れないクルマは多々あるわけで。まぁ、そこまでの台数は売れなくとも、そこそこのビジネスサイズにはなるのでしょうね。
ちなみに1機5億円だとな、ホンダジェット。
で、なんでホンダはここまでアグレッシブに様々な乗り物を開発しているのかしら?と思っちゃったりするのですが、和光研究センターを立ち上げた川本元社長のこのセリフにそれは全詰まっているかと。
ホンダは最後発で四輪に参入したからよくわかるのだが、やがて追い上げてくる開発途上国も同じことをやるだろうし、いつかは追い抜かれるかもしれない。ならば、もっと先を行く高度で付加価値の高い先端的な研究にも力を入れるべきだ。それで新しい研究テーマを打ち出したのです。
で、ホンダジェットなのですが、クルマで例えるとシビックなんだとな。
色んな意味で革新的だった、ホンダの大ヒット小型車と同じなんですと。
そうすると、この飛行機もマシンミニマム・マンマキシマムなんですな。