目次
序章 わたしは「ジョン」と会っていた
第一章 クウェートから来た少年
第二章 イスラム過激派のネットワーク
第三章 MI5とアフリカの角
第四章 素顔のエムワジ
第五章 監視対象
第六章 シリアへの道
第七章 世界を震撼させた斬首
第八章 テロリストの逆流
最終章 「ゼロ・トレランス」の罠
感想
ジハーディ・ジョン。本名、モハメド・エムワンジ。こう言われて、ピンとくる人は、世界情勢や、ニュースに対して、かなり真剣に向き合っている人だと思う。
多くの日本人にとっては「?」という単語にすぎない。
しかし、ISILに拉致されて、殺害された湯川遥菜氏と後藤健二氏。その両名を殺害した人間。こういうと、多くの人が「ああ!」となること間違いなしだ。
ISILの死刑執行人であったジハーディ・ジョンの生い立ちに迫った本。
クウェートからイギリスにやってきた難民の一家で、大学入学までは普通の生活を送っていた。イスラムっぽい生活など送っておらず、どちらかというと西洋的な生活を送っていた。
そんな若者が大学に入り、過激派に接触したことをきっかけに、大きく人生が変わっていく。。。ということが、事細かに書かれている。まぁ、よく調べたね、と。ちなみに著者のロバート・バーカイクは「サンデー・テレグラフ」「サンデー・タイムズ」「メール・オン・サンデー」「デイリー・メール」「インディペンデント」などに寄稿しているフリージャーナリスト。ジハーディ・ジョンコとモハメド・エムワンジに唯一、インタビューしたことのあるジャーナリストなのだ。
エムワンジが通っていた大学はウェストミンスター大学。ロンドンの国立大学で、前身は1838年に設立された王立科学技術学院。まぁ、エムワンジはお勉強ができた若者だったのですよ。そんな若者がテロリストになった。
これって、日本の左翼過激派と同じだなぁ。。。と思ってしまうわけですわな。
ジャパン・レッド・アーミーな方々は日本の最高学府に近いような大学で左翼思想にかぶれてしまったわけですからね。それで、テロリスト、革命戦士となったわけですし。
いや~勉強だけができる、純粋な若者というのは、コロりと洗脳されちゃうんだね。。。ということを感じてしまったりする。
で、そんな本書を読んでいて「ムムム」となった箇所は2箇所ある。
1つは94ページ9.11はアメリカの陰謀だという章。エムワンジの仲間の方々は9.11はアメリカの陰謀であって、そんなアメリカと戦わなければならないと強く思っているのですとな。
これって、そのまま日本にも当てはまるんじゃないか、と。「9.11陰謀説」を信じている人が、日本にもかなり数多くいる。そして、こういう方々は、もれなく「世界平和」を祈るのではなく「アメリカ許すまじ。打倒アメリカ!」を唱えている。エムワンジの仲間と日本の「9.11陰謀説」信者の方々の違いは、直接暴力に訴えるか?否か?の差しかないよね、とワタクシ思う。
そういうところから考えていくと「9.11陰謀説」って、どこから流れてきたのか?なんということが見えてきますな。
2つ目は298ページにある社会から孤立すると先鋭化が起きるという章。お勉強ができる純粋無垢な若者って、基本的にお友達が少ない。そんなお友達が、大学で”似たような方々”に出会って、仲良くなる。そんな”似たような方々”は。。。そして”似たような方々”が集団で孤立化するとテロリストになる、と。
色々と考えさせられることが多い1冊です。