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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

青年と雑誌の黄金時代―若者はなぜそれを読んでいたのか

編著:佐藤卓己
発売元:岩波書店

 

目次

第1章 『螢雪時代』―「来春」を幻視する受験雑誌
第2章 『葦』『人生手帖』―勤労青年が渇望した教養と人生雑誌
第3章 『現代思想』―大学院生の教養主義雑誌
第4章 『non‐no』―「若い女性」のための総合実用雑誌
第5章 『ぴあ』―人生を歩くガイドブック
第6章 『ロードショー』―「感じる洋画雑誌」に見る青春群像
第7章 『ロッキング・オン』―音楽に託した「自分語り」の盛衰
第8章 『CQ ham radio』―無線コミュニケーション雑誌のメディア機能
第9章 『百万人の英語』―ラジオとカセットの間の青春
第10章 『ファミマガ』『ファミ通』『電撃PlayStation』―ゲーム雑誌の創造性

 

感想

雑誌。

 

その存在こそがメディアであると定義しての論文集。そもそもMediaってミディウム(中間)の複数形だしなってことで、そのように定義。だって、ディリー単位で発刊される新聞はフローの情報だし、書籍や単行本はストックの情報だし、その間にあるのが雑誌だしね、と。

 

さらに日付という概念も持ち込んだのが面白い。雑誌って発刊日が未来の日付だよね、と。だから未来を予測するMediaだよね、と。

 

ここは、おもいっきり頷けましたな。

 

そうなんですよな。雑誌というのは「今ではないなにか」が詰まっているものなんだよな。それは自分の生活かもしれないし、趣味かもしれないし、考え方かもしれないし、ファッションかもしれない。何かはわからないけれど、今ではない何かが定義されているものなんだよな。

 

そして、その「今ではない何か」に憧れや、尊敬を感じることができたんだよな。

 

90年代、ぴあや、東京ウォーカーに代表される情報誌が大ブームだったけれど、これらの情報誌は「今ではない何か」ではなく「今」なんだよな。だから、大ブームになったんだけれど、「今」を表す媒体として雑誌は向いていなかった。インターネットこそが今を表す媒体に向いていたんだな。

 

だから、雑誌が廃れて、インターネットが栄えたんだよな。

 

2010年代、雑誌はダメダメになったと言われているけれど、そんな時代でも売れている雑誌はある。人気を集めている雑誌はあるそういう雑誌って「今ではない何か」をきっちり編集の軸においているんだよな。

 

まぁ、そんな内容を本書を読んでいて思いましたわ。

 

もう少し、書き手に雑誌愛があったら面白かったんだと思うんだよな

 

 

青年と雑誌の黄金時代――若者はなぜそれを読んでいたのか

青年と雑誌の黄金時代――若者はなぜそれを読んでいたのか

 

タイトル:青年と雑誌の黄金時代
編著:佐藤卓己
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆(おもしろいですな)